窪田朋一郎氏【不安定な相場展開続く、GW明け後の値動きは】(1) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)
―トランプ米政権に振り回される市場、円高など警戒材料―

 21日の東京市場は日経平均株価が再び下値を試す展開を強いられた。前週末の欧米株市場はグッドフライデーで総じて休場となったが、手掛かり材料難のなかも外国為替市場で円高が進行したことで、自動車など輸出セクターを中心に利益確定の売りが表面化した。これから国内外で企業の決算発表が漸次本格化していくなか、果たしてマーケットに追い風は吹くのか、それとも逆風に晒されるのか。米国株市場の動向も一段と注目度が高まりそうだ。今後の見通しについて松井証券の窪田朋一郎氏とフィリップ証券の笹木和弘氏の2人にそれぞれ話を聞いた。

●「当面は強さ発揮も5月中旬以降は要警戒」 窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)  東京市場では週明けは日経平均が大幅反落となったが、前週から戻り足を明示しており、当面は上値指向のトレンドを想定している。5月中旬くらいまでは頑強な値動きを維持しそうで、3万6000円前後まで水準を切り上げる場面がありそうだ。ただし、その後は一本調子にはいかず全体相場は値を崩す展開を予想する。リスクオフムードが高まれば、今月上旬の急落時につけた安値を意識させるような深押しも考えられ、日経平均は3万1000円近辺まで下値を試すケースもあり得るとみている。  まず、5月中旬まで東京市場の強調展開を見込む根拠としては、5月に発表される経済指標がコンセンサスよりも好調な内容となる可能性があること。おおむね4月のハードデータが開示されることになるが、この時期は米関税の発動を前にした駆け込み需要が発現されるため、総じて強い数字が見込まれる。また、今は世界を混乱に陥れている関税政策も、このころには落としどころが見えてくる公算が大きい。つまりトランプ米大統領が仕掛けるディールがある程度まとまりをみせてくることから、マーケットにはポジティブなニュースフローとして株高作用をもたらしそうだ。企業の決算発表についても先行き不透明感が非常に強いことに変わりはないが、その状況は前倒し的に市場に織り込まれてきたこともあって、懸念するほど株価波乱にはつながらないのではないかと考えている。  ただし、大勢トレンドが中期的に上昇転換するとはみていない。5月の中旬以降は駆け込み需要の反動が経済指標に反映され始めることや、波状的なドル安・円高が投資家のセンチメントを冷やすことになりそうだ。米国からの資金逃避の動きが意識されるなか、ドル売り圧力は今後も継続する可能性が高い。米国から流出したマネーはドイツや、メキシコやインドなどの新興国へ資金がシフトされやすい。日本にも資金の一部は振り向けられそうだが、米株安に逆行して上値を伸ばすような展開には至らないだろう。

 東京市場における物色対象も選別色が強く、半導体や自動車セクターは、値ごろ感につられた安易な押し目買いは避けるべき。やはり、内需株に照準を合わせるところで、ニトリホールディングス <9843> [東証P]、良品計画 <7453> [東証P]、ワークマン <7564> [東証S]のほか、山崎製パン <2212> [東証P]、キリンホールディングス <2503> [東証P]などが注目される。

(聞き手・中村潤一) <プロフィール>(くぼた・ともいちろう) 松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「グロース市場信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」など、これまでにない独自の投資指標を開発。また、投資メディア部長としてYouTubeチャンネルやオウンドメディア「マネーサテライト」を運営。 株探ニュース

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