米財務省がトランプがあしらわれた1ドル硬貨の写真を発表…イラクやシリア、リビアと同じではと米国が議論噴出(ニューズウィーク日本版)
米財務省は、ドナルド・トランプ米大統領の肖像をあしらった新たな記念1ドル硬貨の製造を開始する発表した。それを受けアメリカでは、存命中の指導者を自国の通貨に登場することについて議論が巻き起こっている。 【写真】トランプがあしらわれた1ドル硬貨 米財務省は、ドナルド・トランプ米大統領の肖像をあしらった新たな記念1ドル硬貨の製造を開始する発表した。それを受けアメリカでは、存命中の指導者を自国の通貨に登場することについて議論が巻き起こっている。 スコット・ベセント財務長官は、アメリカ建国250周年記念事業の一環として発行されるこの硬貨について、「自由という不朽の遺産」をたたえ、愛国心の象徴とすることを目的としていると述べた。 「アメリカが独立250周年を記念するにあたり、米財務省は自由という不朽の遺産をたたえ、永続的な愛国心の象徴とするため、この新たな1ドル金貨の鋳造を開始する。トランプ大統領をあしらったこの硬貨は、アメリカの価値観の強さと、すべての人の自由を守ることに尽力する国家の約束を称えるものだ」 ABCニュースによると、財務省はこの硬貨を「金色仕上げ」の新たな記念1ドル硬貨と説明している。財務省の報道官は、硬貨は秋に発行される見通しだと述べたという。 これまでの報道では、政権が通貨として流通させるための1ドル硬貨を計画しているとされていたが、今回公表された硬貨が一般流通するのか、それとも主に記念品として販売されるのかはまだ明らかになっていない。 本誌は米財務省、ホワイトハウス、市民貨幣諮問委員会にコメントを求めている。
イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドをはじめ、多くの国では存命中の君主が硬貨に描かれており、新たに発行される硬貨ではエリザベス2世女王に代わってチャールズ3世国王の肖像が使われている。 この伝統は、選挙で選ばれた指導者や政治指導者が通貨に登場することとは異なる。君主は世襲の国家元首であり、硬貨の肖像も王位の継承に伴って変更されるからだ。 比較すべきは、存命中の政治指導者や統治者の肖像が、権力の座にある間に硬貨や紙幣、記念通貨に登場した事例だ。代表的な例は、フィリピンのフェルディナンド・マルコス、シリアのバッシャール・アル・アサド、ウガンダのイディ・アミン、マラウイのヘイスティングズ・カムズ・バンダ、イラクのサダム・フセイン、リビアのムアンマル・カダフィなどだ。 問題となっているのは、単に存命中の人物が通貨に登場することではない。現職のアメリカ大統領が、在任中にアメリカの公式硬貨に登場することだ。 アメリカは長年、公式硬貨に現職大統領を登場させることを避けてきた。例えば、ジョージ・ワシントンも、アメリカ初の1ドル硬貨に自身の肖像を載せることを拒んでいる。故人の肖像を用いる伝統は、アメリカが君主制を否定したこととイコールだったと考えていたからだ。 1866年のセイヤー修正条項は、存命中の人物をアメリカの「債券、証券、紙幣、郵便通貨」に登場させることを禁じた。また、2005年の大統領1ドル硬貨法も、いかなる硬貨にも、存命中の現職大統領または元大統領の肖像を使用してはならないと別途定めている。 ただし、この原則にも例外がある。例えば1926年には、カルビン・クーリッジ大統領をジョージ・ワシントンと並べて描いた50セント硬貨が発行された。 トランプ政権は、この硬貨について、アメリカ建国250周年を記念する硬貨の鋳造を米財務省に認めるため2020年に成立した「2020年流通収集用硬貨再設計法」に基づき発行が認められていると説明している。