性暴力で「人生奪われた」 映画監督告発の俳優が学校に求めること

自身の半生を振り返る俳優の石川優実さん=東京都千代田区で2025年11月28日午後4時42分、西本紗保美撮影

 「#KuToo」運動で知られる俳優の石川優実さん(38)は2022年に映画監督からの性暴力被害を告発後、うつ病と複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した。

 社会から性暴力を根絶させるためにはどうすればいいか。

 「性暴力で人生を奪われた」という石川さんと、その半生を振り返ってもらいながら考えた。

映画監督の被害、30人以上が告白

 ――22年に映画監督の榊英雄氏からの性被害を週刊誌上などで告発しました。

 ◆かつて榊氏の作品に出演した時に望まない性行為をさせられたことについて相手の名を伏せてブログに書いたのですが、関係者からの連絡で当時、榊氏が性被害をテーマにした映画を撮っていたことがわかり、許せないと思いました。

 私や他の被害者が週刊誌の取材に対して榊氏からの被害を告発したことで、30人以上から「私も」と被害の告白などが寄せられました。その映画は公開中止になり、榊氏は逮捕されました(準強姦(ごうかん)罪で起訴。公判で無罪を主張)。

 被害から時間もたっており、さまざまな事情で被害届を出せない人も多くいましたが、そうした被害者への救済は全くありませんでした。

 告発をきっかけに「パワハラ・セクハラのない映画界をつくろう」という動きも起こり、是枝裕和監督らも声を上げました。

 しかし、既に被害に遭った私たちは「声を上げてくれてありがとう」と言われたほかは、誹謗(ひぼう)中傷による2次被害を受けるぐらいでした。

 社会を良くするために告発を利用しないでほしい。メディアには被害内容のみが注目されがちです。今後新たな被害を生まないことも大切ですが、被害者の人生は今も、ずっと続いているのです。

性被害の後、働けず困窮

 ――23年にはうつ病、複雑性PTSDと診断されました。

 ◆17年に芸能界での性被害をブログで告発し、19年には「#KuToo」の展開もあって芸能界から距離を置いたことで、性被害そのものからは離れましたが、環境が安定したため被害を自覚し、後遺症が出やすくなったのだと思います。

 誹謗中傷も影響して症状が重くなり、…

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