トランプ関税、ドイツ経由で中欧経済に打撃=S&Pグローバル
[ブダペスト 3日 ロイター] - トランプ米大統領が表明した欧州連合(EU)からの輸入品に対する25%の関税賦課について、S&Pグローバル・レーティングは実施されれば中欧諸国の経済見通しが悪化し、各国の財政問題が深刻化する可能性が大きいと指摘した。
S&Pグローバルは、トランプ関税で予想される影響に関するロイターの質問に、中東欧諸国の対米直接貿易エクスポージャーは限定的だが、ドイツの自動車セクターを通じて成長見通しが打撃を受ける可能性が高いと指摘。
「これは特にチェコ、ハンガリー、スロバキア、スロベニア、ルーマニアに当てはまる」とし、これらの国は、ドイツ向けの機械・輸送機器輸出が総輸出の1割以上を占めると述べた。
中欧諸国はEUの中で対外貿易への依存度が高い。EU統計局の2023年のデータによると、国内総生産(GDP)に占める輸出の割合は、スロバキアが92%、チェコは69%で、EUの平均を下回るのはルーマニアの39%のみだ。
中欧最大の経済大国ポーランドは、自動車輸出が依存度が低く、国内市場が相対的に大きいこと、数十億ユーロのEU復興資金を受け取っていることから西欧の景気低迷の影響を受けにくいとみられている。
キャピタル・エコノミクスの欧州新興国アナリスト、ニコラス・ファー氏は、EU製品への25%関税が発動された場合、中欧のGDP伸び率を平均0.5%程度押し下げると指摘した。
S&Pグローバルは、ドイツ車に対する中国の需要の落ち込みは、米国の関税よりも中東欧の成長に大きな影響を与える可能性が高いとも指摘。
「中東欧諸国の成長鈍化は、同地域の主要なリスクとして以前から指摘してきた財政(赤字)問題をさらに深刻化させる可能性がある」と述べた。
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Gergely reports on central European economics, central banking and government policy, with content usually appearing on the Macro Matters, Markets, Business and World sections of the website. He has nearly two decades' worth of experience in financial journalism at Reuters and holds advanced degrees in English and Communication.