AIのゴッドファーザーによる提言:2024年10月に最も読まれた10本のストーリー
05. スマートフォンを「ダムフォン」に変える方法
デジタルデトックス実践のため、携帯の通知を無効にし、必要のないアプリを使う時間を減らす手助けしてくれるツールを紹介しよう。>>記事全文を読む
06. トンガの海底火山の大規模噴火、謎だったメカニズムが2年越しで解明される
2022年1月にトンガで発生した海底火山の大噴火は、観測史上で最大規模の自然現象となった。この大災害の引き金となったメカニズムは長らく謎に包まれていたが、このほどオーストラリアの研究者たちによって解き明かされた。>>記事全文を読む
07. あの時、50年前──日本のアニメは「未来」に向けて出航した
傑作揃いの日本アニメ史において、群を抜く存在が「宇宙戦艦ヤマト」だ。この船は昨今大ヒット中の「名探偵コナン」はおろか「ドラえもん」「鉄腕アトム」さえ霞む歴史的偉業──“大人向けのアニメーションがあってもいい"という価値観を、はっきりと全世界に示したのだから。後のガンダム、エヴァにも強く影響を与えた日本ポップカルチャーの旗艦、その半世紀にわたる航跡を振り返ってみたい。>>記事全文を読む
08. 超薄型「グラフェン」製の脳インプラント開発。初の臨床試験も始まっている
スペイン発の企業が世界一薄い炭素素材「グラフェン」で脳インプラント・デバイスを開発し、ヒトの脳に装置を一時的に設置する臨床試験を開始した。圧倒的に薄く、金属のように酸化しない素材の脳インプラントは、革新的な技術として注目されている。>>記事全文を読む
09. テスラの「サイバートラック」、ついに戦場へ
テスラの電動ピックアップトラック「サイバートラック」数台が武装され、ウクライナに侵攻するロシア軍と一体化して戦うチェチェン軍部隊として戦場に赴く準備を整えている。EVは戦闘に耐え得るのか?>>記事全文を読む
10. ノーベル物理学賞に選ばれた“AIのゴッドファーザー”、AIの急速な進歩に警鐘を鳴らすメッセージの重み
2024年のノーベル物理学賞に、人工ニューラルネットワークの概念を確立して深層学習の発展に貢献したジョン・ホップフィールドとジェフリー・ヒントンが選ばれた。なかでも“AIのゴッドファーザー”とも呼ばれるヒントンはAIの危険性について積極的に警鐘を鳴らしており、今回の受賞には大きな重みがある。>>記事全文を読む
編集長による注目記事の読み解きや雑誌制作の振り返りのほか、さまざまなゲストを交えたトークをポッドキャストで配信中!未来への接続はこちらから。
(Edited by Erina Anscomb)
雑誌『WIRED』日本版 VOL.54「The Regenerative City」 好評発売中!
