プーチン氏は最大限をあえて要求、譲歩の意思ない-西側当局者
ロシアのプーチン大統領はいかなる和平協議においても、領土と平和維持軍、ウクライナの中立性に関する要求で譲歩するつもりはないと、西側の安全保障当局者が述べた。信頼に足る合意の確保を目指すトランプ米大統領の取り組みは、容易には行かなさそうだ。
プーチン氏はウクライナや欧州諸国には受け入れられないだろうと知りつつ、戦争終結の交渉に先立ち、あえて「最大限の」要求を突きつけていると、安全保障当局者は語った。この要求が通らないならプーチン氏は戦争を継続する覚悟だという。当局者は非公表の問題を話しているとして、匿名を要請した。
プーチン氏の意図に関するこうした評価は、ウクライナとの現実的かつ永続的な和平の交渉を同氏が真剣に考えているのか、疑問を投げかける。トランプ氏は7日にホワイトハウスで記者団に対し、プーチン氏は平和を望んでいると信じていると述べたが、全く的が外れていることにもなる。トランプ氏は「率直に言って、(ロシアとよりも)ウクライナに対する方が難しい」とも語っていた。
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ロシア大統領府のペスコフ報道官は、同国の立場に関する西側安保当局者の評価について「事実ではない」と述べ、ウクライナが交渉を可能にする措置をとる必要があると主張した。「和平への努力や、ウクライナを巡る平和解決にロシアはオープンで、平和的・外交的手段によって目的を達成できる方が望ましいと実際のところ考えている」と説明。
「きょう明日にでもウクライナに交渉の用意があると明らかになるなら、話は変わってくる」とも語った。
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ブルームバーグは先週、ロシアが条件付きで停戦協議に応じる意思を示したと報道。条件には、ウクライナに駐留する平和維持軍の構成をロシアが決定することなどが含まれている。このほか、ウクライナの中立国化や併合地域がロシア領として国際的な承認を受けること、欧州の平和維持軍派遣への反対も、ロシアが長く続けている要求だ。
ロシアが掲げるこれらの目標は、スターマー英首相やマクロン仏大統領ら米国の同盟国が目指す「公正で永続的な平和」の条件とは相いれない。両首脳は停戦を確保するための「有志連合」を結成しようとしている。
トランプ氏は戦争終結を公約するが、西側安保当局者の評価はプーチン氏がウクライナに対し長年とってきた強硬路線を軟化させる理由はほぼないとみていることを示唆する。ロシアの条件を丸のみするような条件での合意を拒むウクライナが非難され、欧州諸国の支援を受けながら戦争を継続する可能性もある。
そうなれば、ロシア寄りの姿勢を見せ、欧州により大きな責任を担うよう求めるトランプ氏の下で既にあらわになりつつある北大西洋条約機構(NATO)内の亀裂は、一段と急速に広がる。欧州の安全保障に対する米国のコミットメントを欧州首脳が公然と疑問視し、欧州諸国が防衛費を急速に増やすなど、ロシアがNATO分裂という目標を達しつつある兆しも見られる。
ロシアはウクライナのNATO加盟を断念させるだけでなく、最近ではNATOをポーランドやルーマニアなど東欧諸国が加盟する前の1997年の状態に戻すことも主張している。これはトランプ氏の融和的なアプローチがロシアを助長させていることの表れとも捉えられる。
ロシアのラブロフ外相は先週、欧州軍をウクライナに駐留する平和維持部隊として認めるような合意には「断固」反対するとし、「妥協の余地はない」とモスクワで記者団に述べていた。
原題:Western Officials Say Putin Knows His Ukraine Terms Won’t Be Met(抜粋)