ロシアのキーウ攻撃、異例の犠牲者数になった理由 ジェット推進ドローンが一因か

(CNN) ウクライナの首都キーウに対して2日に行われた攻撃では、少なくとも30人が死亡した。キーウに対する攻撃としては戦争開始以来、3番目に多い犠牲者数となった。 【映像】ロシアの爆撃機、滑走路で炎上 ウクライナはこれまで数百回の大規模航空攻撃にさらされてきたが、今週の攻撃ではとりわけ甚大な被害が出た。その要因はロシアが攻撃目標として住居ビルを選んだこと、弾道ミサイルや徘徊(はいかい)型兵器、ジェット推進式ドローン(無人機)といった兵器が使用されたことにある。 「ゲラン4」のようなジェット推進ドローンがロシアの兵器に加わったのは比較的最近で、最初に確認されたのは今年初めごろだ。 ジェット推進ドローンは最大時速500キロで飛行して、ウクライナの防空網をかいくぐることが可能。スピードが速すぎるため、ウクライナの移動火力部隊では対処できず、地対空ミサイルや戦闘機で撃墜するしかない。 ウクライナ空軍の報道官は3日、「敵はますます頻繁にこうしたドローンを使用しており、ロシアの保有兵器に占めるジェット推進式シャヘドの割合が増えつつある。これにより(我々の)リソースが消耗させられている」と説明した。ドローンに対してミサイルを使用せざるを得ず、ただでさえ逼迫(ひっぱく)しているウクライナの兵器供給にさらなる負荷がかかっている状況だ。 米戦争研究所(ISW)の専門家はジェット推進ドローンの使用について、ロシアがドローン兵器の戦術的、技術的革新を利用して「ウクライナ攻撃における民間人被害の最大化」を試みている新たな事例だと指摘する。 ISWは3日に公表した文書で「ウクライナにとって迎撃困難な高速ドローンの登場は、過去の攻撃パッケージの変更がそうだったように、民間人への被害をさらに拡大させる可能性が高い」との見方を示した。 ウクライナ軍報道官はロシアの2日の攻撃が特異だったもう一つの要因として、投入されたミサイル77発のうち28発が弾道ミサイルだった点を挙げ、これは「非常に多い数」だと指摘した。 ウクライナ国防省の3日の発表によると、今回の攻撃では巡航ミサイルの9割以上、シャヘド型攻撃ドローンの9割が迎撃された。 報道官によれば、ロシアが2日に発射したミサイルには、対艦・対地攻撃用の極超音速巡航ミサイル「ツィルコン」も含まれていた。「ツィルコンは非常に高速な弾道ミサイルのごとく飛行する。そうしたミサイルを迎撃できるのはパトリオットシステムだけ」だという。 弾道ミサイルの迎撃は依然として大きな課題だ。ウクライナは複数のパトリオット発射機を保有しているものの、使用するミサイルが慢性的に不足しているためだ。イランでの紛争の結果、当初ウクライナに引き渡される予定だったミサイルが中東に転用されており、不足は一段と深刻化している。 ISWによると、ロシアは以前から2日の攻撃を準備していた可能性が高く、そのために6月はドローンやミサイルを温存していたとみられる。ロシアは1月から5月にかけて平均で大規模攻撃を週1回、比較的小規模な攻撃を週数回実施していたが、6月に仕掛けた大規模攻撃は2回にとどまった。 ロシアはドローン生産の拡大に成功しており、毎月数千機を生産できる能力を持つ。数日おきに大規模攻撃を仕掛けることも可能だ。 ISWは文書の中で「ロシア軍は後日、クレムリン(ロシア大統領府)が選んだ時期にもっと高頻度で大規模攻撃を行うため、ドローンを蓄えているのかもしれない。もしロシアがウクライナの防空体制を一段と疲弊させることができると踏んでいるなら、その公算が特に大きくなる」と指摘した。

CNN.co.jp
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