今後、都市への人口集中はますます進み、2050年には、世界人口の約70%が都市で暮らしていると予想されている。「都市の未来」を考えることは、つまり「わたしたちの暮らしの未来」を考えることと同義なのだ。だからこそ、都市が直面する課題──気候変動に伴う災害の激甚化や文化の喪失、貧困や格差──に「いまこそ」向き合う必要がある。そして、課題に立ち向かうために重要なのが、自然本来の生成力を生かして都市を再生する「リジェネラティブ」 の視点だと『WIRED』日本版は考える。「100年に一度」とも称される大規模再開発が進む東京で、次代の「リジェネラティブ・シティ」の姿を描き出す、総力特集! 詳細はこちら。
Related Articles
Page 2
Amazonプライム・ビデオは最近クオリティーの高いドラマを多く発表している。ここでは『WIRED』が注目するAmazonプライム・ビデオのお気に入りシリーズを紹介していこう。
「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」
J.R.R.トールキンが描いたミドルアースを舞台に、これまで『指輪物語』や映画『ロード・オブ・ザ・リング』に描かれてきた出来事の千年前の物語だ。「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」はトールキンの歴史区分でいう「第二紀」で起きた出来事にフォーカスしている。シーズン2はシーズン1よりペースが速めだ。ガラドリエル(モーフィッド・クラーク)が闇の王サウロン(チャーリー・ヴィッカーズ)を阻止しようとするシーンや、ファンが待ち望んでいたキャラクター、トム・ボンバディル(ロリー・キニア)の登場もあって、内容は以前よりリッチだ。
神殿での静かなひとときから、オークとエルフの壮大な戦闘シーンまで、膨大な予算のおかげもあって素晴らしいビジュアルが実現している。現在配信されている大規模なファンタジーシリーズのうち、本作に匹敵するものはほとんどないだろう。
「バットマン:マントの戦士」
10年ぶりの新しいバットマンのアニメシリーズは1990年代の「バットマン アニメイテッド」シリーズ」を思い起こさせる。ショーランナーのブルース・ティムが現場指揮に戻り、ブルース・ウェイン/バットマンの声をヘイミッシュ・リンクレイターが担当。これは、故ケヴィン・コンロイへのオマージュでもある。
90年代をまるごと復活させる「X-Men ’97」などとは違い、「バットマン:マントの戦士」は続編というよりキャラクターをまた新たに解釈し直しているものだ。特に、ペンギンやハーレイ・クインには注目だ。新しいシリーズは1930年代の美学を強くとり入れることで、ノスタルジックであると同時に刺激的な雰囲気を生み出している。
「マイ・レディ・ジェーン」
最近のAmazonプライムビデオ配信作品には「もしも〇〇だったら」というひねりのあるものが多い。もしレディ・ジェーン・グレイ、「九日間の女王」と呼ばれたイギリスの歴史的人物がトラブルメーカーだったら? もしファンタジーシリーズ「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」にあるような権力争いや陰謀に、コメディの要素があったら? もしチューダー朝のころに動物に変身できる存在がいたら?もし「ブリジャートン」に非現実的な要素が盛り込まれていたら?
「マイ・レディ・ジェーン」はこれらすべての答えを詰め込んだ、ユニークな「ロマン・時代劇・コメディ・アクション」だ。エミリー・ベイダーが主役の貴族女性を見事に演じ、彼女の婚約者にいやいやなってしまったギルフォード・ダドリー卿はエドワード・ブルーメルが演じる。ふたりの絶妙な仲が見どころだ。
「ザ・ボーイズ」
スーパーヒーローは希望と楽観主義を象徴し、わたしたちの最良の部分を表現するべき存在だ。でも「ザ・ボーイズ」に登場するスーパーヒーローたちは人類の最低な部分、つまり欲望や制御のない権力を反映した存在となっている。原作は、ガース・エニスとダリック・ロバートソンによるダークで皮肉なコミック。ビリー・ブッチャー(カール・アーバン)と彼の仲間たちである人間の集団「ザ・ボーイズ」が自己中心的で不安定なスーパーヒーローと戦うストーリーだ。
