フランス、日本が艦艇輸出を狙うインドネシアにフリゲートを売り込み

日本の高市政権はインドネシア海軍の需要獲得=艦艇輸出に向けて積極的に動いているが、競合するイタリア、英国、フランス、トルコは日本以上に素早く動いており、ジェーンズは23日「フランスとインドネシアがフリゲートや潜水艦の追加建造を含む造船協力協定を9月24日に締結する予定だ」と報じている。

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日本、イタリア、英国はインドネシア海軍の艦艇調達を巡って競合し、日本はもがみ型護衛艦8隻の輸出を目指して2021年3月にインドネシアと防衛装備品・技術移転協定を締結したものの成果は得られず、イタリアのFincantieri(フィンカンティエリ)はパオロ・タオン・ディ・レヴェル級哨戒艦×2隻を11.8億ユーロで受注し、2025年7月と12月に引き渡しを終えている。英国のBabcock(バブコック)もアローヘッド140フリゲート×2隻の現地建造を受注し、2025年12月に1番艦が進水して2番艦の建造も進んでいる。

出典:Marina Militare

フランスのNaval Group(ナバル・グループ)もスコルペヌ型潜水艦×2隻の現地建造を受注、2年以上の歳月をかけてインドネシア国営造船所=PT PALの技術者を訓練し、2026年8月に1番艦の建造を開始したが、日本の高市政権もインドネシア海軍の需要獲得を諦めておらず、小泉防衛相は外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)のため2025年11月に来日したシャフリ国防相をもがみ型護衛艦の視察に招待し「スピード感を持って防衛面での連携と協力を強化したい」「日本が防衛装備品を移転(輸出)しなければ他の国が売るだけだ」と言及。

インドネシア海軍のムハンマド・アリ参謀長は2026年5月「日本がもがみ型護衛艦と潜水艦を提案している」と明かし、小泉防衛相とシャフリ国防相が2026年6月に会談した際「あさぎり型護衛艦の取得に関心がある」と伝えられ、両国は輸出後の維持・整備を巡る協力を含め実務者協議で議論を始めることで合意。さらに「インドネシアは海自の中古潜水艦にも関心を持っている」とも伝えられているが、インドネシア海軍の需要を狙う競合の動きは日本以上に素早い。

出典:T.C. Cumhurbaşkanlığı Savunma Sanayii Başkanlığı

トルコ国防産業庁は2025年7月にイスタンブールで開幕した国際防衛産業見本市で「インドネシアとイスタンブール級フリゲート×2隻の輸出契約を締結した」と発表、バブコックも2026年1月「インドネシアと40億ポンド相当の海洋パートナーシップ計画に基づく初契約を締結した」「アローヘッド140フリゲートのライセンスを追加で2隻売却する」と発表していたが、Janes(ジェーンズ)は23日「ナバル・グループがPT PALと中型フリゲート(FDI)やスコルペヌ型潜水艦の追加建造を含む造船協力協定を9月24日に締結する予定だ」と報じている。

この協定はFDIの調達やスコルペヌ型潜水艦の追加建造が実現した場合の枠組みに焦点を当てたものなので「正式な調達契約の締結」という意味ではないが、インドネシア海軍がFDI調達やスコルペヌ型潜水艦の追加建造に関心を持っているという具体的な示唆は初めてで、イタリアも自国の防衛産業に対する波及効果を期待して退役済みの空母ガリバルディを無償譲渡し「狙い通りの効果」を引き出すことに成功した。

出典:Marina Militare

レオナルドは2026年2月のシンガポール航空ショーで「インドネシア空軍の運用要件を満たすためのM-346F Block20の供給およびサポートに関する協力に向け、PT ESystem Solutions Indonesiaおよびインドネシア国防省と意向表明書(LOI)に署名した」「これはインドネシアの訓練および戦闘能力のニーズに対応するため国防省がM-346を選択したことを受けたものだ」「M-346は国防省が進める近代化計画(Hawk等の旧式機更新)に大きく貢献するだろう」「各当事者は早期の調達契約締結を目指して次の協議段階へと進む予定だ」と発表。

ボーイングもシンガポール航空ショーで「(2023年8月に署名したインドネシアとのF-15EX売却(24機)に関する覚書について)もう販売を積極的に進めていない」と明かし、Breaking Defenseも「インドネシアは意向表明書に署名するだけで『強制力が伴う契約』に署名しようとしない」「今回のM-346Fも署名だけで終わるのではないか?」と報じていたが、イタリア議会は政府提出の「ガリバルディ無償譲渡案」を支持、レオナルドは2026年7月のファーンボロー国際航空ショーで「インドネシア空軍向けにM-346F Block20×12機を供給する契約をPT ESystemと締結した」と発表して法的拘束力を伴う契約締結に成功している。

イタリア、英国、フランス、トルコなどが海外輸出に成功している要因の1つは「政府系金融機関による融資パッケージの提供」であり、日本がもがみ型護衛艦のインドネシア輸出を再推進するならJBICを通じた融資パッケージ(武器輸出に特化した迅速な融資)の提供が必要になる可能性が高く、さらに言えば中古護衛艦や中古潜水艦の提供は「純粋な善意」ではなく「日本の防衛産業に対する波及効果」を見込んだ上で行うべきで、あさぎり型護衛艦を提供して「インドネシア海軍が優秀な日本の護衛艦を取得した」で終わってしまえば国有資産の無駄遣いで、もっと可能性のある国への売り込みに使った方がマシだ。

小泉防衛相が「日本が防衛装備品を移転(輸出)しなければ他の国が売るだけ」と言及しているようにインドネシア海軍の需要は競合によって次々と埋められており、本気で契約を取りに行くなら中古護衛艦や中古潜水艦の移転を早く実現させて新造艦(もしくは他の国産装備)契約に結びつけるべきだし、インドネシア海軍が優秀な日本の護衛艦を取得しただけで終わるなら止めた方がいい。

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※アイキャッチ画像の出典:Naval Group

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