ノボの糖尿病治療薬「オゼンピック」、アルコール依存を軽減-研究

デンマークの医薬品メーカー、ノボノルディスクの糖尿病治療薬「オゼンピック」がアルコール依存の軽減に寄与することが、小規模な研究において示された。人気の高いこの注射薬が飲酒量を減らすのに役立つ可能性がある。

  アルコール使用障害を持つ成人にオゼンピックの低用量を週1回投与したところ、プラセボ(偽薬)を投与された人と比較して、アルコールへの渇望感が週単位で大幅に減少した。米精神医学誌「JAMAサイカイアトリー」に研究論文が12日掲載された。また、オゼンピックを服用した人は、大量飲酒をする日が少なくなった。

  2023年の薬物使用と健康に関する全米調査によると、米国の成人2800万人以上がアルコール使用障害を患っている。オゼンピックは、姉妹薬である肥満症治療薬「ウゴービ」と共に、がんの罹患(りかん)率を高める可能性がある慢性的なアルコール摂取を避ける手助けとなる可能性がある。

  48人を対象とした今回の研究は、オゼンピックが人間のアルコール使用に与える影響を直接測定した初の研究。これまでのネズミやサルを対象とした研究では、この現象が確認されており、ある観察研究では、オゼンピックとウゴービの有効成分であるセマグルチドを摂取した人において、アルコール関連の入院が減少したことが分かっている。

  「アルコール使用障害を持つ人に対する安全性と有効性を完全に理解するには、より広範な母集団を対象としたより大規模で長期にわたる研究が必要だが、初期の結果は有望だ」と、上席執筆者でノースカロライナ大学の内分泌学者クララ・クライン氏は発表文で述べている。

  JAMAサイカイアトリー誌に掲載された研究に参加した被験者のうち、オゼンピックを服用した人の約40%が大量飲酒をした日はないと報告。プラセボ群では20%だった。

  この研究では、セマグルチドが幾つかの飲酒の指標に及ぼす影響は、アルコール依存を減らす既存の薬よりも大きいことが指摘された。

  米国立衛生研究所(NIH)でアルコール使用障害を研究するロレンツォ・レッジオ氏はこの論文を「非常に歓迎すべき重要な研究だ」と称賛した。

原題:Low Doses of Ozempic Reduced Weekly Alcohol Cravings, Study Says(抜粋)

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