シーズン4では、ブッチャーの嘘によってザ・ボーイズはバラバラになり、世界が大ピンチとなってしまう。権謀術数を尽くすビクトリア・ニューマン(クローディア・ドゥーミット)は大統領府に近づき、サディスティックなホームランダー(アントニー・スター)は反乱を計画している。おそらくAmazonプライム・ビデオのドラマのなかでも最も血みどろな描写を含む「ザ・ボーイズ」は、ヒーロー映画の仮面で権力の乱用に関する考察を提供するシリーズだ。
「フォールアウト」
ビデオゲームのドラマ化を成功させる秘訣は、もしかしたら「世界の終わり」を描くことかもしれない。「THE LAST OF US」は、ゾンビによって支配された陰鬱で美しい世界を描いた。ベセスダ・ソフトワークスによるポストアポカリプスRPG「フォールアウト」のドラマ化である本作は、ひび割れたアメリカーナ、鋭い社会風刺と奇妙なコメディにより、このジャンルの黄金時代を示す例となっている
ドラマシリーズ化において最も重要なポイントの一つは、圧倒的な世界観をもちながらも、ゲームのストーリーに直接触れていないことかもしれない。核戦争が起きた後の世界を描くこのドラマは、地下の保管庫で生まれ育ったルーシー(エラ・パーネル)、旧世界の技術を求める軍の新兵マキシマス(アーロン・モーテン)、そして核爆撃でゾンビのように変異し何世紀も生きた賞金稼ぎのグール(ウォルトン・ゴギンズ)という3人の中心人物に焦点を当て、丸ごと荒廃地となった米国がいかに奇妙に歪んでいるかを想像している。
「三体」
Amazonプライム・ビデオで配信されている「三体」は、Netflixでヒットした「三体」と同じく、劉慈欣による国際的にも評価の高い小説をシリーズ化したものだ。Amazonプライム・ビデオの方は2023年に中国の視聴者向けに先にリリースされた。この作品では、人類が未知の異星種族と初めて接触し、その到来が各キャラクターにどんな影響を与えるのかを描いている。
ナノテクノロジーの研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、突然訪ねてきた警官・史強(シー・チアン)に正体不明の秘密会議に呼ばれ、世界中の科学者たちの自殺の連鎖を調査する。謎の死亡者たちは「物理学は存在しない」という不吉なフレーズで繋がっており、調査が進むにつれて説明のつかない現象が続発する。プライム・ビデオ版の『三体』は、Netflix版に比べると文化大革命に関連する内容が控えめだが、30話を通じて複雑なテーマやキャラクターが深く追求されている。字幕版のみの展開で、西洋のドラマに慣れている人にはペースが少し掴みにくいかもしれないが、別世界を体験できる素晴らしい作品だ。
「Mr. & Mrs. スミス」
名前を聞いただけでピンとくるかもしれないが、このシリーズは結婚している夫婦が実はスパイで、職業と私生活が複雑に絡み合う内容だ。2005年のブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの映画とは違って、2024年のドラマ版「Mr. and Mrs. スミス」はそのコンセプトをさらに深く掘り下げている。今回のリブートでは、監督も務めるドナルド・グローヴァーがマヤ・アースキンとともに「ジョン」と「ジェーン」を演じる。8話の中で、彼らの正体や危険な職業に足を踏み入れた理由、互いへの感情について深く探求している。『ミッション:インポッシブル』的なアクションも満載だが、主役たちの相性が特に見どころだ。
「リーチャー ~正義のアウトロー」
「トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン」を含め、Amazonプライム・ビデオはタフな主人公を描くアクションスリラーが得意かもしれない。リー・チャイルドの小説に出てくる主人公、「ジャック・リーチャー」もそのひとりだ。アラン・リッチソンが静かな生活を求める元軍警察のリーチャーを演じ、トラブルに巻き込まれる。シーズン1では無実なのに殺人容疑をかけられ、シーズン2では彼の元部隊の隊員に対する事件に巻き込まれる。迫力あるアクションシーンと鋭いセリフが魅力的。
