1日1000人利用のバス廃止へ 千葉市花見川区 「運転士不足」代替交通なし 住民存続求めるが…

 1日に千人超の利用があるバス路線を巡り、バス事業者から廃止の意向が示されている。議論の俎上(そじょう)に上がっているのはJR総武線幕張駅(千葉市花見川区)を発着する「花島公園・長作町線」(以下花島公園線)。団地や住宅街をカバーし、通勤・通学に欠かせない存在だ。この地区にバスに代わる公共交通は、ない。地域住民の生活を支えてきた存在が失われる事態に沿線住民は困惑。存続を求める声が上がるが、「運転士不足」という現実が立ちはだかる。 (大村慧)

 花島公園線は同区を中心に路線を展開する「千葉シーサイドバス」が運行する。3月、関東運輸局に同線を含む3路線の10月1日付での廃止を届け出た。  市交通政策課によると、対象の路線は▽「八千代台線」(八千代台駅~幕張駅)▽「幕張駅南口線」(幕張駅~海浜幕張駅)▽「花島公園線・長作町線」(花島公園~長作町~幕張駅~海浜幕張駅)の花島公園~幕張駅部分。  八千代台線の系統区間は2つあり、いずれも平日便数は1日1便、1週間の平均利用者数は1人と7人。幕張駅南口線も同便数で、利用者は平均1人。  一方、花島公園線は9つある系統区間のうち、花島公園~海浜幕張駅の平均利用者は1日1028人。鉄道駅まで歩いて行けない地域を走っており、住民への影響が大きいとして市は同社に協議を申し出た。  これを受け同社は10月以降、花島公園線の一部区間で運行時間を日中に限る大幅減便により、来年3月末まで運行継続する意向を示している。市は朝晩の運行こそが求められているとして、朝晩便を確保できないか模索している。 ◆「2024年問題」で拍車  2日には花島コミュニティセンターで市と同社が出席する地元説明会が開かれた。約100人の住民が参加する中、同社の営業所長は廃止の理由として「運転士不足」と「交通事情」を挙げた。  「募集を行ったり待遇を改善したりしてきたが厳しい状況。努力が足りない、魅力がないと指摘されればその通りだ」とした上で、「育たない。人が来ない」と明かした。  運転士不足は従来より課題だった。そこに運転士の時間外労働規制が強化された2024年問題が拍車をかけた。再雇用も含め、人材確保に尽力してきたが、運転士の平均年齢は60歳を超え、最高齢は77歳。「やれることはやってきたつもりだ」 ◆狭い道路、人材定着せず  運転士不足の一因はこの路線特有の道路事情にもあった。一部区間で道幅が狭く乗用車とのすれ違いが困難な箇所があり、同社は多く客を乗せられる大型バスではなく、中型バスで運行してきた。「(客を多く乗せられる)大型バスであれば必要な運転士の人数は減る」  中型バスでもすれ違い困難な道は、人材定着にも悪影響を及ぼしてきた。営業所長は「くねくね道の運転には非常に高い技術が必要。心が折れてしまう人もいる」といい、「5人採用して2人残れば御の字だ」と明かす。 ◆「通勤、通院できない」  説明会では住民から日々の運行に対する感謝が述べられつつも、存続を強く望む声が上がった。  「バスがあるから引っ越してきた」「通院ができなくなる」「通勤について会社と相談しなければならない」「免許返納しなければならないのに困る」-。  参加した女性(44)は持病の影響で車の運転ができない。引っ越し先に選んだのは花島公園線のバス停近くだった。「本当にどうしようという感じ。家族も日常的に利用している。存続してほしいけど」と途方に暮れた。 ◆市と事業者、解決策模索  6日には千葉市役所で地域公共交通部会が開かれ、議題は路線廃止についてだった。千葉市と部会の専門家のほか、同社、市内の交通事業者が出席し、対応について協議された。部会は2時間を超えた。  同社の木嶋正孝社長は「市の要望は真摯(しんし)に受け止める」としつつも「やめたくて廃線にするのではない。運転士がいれば続けられるということを理解してほしい」と訴えた。  部会の専門委員からは「外部団体や第3セクターを設立して、運転士を確保するあり方も考えなければならない。そういう段階にある」「(大幅減便される)10月以降のことを考えると、運転士確保の方向性とは別案も考える必要もある。市と事業者で信頼関係を構築するため、もう少し話し合いを」などという意見が出た。  現在、花島公園線は花島公園~幕張駅間の大幅減便を前提として、10月1日付の廃止を延期し来年3月末まで継続する意向が示されている。延期で確保できた時間をどう生かすかが鍵となる。

千葉日報オンライン
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