ビットコイン再び下落、暗号資産全体の時価総額は1週間で90兆円減少
17日の取引で、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格が再び下落。今週は週初から暗号資産が広く売られ、全体で数千億ドルの時価総額が失われた。
ビットコインは一時、「デジタル・ゴールド」ともてはやされ、市場の混乱に対して金と同じくヘッジ手段になると見なす向きもいたが、その期待に応えることができていない格好だ。
17日は一時4%安の10万3550ドルと、6月以来の安値を付けた。ビットコインに次いで2番目に時価総額が大きい暗号資産のイーサは3700ドルを割り込み、8月のピーク時からの下落率が約25%に達した。
コインゲッコーがまとめたデータによると、暗号資産全体の時価総額は先週金曜日に当たる10日以来、6000億ドル(約90兆円)減少した。
一方、世界最大の暗号資産交換業者、バイナンス・ホールディングスが発行する仮想通貨BNBは17日に一時11%下落。今月10日と11日の相場急落で暗号資産では過去最大規模のロスカット(強制清算)が発生したが、バイナンスユーザーが経験した技術障害と価格の不一致がその背景にあると、複数のアナリストが指摘した。
バイナンスはこの市場混乱の賠償として、顧客と企業に6億ドルの支払いを申し出た。
暗号資産のマーケットメーカー、ウィンターミュートのヨアン・テュルパン共同創業者は、17日のBNB急落は「今のところ、市場全体の売りに沿った動きのように見える」と述べた。週半ばの上昇が長続きしなかったため、水準訂正の動きかもしれないとの見方も示した。
ビットコインは今月6日に史上最高値となる12万6251ドルを記録したが、その数日後には貿易を巡る米中の対立悪化をきっかけとした190億ドルを超える大規模な強制清算が発生。主要な暗号資産の多くが急落した。
暗号資産データ会社のコイングラスによれば、過去24時間でレバレッジをかけた持ち高は約12億ドル清算された。これは先週の水準を大きく下回るが、依然としてレバレッジは高水準で、相場は崩れやすい状態であることを示している。
米中対立に加え、米国の自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループや自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスの破綻で、潜在的な信用損失に対する懸念が高まったことも、暗号資産の売りを促した。
市場全体にリスク回避が広がる中で、米市場に上場しているビットコイン、イーサの上場投資信託(ETF)からは16日に5億9300万ドルの資金が純流出。暗号資産デリバティブ取引所デリビットでは、ビットコインのプット・コール・レシオが過去24時間で1.33に上昇し、一段安に対するヘッジポジションが増えていることを示唆する。
原題:Bitcoin Extends Slide as $600 Billion Erased Since Crypto Crash(抜粋)
— 取材協力 Olga Kharif