「インビンシブル ~無敵のヒーロー~」
マーク・グレイソンが父であるオムニマンの超能力を受け継ぎ、ヒーローを目指す物語。しかし、シーズン1の衝撃的な展開の後、彼は必死に父の影と戦うことになる。待望の新シーズンでは、新しいヒーローたちも登場し、マークの成長が描かれる。アニメーションも素晴らしく、キャラクターが見せる感情と迫力あるアクションが魅力だ。
「ホイール・オブ・タイム」
ロバート・ジョーダンの壮大な小説『時の車輪』に基づいたこの作品は、「ゲーム・オブ・スローンズ」を単純に見せるほどの規模感だ。Amazonプライム・ビデオによる作品の中で最も野心的で予算も高いシリーズのひとつかもしれない。シーズン1では、古代の魔法の力をもつモイレイン(ロザムンド・パイク)が、世界の運命が託された5人の若者を集める様子が描かれる。
シーズン2では古代の邪悪が復活し、新たな恐怖が現れ、世界に散り散りになった人たちがそれを止めることになる。美しいロケーションとシネマティックな特殊効果が融合したこのシリーズは、毎エピソード進化するエピックファンタジーだ。
「ジェン・ブイ」
ヒット作「ザ・ボーイズ」から派生した「ジェン・ブイ」は、ゴドルキン大学の犯罪対策学部で超能力を訓練するスーパーヒーローの次世代を描く。特別な教育機関は、X-MENのような特別な学校というより、『ハンガー・ゲーム』のようなものだ。学生たちはスーパーチーム「ザ・セブン」への参加を目指し、栄光のために戦う。主演のジャズ・シンクレアは、血液を操ることができる野心的なマリー・モローを演じる。シリーズは彼女の視点を追い、彼女は最終的に暗い秘密を発見する。「ジェン・ブイ」の物語には若者の悪ふざけや過激な暴力が加わり、登場人物の世界観がいかに狂っているかが伝わる。
「トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン」
トム・クランシーの小説のシリーズ化はたくさんあるが、ジョン・クラシンスキーが演じるライアンはCIAでデスクワークをしていたがフィールドエージェントに転身したという設定だ。この政治的スリラーは、ライアンの成長を4シーズンに渡って描いている。
最終シーズンではライアンのキャリアの集大成として、薬物カルテルとテロ組織が結託した犯罪組織を調査し、ナイジェリアでの政治暗殺にCIAが関与している可能性を調べるという最大の挑戦が待ち受けている。このシリーズには物議を醸す点もあり、シーズン2はベネズエラ政府からアメリカの侵略を黙認していると非難されたほどだ。それでも、鋭いセリフ、素晴らしい演技、映画のようなアクションシーンが相まって、非常に魅力的な作品に仕上がっている。
「ヴォクス・マキナの伝説」
下品でグロテスク、決して子ども向けではない「ヴォクス・マキナの伝説」は、アニメーションやゲームの声優たちがダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)をプレイするライブ配信「Critical Role」から生まれた。ファンタジーナラティブが、その後独自のアニメーションシリーズへと進化したのだ。
シーズン1では、ヴォクス・マキナ・ギルドという冒険団が中心となり、ホワイトストーンの街を奪還するために戦う。シーズン2では「最悪のチーム」が4体の破壊的なドラゴンと戦い、さらに盛り上がる。長年のファンも新しい視聴者でも楽しめる内容になっていて、典型的なRPGをからかいながらD&Dへのラブレター的な側面をもつ、Amazonプライム・ビデオのオリジナル作品のなかでも大人向けアニメーションとなっている。
「リグ ~霧に潜むモノ~」
スーパーナチュラルスリラー作品「リグ ~霧に潜むモノ~」では、環境の表現には一切控えめなところがない。登場人物のひとりが「地球に穴を開き続ければ、いつか地球が反撃してくる」と言うなど、気候危機のテーマに対して不器用と思える表現をしていることもある。ただ、そういう側面が気にならないなら、かえって面白いかもしれない。
