SHEINやTemuの出店者困惑、越境電子商取引巡る米国の動きに警戒感
- 郵便小包巡り中国政府が対策を講じない限り壊滅的な影響との指摘も
- 越境電子商取引ができなくなれば、中国で「工場の閉鎖の波」
米郵政公社(USPS)が中国と香港からの国際郵便小包の受け取りを一時停止するとした決定を数時間後に覆した。米国の消費者に通販サイトを通じ商品を販売している中国事業者の間には困惑が広がっている。
これらの事業者はアパレルのSHEIN(シーイン)や「Temu」といった中国系の通販サイトを利用。中国のオンライン小売り各社は、小包の受け取りが停止されれば、北米事業が大きな打撃を受け、薄利で運営されている工場の閉鎖や消費者が負担するコスト上昇につながる恐れがあると警戒していた。
中国・香港発の小包受け取り停止で生じ得る影響について、越境電子商取引業界向けのメディアプラットフォーム「Waimaojia」の創業者アンディー・グオ氏は、中国政府が効果的な対策を講じない限り、TemuやSHEINのようなオンラインプラットフォームや小規模工場は壊滅的な打撃を受けると指摘している。
USPSは5日、中国と香港からの「全ての国際郵便小包」の受け取りを継続すると発表。「宅配便の混乱を最小限に抑えるよう、新たな対中関税の効率的な徴収メカニズムの導入に向けて」税関・国境警備局(CBP)と協力していると説明した。
USPSの受け取り停止は、輸入貨物の申告額が800ドル(約12万2000円)未満の場合に関税を免除するいわゆる「デミニミス」ルールの中国への適用を停止するとしたトランプ大統領の決定に起因。
中国の電子商取引企業はこの免除規定を利用してきたが、中国からの輸入品に10%追加関税を課す措置の一環として同ルールの対中運用停止が発効した。
5日の米株式市場で、Temuを運営するPDDホールディングスの米国預託証券(ADR)は取引開始直後に一時4.6%安を付けた後、3.4%安で通常取引を終えた。
自国経済の低迷が続き、国内市場の供給過剰に見舞われている中国の輸出とって、越境電子商取引は救世主となっている。グオ氏はもし越境電子商取引がなければ、「3カ月以内に深刻な配送遅延と工場の閉鎖の波が起こる可能性がある」と述べている。
関連記事 米郵政公社、中国と香港からの郵便小包受け取り継続へ-停止決定覆す 中国の電子商小売り狙い撃ち-トランプ政権、小包関税免除の廃止探る原題:Shein, Temu Sellers Unnerved by USPS Flip-Flop on China Parcels (抜粋)