「誰よりも結果にこだわってきた」からこその九州L昨季32G14A→プロ初出場初弾…宮崎産経大4年FW佐藤颯之介がJ1でもデビュー「満足したら成長はできない」(ゲキサカ)
[4.29 J1第13節 湘南 0-0 福岡 レモンS] 0-0で迎えた湘南戦の後半30分、アビスパ福岡は勝ち越しを狙うジョーカーとして現役大学生のFW佐藤颯之介(21)を投入した。今月16日のルヴァン杯2回戦・栃木SC戦でのプロデビュー戦初ゴールを経て、これがJ1デビュー。劣勢の中でシュートチャンスが訪れることはなく、佐藤は「数字で結果を出せなかったので自分の力不足」と悔しさを噛み締める結果となったが、結果で成り上がってきた期待のストライカーが大きな一歩を踏み出した。 J1リーグ戦では、前節の岡山戦(△1-1)に続いて2度目のベンチ入り。岡山戦は終盤までリードする展開だったこともあって出番は訪れなかったが、この日は0-0の同点が続いていたなか、金明輝監督からの大きな期待を背負ってピッチに立った。 「若い選手なのでゲームに使ってみないと見えないところはある。そういった中で起用することで刺激にもなるし、成長を促進するところで期待もしている。ただそういった意味合いだけでなく、シュートの精度、ゴール前のクオリティーがすごく高いので、そういったシーンを作れればと思った」(金監督) 入りは守備に追われる時間が続いていたが、後半41分、まさに“そういったシーン”につながりそうなチャンスが訪れた。自陣でボールを奪ったMF重見柾斗の縦パスがFWシャハブ・ザヘディに入り、そのままカウンターがスタート。左には佐藤、そして右にはMF紺野和也が走り出しており、数的優位のビッグチャンスだった。 ところが、この攻撃が完結することはなかった。ザヘディはボールを持ち運んで局面を変えたものの、パスを出さず、タッチが乱れてボールロスト。佐藤の目前にはゴールにつながる広大なスペースが広がっていたが、決定機に持ち込むことすらできなかった。ザヘディは直後、途中交代となった。 それでも試合後、佐藤は自らに責任を向けていた。「信じて走って、あとはシャハブの判断。常に追い越すスプリントは練習から求められていることだったので、そこは出せたと思うけど、もしパスが出ていればと思うと……自分の要求が足りなかった」。パスを出さなかった判断を責めるのではなく、周囲への働きかけに改善点を見出していた。 試合の総括でも同様の姿勢を崩さなかった。「もっと要求するところは要求したい。また途中から入ってフレッシュな選手の中で2度追い、3度追いでもっとチームに勢いをもたらせればよかった。途中の選手はそういう役割があると思うのでまだ足りない部分があった。自分としても納得はいっていない」と冷静に振り返った。 ▼「結果」で切り拓いてきたキャリア 2003年生まれの佐藤は宮崎産業経営大在学中の大学4年生。昨季の九州大学リーグ1部で32得点14アシストという記録的な大活躍を見せ、得点王とアシスト王をダブル受賞したことで一躍名を挙げ、今季開幕前に福岡への加入内定を掴み取った。 そして今月16日のルヴァン杯2回戦では当初はベンチ入りの予定だったが、先発に入っていたFWナッシム・ベン・カリファに試合直前のアクシデントがあり、急遽先発出場。すると開始直後の前半4分、ペナルティエリアの手前でボールを受けると、果敢なミドルシュートでプロ初ゴールを記録した。 このゴールは普段共にプレーしている選手たちにとっても“佐藤らしい”ゴールだったようだ。「自分の得意な角度でシュートを打った。大学リーグでもああいう得点が何本かあって、周りの選手からは『颯之介だから決められたんじゃないか』と大学のチームメートやスタッフも言ってくれた」(佐藤)。 またこの結果が転機となり、福岡でのトレーニングにも馴染みやすくなったという。 「練習中もパスが出るようになってきたし、サッカー外でもいろんな選手が優しくしてくれて、アドバイスしてくれたりするので多くのことが自分の身になっている。いろんな選手の話を聞き入れながら、どれだけ自分が活かせるか。そこはさらに練習だったり、自分次第だと思うので良くしていければ」(佐藤) そうした日々を経て、攻撃面ではJ1レベルで通用する自信を掴みつつある。「攻撃に関しては動き出しもわかりやすいほうだと思うので、パスが出るタイミングであったり、ボックス内のコンビネーションは自信を持っているのでやれるとは思う」。一方、課題としては「守備のところと立ち位置の部分は常に練習から監督に言われている」というが、これは高校・大学から加入する選手全員が通る道。前向きに改善を進めていく構えだ。 得意の攻撃面でも、妥協するつもりはない。昨季の大学リーグでの活躍にも「ゴール・アシストは練習から誰よりもこだわってきた部分なので、そこは実を結んで結果が出たのでよかったと思うけど、そこで満足したら成長はできない」と断言。「自分的にも成長できる部分はいっぱいあると思うので、アビスパの選手からいいものを盗んで自分の長所にしていければ」とプロ水準の成長を志す。 ここから先もどの程度、福岡に帯同するかは「まだ決まっていない」というが、次の目標はスタメン奪取だ。「特別指定選手で帯同させてもらっているけど、それは関係なくスタメンで出られるくらいにもっと自分を出してアピールしたい。監督の信頼としても、得点・アシストなど目に見える結果を残さないと颯之介を使おうとならないと思うので、練習からもっと自分を出せるようにしていきたい」と決意を語った。