ある日、キンロック・ブラボーのクルーが奇妙な霧によって文明から遮断され、不可解な死や設備の故障が続くようになる。次第に霧は単なる天候のパターンではないことがすぐに明らかになる。北海の缶詰のような場所に閉じ込められた生存者たちは、極端な緊張と恐怖に追い込まれていく。
「ザ・ループ TALES FROM THE LOOP」
数年前の作品だが、いまでもAmazonプライム・ビデオで注目のドラマの一つ、「ザ・ループ TALES FROM THE LOOP」は、スウェーデンのアーティスト、サイモン・ステーレンハグの作品に基づいている。オハイオ州マースサーの住人たちを描きつつ、「ループ」と呼ばれる地下施設の実験物理学が彼らにどう影響するのかを探っている。
凍った時間や人生の交換、パラレルワールドが展開される物語には、アンドリュー・スタントンやジョディ・フォスターといった豪華なキャストが参加しているほか、素晴らしい映像がステーレンハグ独特の美学を見事に捉えていて、忘れられない体験になる。
「デビルズ・アワー〜3時33分〜」
「わたしの時間感覚は誰よりも優れている」と、ピーター・カパルディが演じる犯罪者ギデオン・シェパードは言う。「デビルズ・アワー〜3時33分〜」のクリエイター、トム・モランは、「ドクター・フー」でおなじみの俳優を通じて、第四の壁を越えるような表現を楽しんでいる。この6エピソードからなるドラマは、超自然的な要素をとり入れたダークでシリアスな殺人ミステリー・スリラーだ。
物語の中心は、仕事に追われるソーシャルワーカーのルーシー(ジェシカ・レイン)。彼女は息子との関係性に悩みを抱えている。ルーシーは毎朝3時33分に目を覚まし、恐ろしい悪夢に悩まされ、探偵ラヴィ・ディロン(ニケシュ・パテル)が調査する殺人や誘拐事件に巻き込まれてしまう。事件の真相が明らかになるなかでルーシーはシェパードと出会う。ルーシーを演じるレインは圧倒的な存在感を放ち、シェパード役のカパルディの不気味な演技は視聴者をゾッとさせる。
「ゼム」
リトル・マーヴィンが脚本を担当し、「クイーン&スリム」のプロデューサー、リナ・ウェイスがエグゼクティブプロデューサーを務めるホラーアンソロジーシリーズ。シーズン1の舞台は1950年代のロサンゼルスで、エモリー一家が白人の多い地域に引っ越すところから物語が始まる。新しい環境では、ベティ(アリソン・ピル)がリーダーとなっている地域の主婦たちに、妻リヴィア(デボラ・アイオリンデ)を苦しめられる。一方、夫のヘンリー(アシュリー・トーマス)も職場で暴力や嫌がらせに遭ってしまう。
アイオリンデとトーマスの演技は素晴らしく、絶え間ない脅威の中での苦悩を見事に表現している。1950年代の不気味な描写と超自然的な脅威が重なり、恐怖感を一層引き立てる。
「地下鉄道~自由への旅路~」
コルソン・ホワイトヘッドによるピューリッツァー賞受賞小説『地下鉄道』に基づいたこのシリーズは、『ムーンライト』の監督バリー・ジェンキンズが手掛けている。このフィクション時代劇では、アメリカ南部から奴隷達が逃げるのを密かに支援した人たちが使った地下道を、列車や駅員が利用する秘密のシステムとして再想像している。
「Fleabag フリーバッグ」
「フリーバッグ」の主人公を、別に好きになる必要はない。彼女は自己中心的で、自滅的で、モラルも完全に破綻している。彼女の家族は嫌な奴ばかりで、ライフスタイルは馬鹿げているし、仕事もまるで冗談のよう。でも、シリーズの12話を観た後、彼女を少しでも愛さずにはいられないかもしれない。
ロンドンに住むフィービー・ウォーラー=ブリッジが演じる主人公は、親友の死と向き合いながら人生を歩んでいるが、コメディ的な場面が何の遠慮もなく展開されていく。シーズン1は、フリーバッグのぎこちない姉クレア(シアン・クリフォード)、自己中心的で見栄っ張りな義母(オリビア・コールマン)、そして相変わらず何もわかっていない父(ビル・パターソン)を含むキャラクターによるシナリオがメインとなる。シーズン2では、主人公がカトリックの神父(アンドリュー・スコット)に想いを寄せてしまい、不敬の道をどんどん進んでしまう。ショッキングなハプニングが続出するも目を離しづらく、噂通りよいシリーズになっている。
