定数削減「クソ」「麻婆豆腐」「高市政治許さなえ」…多様な表現で警戒 市民と野党の集会
日本維新の会が今国会中の成立を至上命題とする衆院議員定数削減法案を疑問視する市民集会「考えよう議員定数削減…本当に良いの⁈ 市民と議員と有識者のトークイベント」が10日、国会内で開かれた。パネリストのプレゼンテーションや市民発言の合間に、立憲民主党や社民党、共産党、れいわ新選組など野党議員が駆け付け、バリエーションに富んだ多様な表現で、維新批判をそれぞれ展開した。
映像が浮かぶ言葉…
「わらにつかむ思いで、維新というわらにつかまったが、わらにくっついていたのは定数削減というクソみたいなものだった」
衆院有志の会の福島伸享衆院議員(無所属)衆院有志の会の福島伸享衆院議員(無所属)は、高市早苗首相(自民党総裁)が公明党から維新への連立組み換えに苦労した経緯を振り返って、こう表現した。
「クソみたいなもの」については、福島氏も「汚い言葉だが…」と前置きした上での言葉だが、主催者側の女性は集会を総括する際、「大変印象に残った。映像が浮かんだ。これが流行るかはさておき、(維新に)対抗する言葉を見つけないと」と述べ、何か刺激を受けた様子だった。
福島氏はこうも明かした。
「多くの自民党の心ある議員から『本会議で造反しないとならないから、なんとか審議しないでくれ』とお願いの電話やメールが何本も来ている」
八宝菜とチンジャオロースーと…
続いて、マイクを握ったのは社民の福島瑞穂党首。定数削減は少数政党に不利との見方を示し、〝瑞穂節〟で危機感を訴えた。
社民党の福島瑞穂党首「マーボー豆腐と八宝菜とチンジャオロースーの3つしか食べられない、一生…。という感じだったら悲惨。とにかく、いろいろ多様な考えを反映する政党や議員が絶対に必要だ」と述べ、こう意気込んだ。
「少数の意見も女性の意見もマイノリティーの意見も憲法守れの意見もなくなる可能性がある。この法案はとっても出来の悪いへんてこりんな法案だ。今国会審議入りさせない。廃案にするぞ」
野田代表が何と言おうとも…
立民の杉尾秀哉参院議員も、同法案を巡る状況について「自民が維新を連立に繫ぎとめておくため、めちゃくちゃな暴論に配慮せざるを得ない。党利党略以外の何物でもない」と一蹴した。
立憲民主党の杉尾秀哉参院議員立民を巡っては、杉尾氏の上司に当たる野田佳彦代表が平成24年11月の党首討論で、民主党の首相として自民の安倍晋三総裁(当時)に対し、衆院定数削減と引き換えに衆院解散を約束した経緯がある。解散後の衆院選の公約には衆院定数75削減を掲げている。
杉尾氏は、この13年前のやり取りを持ち出して「野田代表がかつて党首討論で『定数削減しましょう』と自分が言い出した手前、『反対反対』といえない。立民は微妙な立場だ」と指摘し、こう意気込んだ。
「こんな法案に賛成することは絶対ない。党内に反対の声は根強い。野田代表が何と言おうと断固として阻止する」
悪政のスタートラインだ
れいわ新選組の上村英明衆院議員共産党の山添拓政策委員長法案反対はその後も続く。
れいわの上村英明衆院議員は「私たちのように、政府に対し異議を申し立てる勢力を一掃するための法案だ。自分たちの思う通り、右へ右へ旋回する国のあり方を作っていきたいのが真意だ」との見方を披露した。
共産の山添拓政策委員長は、維新が定数削減に関してよく使う言葉の「改革のセンターピン」と比較する形で、「その先は社会保障の削減と憲法改悪と大軍拡と原発再稼働。悪政のスタートラインだ」と切り返した。
きょうは自民議員も来るので…
集会に先駆けて会場で配布・回収された「高市政治を許さなえ」のビラ集会を巡っては、告知文で逢沢一郎衆院議員(衆院選挙制度の在り方を検討する与野党協議会座長)ら複数の自民議員の挨拶も調整中とあった。始まる前、会場ではシニア層の男性が高市首相を揶揄するビラ「高市政治を許さなえ」を配って回っていた。
女性スタッフが「きょうは自民議員も来るので…」と注意すると男性はビラを回収して回ったが、自民議員は来なかった。(奥原慎平)