【大河ドラマ べらぼう】大文字屋役・伊藤淳史さん、若木屋役・本宮泰風さんインタビュー「“忘八対決”はヤンキー映画以上の勢い」「現場で流星君は好感度抜群」「忘八たちは回転寿司が好き」
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で、大文字屋市兵衛を演じる伊藤淳史さん、若木屋与八役の本宮泰風さんにインタビューしました。第12回で描かれる俄(にわか)祭りで踊りの対決をすることになるお二人。まるで合戦のような熱い戦いの様子や忘八たちの素顔、蔦屋重三郎役の横浜流星さんの魅力や、祭りで活躍する次郎兵衛役の中村蒼さんについても語ってくれました。
大文字屋はお金が大好き、若木屋は蔦重たちと対立
――忘八のなかで、大文字屋の特徴は?
伊藤さん:大文字屋は一代で成り上がったという設定で、お金が大好き。第1回で「女郎にカボチャでも食わせておけ」と言って蔦重にカボチャを投げつけるシーンが大文字屋を象徴しています。忘八メンバーは上手な役者さんばかりで、怒りのシーンも静かに表現されるのですが、僕はいつも怒鳴って叫んでいます(笑)。
――本宮さんはいろいろなドラマに出られていますが、忘八役ははじめて?
本宮さん:はじめてです。忘八は、乱暴なところもありつつ、粋な部分もあるというイメージで捉えていました。若木屋は、蔦重や大文字屋と対立する立場ですが、話が進んでくると、周囲とぶつかるだけでなく、だんだん人間らしさが出てくると思います。
ほぼ一ヶ月、毎日稽古
――俄祭りでは大文字屋と若木屋が「雀踊り」で対決します。練習は大変でしたか?
伊藤さん:踊りは苦手なので、最初にお手本の動画を見たとき、絶対に無理だと思いました(笑)。今までやったことのない動きばかりなので、とにかく練習が大変で。家で音楽をかけながら踊っていたのですが、まじめにやればやるほど子どもたちが大爆笑していました(笑)。
本宮さん:僕もほぼ一ヶ月、毎日動画を見て練習しました。最初に台本を読んだとき、こんなに大変な稽古が必要になると全然思っていなくて。伊藤君と一緒に「はめられたなぁ」と話したりして(笑)、お互いに慰め合いながら乗り越えました。
伊藤さん:大文字屋と若木屋がそれぞれチームを引き連れて対決するのですが、僕は先頭にいるので、後ろにいる仲間の振り付けを見て合わせることができないし、間違ってもごまかせない(笑)。しかも、目の前にいる若木屋さんの振り付けや音楽と、大文字屋のとは全然違うので、本宮さんの踊りにつられないようにしなければならず、緊張感がありました。
衣装の差し色には大文字屋を象徴するカボチャ色が使われています本宮さん:最初はお互い自分の踊りのほうが難しいと思っていたのですが、一緒に稽古してみると、どちらも同じくらい複雑で(笑)。僕らはこの対決をダンスバトルと呼んでいたのですが、みんなで合わせる稽古も長時間やりましたし、かなり練習してがんばったと思います。
戦いはヤンキー映画以上
――本番は、いかがでしたか?
本宮さん:この本番に向けてずっと稽古していたので、当日は、子どものころに感じた運動会当日の朝みたいな気分でした。本番は何回踊っても終わらず、まだ撮るのかと思うほどで(笑)。
伊藤さん:俄祭りは30日間続くものなので、いろいろなパターンを撮る必要があり、当日は朝から晩まで何十回踊ったかわかりません。暑い時期だったので、みんな大変だったと思います。
――セットが本格的で、エキストラさんも含めて100人を優に超える規模の撮影だったと聞いています。
本宮さん:東宝スタジオで撮影したのですが、精巧なLEDビジョンやCGのグリーンバックがある立派なセットでした。長いことこの仕事をしていますが、あれほどのセットで収録できる機会はなかなかないので、役者として光栄でしたね。
伊藤さん:出演者もすごく多く、カメラもクレーンカットで高いところから撮るなど、スケールの大きな撮影でした。祭りでの戦いシーンは今までの大河ドラマであまりないような気がするので、視聴者の方も楽しんでいただけると思います。
――ヤンキー映画みたいな戦いもあるのですか?
