【分析】トランプ氏から続々離反する共和党候補、「レッドステート」でも顕著に 中間選挙控え
左からアシュリー・ヒンソン下院議員、マイク・ロジャース元下院議員、バイロン・ドナルドス下院議員。いずれもここ数日の間にトランプ氏から距離を置く動きを見せている/AP/Getty Images
(CNN) トランプ米大統領の歴史的な不人気ぶりを考えれば、中間選挙を控え、共和党候補がトランプ氏から距離を取るのはある程度避けられないことだった。
しかし、そうした例はここにきて積み重なっている。共和党色の濃い「レッドステート」の一部でとりわけ離反が顕著だ。
大統領やイラン戦争のような政策から距離を置く候補者の多くは、トランプ氏が以前に圧勝した地域で選挙活動を行っている。中には2桁の差がついた地域もある。
イラン戦争を理由としたここ1週間の離反は、特に注目に値する。
そのうち三つの大きな動きは、比較的小さなアイオワ州で起きた。アイオワ州のザック・ナン、マリアンネット・ミラーミークス両下院議員は先週、トランプ氏の戦争権限を制限する採決で賛成票を投じた。21日には、共和党候補として上院選に出馬しているアシュリー・ヒンソン下院議員がX(旧ツイッター)に、「この戦争を直ちに終わりに導く必要がある」と投稿した。
ヒンソン氏が離反した同日、やはり中西部の上院議員候補であるマイク・ロジャース下院議員も同様に、「イランとの戦争を終わらせる必要がある。今すぐ」と訴える広告を公開した。さらに22日までに、ウィスコンシン州知事選に挑むトム・ティファニー下院議員と、オハイオ州から選出されているジョン・ハステッド上院議員も、同調する姿勢を示した。
CNNが22日に報じた新たな世論調査では、イラン戦争へのトランプ氏の対応を支持する米国の成人は26%にとどまることが判明。数字は悪化の一途をたどっている。
州全体の選挙を戦う候補4人が今週早くもトランプ氏と決別したこと自体、多くを物語っている。しかし、離反が起きた州にアイオワ、オハイオの2州が含まれている意味も大きい。トランプ氏は2024年、両州をそれぞれ13ポイント差、11ポイント差で制しているからだ。
(トランプ氏は24年、ナン氏の選挙区で5ポイント差、ミラーミークス氏の選挙区で9ポイント差をつけて勝利した)
アイオワ州の上院選を巡っては、接戦になりそうだとの見方がある。トランプ氏の関税措置がアイオワ州にとりわけ打撃を与えていること、民主党がジョシュ・トゥレック州上院議員という有力候補を擁立したことが理由だ。
案の定、ヒンソン氏がイラン問題を巡ってトランプ氏と袂(たもと)を分かった翌日、マリスト大学の世論調査で、トゥレック氏が登録有権者の間で8ポイントリードしていることが判明した。これは上院選に関するここまでの世論調査で最も注目される結果だろう。ヒンソン氏が懸念するのも無理はない。
もっとも、トランプ氏が大統領選で2桁差をつけて勝利した選挙区から出馬していながら、トランプ氏から一定の距離を置かざるを得なくなっているのは、ヒンソン氏だけではない。
マイアミ・ヘラルド紙は22日、トランプ氏に近いフロリダ州知事選の共和党候補、バイロン・ドナルズ下院議員が選挙戦のウェブサイトから、大統領に関する目立つ言及を大量削除したと報じた。ドナルズ氏は最近、11月の選挙で共和党が上下両院の過半数を維持した場合、米国の成人全員に5000ドル(約79万円)を支給するというトランプ氏の提案に「懸念」を示す場面もあった。
ドナルズ氏が立候補しているフロリダ州は、トランプ氏が13ポイント差で制した州だ。
共和党の圧倒的な地盤(ディープレッド)から出馬していながら、ウェブサイトにこうした変更を加えたのはドナルズ氏だけではない。カリフォルニア州のヤング・キム下院議員やフロリダ州、ケンタッキー州の下院選候補も同様の動きを見せている。そればかりか、トランプ氏が32ポイントという大差をつけて勝利したケンタッキー州から上院選に出馬しているアンディ・バー下院議員でさえ、ウェブサイトを修正した。
この点に関して、過去1週間の間に注目すべき動きがもう一つあった。ヒスパニック系有権者が多く、トランプ氏が2桁差をつけた下院選挙区の共和党現職が2人、大統領の強硬な移民政策から距離を取ったのだ。
フロリダ州では、マリア・エルビラ・サラザール下院議員が、カメラに向かって直接語りかける広告を発表。この中でトランプ氏に対し、一部のヒスパニック系有権者はトランプ氏の移民摘発に「裏切られたと感じている」と訴え、移民関連以外の罪を犯していない人を狙い撃ちにするのは「行き過ぎ」だと説いた。
先週この広告について問われたトランプ氏は、「同意できない」と述べたものの、支持を取り下げない考えを示唆した。サラザール氏は20日、トランプ氏と話をしたことを明らかにし、自身の警鐘を「とても前向きに受け止めてくれた」と語った。
テキサス州のモニカ・デラクルス下院議員は、幼少時に親とともに不法入国した若者の救済措置制度「DACA(ダカ)」の対象者を移民税関捜査局(ICE)の拘束から解放する取り組みをアピール。広告内で二度にわたって、移民制度は「破綻(はたん)している」と言及した。
トランプ氏は24年、共和党候補としては異例なほどヒスパニック系有権者の支持を集め、サラザール氏の選挙区で15ポイント、デラクルス氏の選挙区では18ポイント差をつけて勝利した。だが最近の世論調査によると、この層の支持は再び民主党へ揺れ戻っているようだ。
こうした動きの多くはトランプ氏との完全な決別というよりも、さりげない形で表れている。
「イランとの戦争を終わらせる必要がある」という発言は、「戦争は間違いだった」と言うことと同じではない。ウェブサイトの変更も目立たないものだ。少なくとも記者が気付くまでは、ということだが。移民に関する広告の中でトランプ氏に語りかけるサラザール氏の口調にしても、トランプ氏は24年大統領選で繰り返し約束した大規模強制送還を実行しているのではなく、単に周囲から悪い助言を受けているだけだと言わんばかりだ。
しかし、24年にトランプ氏がたやすく勝利した地域でさえ、このように距離を置く必要性が感じられているという事実は、候補者が世論の変化をどう認識しているかを如実に物語る。
離反する候補はこれで最後ではないだろう。むしろ、これまでトランプ氏の不興を買うことを避けていたものの、今となってはやむを得ないと感じている他の候補が堰(せき)を切ったように続くかもしれない。
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本稿はCNNのアーロン・ブレイク記者による分析記事です。