糖尿病や肥満症の治療薬に依存症抑制効果も、世界最大級の研究で判明

Jason Gale

  • 糖尿病を患う米退役軍人を対象にGLP-1受容体作動薬の効果調査
  • 衝動制御に関連する保護効果発見、依存症の抑制にも役立つ可能性

「オゼンピック」や「マンジャロ」といった糖尿病治療薬や肥満症治療薬に関する世界最大級の研究で、脳への影響が注目され、依存症や統合失調症などへの有益性が指摘された。

  この研究は、糖尿病を患う米退役軍人を対象に、GLP-1受容体作動薬の効果を最長5年間追跡調査した。ノボ・ノルディスクの「ウゴービ」やイーライリリーの「ゼップバウンド」も含む医薬品群を対象とした研究としては、これまでで最大級。

  20日に発行された医学誌ネイチャー・メディシンに掲載されたこの研究論文は、衝動制御に関連する保護効果を発見。これらの医薬品が食欲を抑えるだけでなく、アルコール依存症やその他の依存症の抑制にも役立つ可能性を示す新たな証拠だとした。

  論文の共同執筆者で退役軍人セントルイス医療制度臨床疫学センターのディレクター、ジヤド・アルアリ氏は、「これらの薬剤は、肥満症の真の要因を解明するのに役立っている」と述べ、「肥満症を効果的に治療するには、食物に対する中毒のような行動という根本原因に対処する薬剤が必要だ」と指摘。「GLP-1受容体作動薬が肥満症治療薬として目覚ましい成功を収めている一方で、中毒の経路を標的としない従来の治療法の多くが失敗しているのはこの点で説明できるかもしれない」と付け加えた。

  こうした発見は、医療用麻薬オピオイドやコカインの使用障害の治療薬となる可能性に関する現在進行中の研究を支援し、これらの薬剤の適用範囲をさらに広げるものとなる。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は、肥満症治療薬だけでも市場規模は2030年までに世界全体で930億ドル(約14兆5000億円)を超えると予測している。

Selected odds of health outcomes compared with usual care

Source: Xie et al, Nature Medicine, January 2025

  今回の研究はGLP-1受容体作動薬を使用している患者約21万6000人を平均3.7年間追跡調査。175の健康状態との関連性を調べ、その結果を他の糖尿病治療薬を服用している患者や代謝異常の標準的治療を受けている患者の結果と比較した。

原題:Obesity Drug Study Points to Effectiveness in Curbing Addictions(抜粋)

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