本宮さん:見た目はそれほど激しいバトルという感じではありませんが、刀で切り合うぐらいの勢いで僕たちはやっています。気持ち的にはヤンキー映画以上ですね。
真剣な表情で踊る若木屋さん――どちらが勝ったと思っていますか?
伊藤さん:僕が勝ったな、と(笑)。本宮さんは格闘技もされて体格も良く、肉体では負けますけど、気持ち的には「絶対負けないぞ」と強く思って必死にやりましたから。
本宮さん:僕も勝ったと思っています(笑)。あくまでもチーム戦なので、僕たちのほうが勝っていたと思います。というのも、実は僕の踊りのレベルが低かったので、振り付けの順番を忘れてもいいように、舞踊家の方たちが僕の視界に入って絶妙なフォーメーションを組んでくれて(笑)。周りに助けてもらっているうちに、チーム内にとてつもない一体感が生まれたのです。おかげで、全体として良い形になったと思います。
忘八たちの素顔は…
――忘八のみなさんは、撮影の合間にどんな話をしているのですか?
伊藤さん:駿河屋の高橋克実さんや扇屋の山路和弘さんは怖そうに見えますけど、みんな優しくいい人です。忘八のシーンは撮影に時間がかかるので、みんなで慰め合う機会が多くて。たいてい食べ物の話やお酒の話をしています。特に回転寿司の話で盛り上がります。今日撮影が巻いたら、近くの回転寿司に行こうとか(笑)。
本宮さん:伊藤君はいつも安達祐実ちゃん(「大黒屋」の女将りつ役)と食べ物の話ばかりしているんです(笑)。あそこがおいしいとか。それを僕や克実さんたちが「また寿司の話しているね」とニヤニヤしながら聞いています。
伊藤さん:祐実ちゃんとは年齢が近く子役出身なので共通ネタが多くて。「子役上がりは忘八だね。がんばったね私たち」とよくわからない話をして盛り上がっています(笑)。男くさい忘八のなかで、彼女が場を和ませてくれます。
本宮さん:ダンスバトル後、忘八撮影シーンの現場で伊藤君と僕の踊りがすごく大変だったと話をしていたことがありました。そのとき、アドリブで尺が必要になり、祐実ちゃんが踊りの思い出を語りはじめ、伊藤君に「もう1回踊って見せておくれよ」と無茶振りして(笑)。伊藤君はかたくなに断っていましたね(笑)。
現場で流星君は好感度抜群
――主役を演じる横浜流星さんの魅力は?
伊藤さん:良い意味で主役っぽい雰囲気を出さず、蔦重みたいに気さくな感じです。軽やかな雰囲気で現場にいるので、話しやすいです。
本宮さん:物理的に寝る時間も少ないなかで、朝から夜まで撮影があり、セリフも多くて大変だろうなと思います。流星君はいつもすごくがんばっているので、現場での役者からの好感度は抜群。ベテラン俳優も含めて、みんなを引っ張ってくれます。
――次郎兵衛を演じる中村蒼さんはいかがですか? 第12回の俄祭りでも活躍しそうです。
伊藤さん:次郎兵衛はダンスバトルで僕のチームにいますが、蒼君の人柄と役柄がうまく合っている気がします。彼はいつも平和な感じで、疲れているときもニコニコしているので、「怒ったりしないの?」と聞くと、「全然怒りますよぉ」と笑顔(笑)。彼がいると、現場が穏やかな空気に包まれます。祭りの踊りも本番は完璧に仕上げてきました。すごい練習したはずです。次郎兵衛ファンの期待に応えるシーンもあると思います。
――楽しみにしています。ありがとうございました。
(ライター・田代わこ)
伊藤淳史(いとうあつし)さん 1983年生まれ、千葉県出身。子役時代から活躍し、テレビや映画の人気作品に出演。NHKでは大河ドラマ『春日局』『義経』、連続テレビ小説『とと姉ちゃん』、BS時代劇『猿飛三世』などに出演。
本宮泰風(もとみややすかぜ)さん 1972年生まれ、東京都出身。1994年に俳優デビュー後、数多くのドラマや映画などに出演。連続ドラマ『日本統一 北海道編』主演。NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』、大河ドラマ『麒麟がくる』に出演。
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