「高い城の男」
フィリップ・K・ディックの名作SF小説をドラマ化した「高い城の男」は、ナチスが第二次世界大戦に勝利した世界を描いている。アマゾンがオリジナルコンテンツに最初に挑んだ作品の一つである。世界観は見事に構築されており、分断された別世界の1960年代アメリカは非常に入り込みやすく描写されているが、現代との共鳴が少し強く感じられるため、注意が必要だ。
「マーベラス・ミセス・メイゼル」
夫が秘書と不倫していることを知ってしまったニューヨークの女性は、一体どうするべきなのか? マダム・メイゼルの場合、寝間着のままバーに行き、少しコメディ・パフォーマンスを披露した後、観客全員の前で服を脱ぎ、警察に連行されるだろう。
早口でおしゃれで少し奇抜なコメディアンを主人公としたこのドラマは1950年代を舞台に、家族や元夫からコメディアンとしてのキャリアを隠しながら、性差別や失礼な観客、そして厳しい競争に立ち向かう女性を描いている。レイチェル・ブロズナハンが演じるミッジ・メイゼルの役は、ジョーン・リバーズのキャリアにさりげないオマージュを捧げている。このシリーズは4シーズンあり、数多くの賞やノミネートを誇る。Amazonプライム・ビデオでも最も鋭いコメディの一つだ。
「エクスパンス -巨獣めざめる-」
23世紀、人類が地球以外の太陽系に植民した未来を舞台にしている。裕福な政治活動家の失踪をきっかけに登場人物たちが結び付けられ、何が起きたのかを解明していく。シーズン1では、地球、火星、そしてその間にある星々で形成された小惑星帯(ベルト)の間に起きる政治的問題が緊張を呼ぶ。
6シーズンもあり、それぞれが大胆なミッション、宇宙戦闘、複雑な政治で構成されていて、ハードなSFファンを惹きつけ続けている。
「グッド・オーメンズ」
悲惨なニュースやディストピアがテーマの番組が多すぎて、気持ちが暗くなりがちな人には「グッド・オーメンズ」が心の避難所となってくれるだろう。ニール・ゲイマンが、テリー・プラチェットと共著した1990年の小説を自ら脚色しており、天使(マイケル・シーン)と悪魔(デイビッド・テナント)が世界の終わりを阻止しようとする物語だ。冷戦時代っぽい馬鹿げた内容や、皮肉な英国的ユーモアも満載。6つのエピソードは、どれもファンが期待するものを提供してくれる。
「グッド・オーメンズ シーズン2」
2019年に配信された「グッド・オーメンズ」には、続編を期待するファンの声が上がり続けていた。待望のシーズン2は期待を裏切らず、天使と悪魔のコンビが再び魔法で世界の終わりをくい止める。ある日、大天使ガブリエル(ジョン・ハム)が天国から失踪し、天使のアジラフェルがロンドンで運営する書店に裸の記憶喪失者として現れる。それがきっかけで天地の戦いが始まってしまう。ガブリエルの曖昧な記憶がストーリーの途中で警告を鳴らし続ける。その間、主役2人の千年にわたる仲を振り返る描写が視聴者を楽しませてくれる。
(Originally published on wired.com, translated by Miranda Remington, edited by Mamiko Nakano)
※『WIRED』によるAmazonプライムの関連記事はこちら。
Related Articles
雑誌『WIRED』日本版 VOL.54「The Regenerative City」 好評発売中!
今後、都市への人口集中はますます進み、2050年には、世界人口の約70%が都市で暮らしていると予想されている。「都市の未来」を考えることは、つまり「わたしたちの暮らしの未来」を考えることと同義なのだ。だからこそ、都市が直面する課題──気候変動に伴う災害の激甚化や文化の喪失、貧困や格差──に「いまこそ」向き合う必要がある。そして、課題に立ち向かうために重要なのが、自然本来の生成力を生かして都市を再生する「リジェネラティブ」 の視点だと『WIRED』日本版は考える。「100年に一度」とも称される大規模再開発が進む東京で、次代の「リジェネラティブ・シティ」の姿を描き出す、総力特集! 詳細はこちら。