アルツハイマー病のリスクが20代からわかる可能性、驚きの報告
ニューロン内部の神経原線維変化のイラスト。神経原線維変化は、アルツハイマー病による認知機能の低下と密接に関連している。(ILLUSTRATION BY HYBRID MEDICAL ANIMATION, SCIENCE PHOTO LIBRARY)
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今から100年以上前、ドイツの神経解剖学者アロイス・アルツハイマーは、1人の女性患者の異常な混乱に注目した。患者が亡くなった後、その脳を解剖した博士は、アミロイドベータの沈着(老人斑)とタウタンパク質の蓄積(神経原線維変化)を発見した。
今日では、この2つの病理学的な変化が脳の正常な機能を妨げると、ニューロン(神経細胞)が死滅することが分かっている。脳の変化に伴い、患者はもの忘れが増え、記憶が失われてゆく。進行したアルツハイマー病を元に戻すことは不可能だ。けれども早期に発見できれば、脳の損傷を遅らせることができるかもしれない。
2025年4月5日付けで医学誌「The Lancet Regional Health – Americas」に発表された研究で、アルツハイマー病のリスクの兆候を、20代や30代という、従来考えられていたよりもはるかに早い時期に発見できるかもしれないことが示唆された。社会の高齢化でアルツハイマー病の患者が大幅に増えると予想されるなか、この発見は状況を大きく変える可能性がある。
「ニューロンが死んでしまったら取り返しがつきません。ニューロンを死なせないようにする必要があるのです」と、米モンタナ大学生物医学・薬学部門のリリアン・カルデロン・ガルシドゥエニャス教授は言う。氏は今回の新しい研究には参加していないが、その知見はアルツハイマー病の早期発見に関する氏らの研究と整合性があると言う。
「ポイントは若年成人という年齢層にあります」とカルデロン・ガルシドゥエニャス氏は言う。「米国のアルツハイマー病研究者のほとんどが高齢者のみを研究しているのとは対照的です」
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