《鶴岡慎也のツルのひと声》完全に覚醒したと断言したいあの投手 ファイナルでの登板も期待大
■2025 パーソル クライマックスシリーズ パ ファーストS第2戦 オリックス4-5日本ハム(10月12日、エスコンフィールド北海道)
勝敗のカギを握る頼れる助っ人
決めるべき選手が決めた。これぞ主砲。今回のクライマックスシリーズが始まる前から、評論家なら誰もがキーになると口にしてきたレイエス。1点を追う八回2死一、二塁で右翼フェンス直撃だ。この回からマウンドに上がっていた岩崎の状態は素晴らしかった。そこに来て、2死から万波と矢沢がコツコツとつないでチャンスをつくった。
自身の空振りを逆手に取った直球待ち
試合をひっくり返した一打。レイエスのクレバーさが詰まっていた。カウント3-1からの5球目。アウトコース高め。やや甘いストレートにかなり振り遅れ、フルカウントとなった。もう1球、同じ球が来る。ここでレイエスは切り替えたはずだ。その通り。外角の直球をはじき返した。
バッテリーの気持ちは痛いほど分かる。あの空振りを見れば、フォークよりもストレートの方が通ると思う。直球勝負にいきたがる気持ちは理解できる。
ダテじゃないペナントレース83勝
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レイエスの強いフィジカル、高い技術、そして巧みな読み。すべてが凝縮された一打だった。2ストライクにされた際のスイングよりもコンパクトに振っていた。右翼を守る広岡が一瞬、前に出かかったぐらいだ。それでもフェンスまで到達するパワーと技術。優れた野球脳も備わっている。
一塁から一気に逆転のホームに生還した矢沢の走塁も実に無駄がなかった。三塁コーチャーの(森本)稀哲さんも必死に腕を回していた。最後に価値ある一本が出る。キャンプから取り組んできた走塁も光る。リーグ戦で83勝を飾ったチームの強さを、ここでも見せつけてくれた。
クローザーとして独り立ち
さて、もう1人。語らなくてはいけない。斎藤友貴哉だ。覚醒した。そう断言したい。今までの一番の弱みはメンタルだった。ストライクが入らなかったら、どうしよう。もし、打たれたら…。その弱気が垣間見える瞬間が何度かあった。
今はない。俺の球が打たれるわけない。そんな自信がみなぎっている。メンタルの充実が先か。それとも結果が自信を植え付けたのか。いずれにしても、心強いクローザーがファイターズにはいる。
160キロのツーシーム!
強みはやはり、スピード。しかもツーシームで160キロを計測する。そういう投手は、まれに存在する。直球よりもツーシームの方がボールを握った時の力感がしっくりハマるのだろう。連投でも、ハイパフォーマンスを発揮できることも証明して見せた。ホークスの杉山と並び、パ・リーグでも1、2を争うクローザーと言えよう。ファイナルステージでも欠かせない存在だ。
昨季とはひと味違うファイターズ
2連勝でファーストステージを突破した。ファイナルまで2日、休めるのは大きい。昨季は3連敗で終戦を迎えた。今年のファイターズは違う。大いに期待したい。
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