迷走してしまった優勝候補の3チーム。「逆に行ってしまった」まさかのQ1敗退に悩み収まらず
スーパーGT ニュース
Tomohiro Yoshita / autosport web
今回も暑さが厳しい状況下で行われている2025スーパーGT第5戦鈴鹿。今回はサクセスウエイトが復活し、上位陣は燃料リストリクター制限が入っていることもあり、比較的サクセスウエイト(SW)の軽いチームが上位に行く結果となった。ランキング首位のau TOM’S GR Supra、ランキング2番手のDeloitte TOM’S GR SupraはQ1で敗退を喫した一方、まだ燃料リストリクター制限に入る前で優勝候補にも挙がっていたARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT#8、Astemo CIVIC TYPE R-GT、DENSO KOBELCO SARD GR Supraの3台がQ1で脱落した。
予選後に3人のQ1担当ドライバーに話を聞くと、それぞれに悩みがあるようだった。
公式練習からなかなか上位に来る気配が見られなかったAstemo CIVIC TYPE R-GT。結局、午前のセッションは15番手で終わり、苦戦が強いられている様子がうかがえた。予選Q1はGT500ルーキーの小出峻が担当したが、1分47秒099で14番手という結果に終わった。
小出に予選アタックについて聞くと「何が原因か分かっていれば、ここまで苦労はしないんですけど……」と元気がない様子。午前中からグリップ不足の症状が消えなかったという。
「単純にフロントもリヤもグリップを感じられていない、出せていないです。たとえが難しいのですけど、クルマが浮いている感じというか……いわゆる接地感があまり感じられていないです」
「これがちょっとだけなら良いですけど、度合いが大きいですね。特に鈴鹿からタイムに響くところもあるかもしれませんが……そこの原因究明を必死にやっているところです」
予選に関しては練習走行から若干、改善したようだが「根本の解決にはいたっていないです」と小出。「悔しいですけど、明日に向けて準備できることをするしかないですね」と、取材時点では良い兆しを見つけ出すことができていない様子だった。
今季GT500クラスにステップアップした小出は、6月のマレーシア・セパンで“レースウィークが初GT500初走行”を経験したが、この鈴鹿も意外なことに今日がGT500初走行だったとのこと。「今日がGT500で走る鈴鹿は初めてでしたけど、予選までに何とかかたちになったと思っています。自分としては『意外と走れたかな』という手応えはあります。ただ、タイム的にはけっこう壁が大きいという感じですね」と、アタックに対しての影響はすくなかったようだ。
ルーキー小出峻がQ1を担当するも、14番手となってしまったAstemo CIVIC TYPE R-GT
ポールポジションを獲得した16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTと同じチームながら、8号車のARTAは別の悩みを抱えている様子。17号車Astemoと同様に公式練習から上位に食い込むことができず、最終的に11番手でセッションを終了。予選Q1は野尻が担当したが、12番手止まりでQ1敗退となってしまった。
走り出しからの苦戦が予選にも響いた印象だったが、予選後に野尻に聞くと、実は同じような展開が5月の第2戦から続いているという。
「ゴールデンウィークの富士くらいから走り出しが思いのほか良くないなかで、何とか予選で前に行くという感じでやれていました。前回の第4戦富士もそうでしたけど、なにか良くないというか……グリップの出るところが狭いというか、(グリップが)出たり出なかったりが激しいという印象で、ちょっと苦戦しています」
「持ち込み(セットアップ)が良くないのか……公式練習では決まったように下位からスタートなので、そこはチームといろいろ話はしています」
険しい表情で語る野尻。これまでは結果的に予選に向けてリカバリーができていたが、今回は「うまくハマらなかったです。走り出しからなかなか治らず、予選でタイムこそ良くなりましたけど、周りの上がり幅もあったので……という感じです」と肩を落とす。
予選後も、8号車陣営は長時間に渡りミーティングを行なっていた。試行錯誤は続けているようだが、こちらも答えが見つからない模様。
「隣に16号車がいますけど、毎回、同じセットアップにしても同じように走らなかったりしていましたし、あまり参考にならないという状況です。もちろんホンダ陣営でデータ共有はしていますが、そこを取り入れてもあまり良いことがないような気もしていて……迷走中です」と野尻は語った。
8号車ARTAと同じように、今季は走り出しから苦戦することが多く見られるのがDENSO KOBELCO SARD GR Supra。今回の鈴鹿では公式練習で10番手タイムを記録するも、予選Q1では最下位に沈む結果となった。
Q1を担当した関口雄飛に聞くと「感触は、タイム通りという感じで良くないですね」とのこと。朝からバランス面で苦労していたようで「オーバーもアンダーも両方出てしまう、みたいな感じですね」と語る。
「今年はこういう状況が続いています。第2戦も第3戦もそうで、セパンでも公式練習で最下位で、そこから週末スタートしていくという感じでした。ただ、セパンの時は予選に向けて差を縮めていけたのが、今回の鈴鹿では逆の方向にいってしまったという感じです」と、8号車同様に、今回はリカバリーがうまくいかなかった模様。
予選に向けたセット変更に関しては「あまり大きくは変えず『予選はこれで行けるんじゃないか?』と思ったんですけど、結局うまく行きませんでした」と振り返った。
この日は、SARDのファンミーティングがパドック内のセンターハウスで19時から開催されたが、その開始時間ギリギリまで脇阪寿一監督をはじめ、ドライバーふたりとエンジニア陣が険しい表情でミーティングを続けていた。「(原因究明の)答えはまだ出ていません」と話す関口。決勝レースでどう挽回してくるのか、注目だ。
スーパーGT第5戦鈴鹿、予選15番手となってしまった39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra
五十嵐みさいがらしみさ
2025年 / スーパーGT 埼玉GreenBraveサポーターズ