「ChatGPTに日米のストライクゾーンの違いを聞いたよ(笑)」DeNAローワン・ウィック2年目の本領発揮…来日のきっかけは「あの日本人メジャー選手」(Number Web)

 熱さを帯びた、どこか聡明な空気感——。  今やチームにとってなくてはならないセットアッパーであるウィックは、今シーズンここまで17試合に登板し、3勝0敗、11ホールド、1セーブ、防御率0.50(6月2日現在)と、ほぼ完璧に仕事をこなしている。 「2年目ということで、すごく落ち着いた状態で日々を過ごしているし、必要なアジャストメントもできていると思います」  自信を漂わせウィックはそう言った。  MAX160キロのストレートを軸に、ブレーキの効いたカーブを低めに集め、パワーと緩急で打者を翻弄する。本人が言うように非常に適応できており、チームに安心感を与えている。  その投球の秘訣を尋ねるとウィックはユーモアを込めて言うのだ。

「今年に入ってChatGPTに質問したんですけど、NPBのストライクゾーンは、MLBと比べて約2.1インチ(約5cm)上の部分が低いと言われました。去年のうちに訊いておけばよかったなって(笑)。  まあとにかく日本では低めに制球することがなによりも大事。また与四球でランナーを出してしまうと、その後の結果が悪くなることも多いので、低めに制球しつつ、なおかつストライクを取ることが大事だと思っています」  ウィックは異色のキャリアの持ち主だ。2012年のドラフトでセントルイス・カージナルスに捕手として入団しプロ生活をスタートさせると、2013年に外野手へとコンバートされている。しかし打者としては芽が出ず、2015年に投手へ転身。以降、サンディエゴ・パドレス、4年間で通算20セーブを挙げたシカゴ・カブスを渡り歩き、そして昨年DeNAへとたどり着いた。 「野手を経験していることで、バッターを過大評価しないというか、いかに打つことが難しいか理解しているので、そういったマインドでバッターに向かっていけるのは僕ならではの利点だと思います」

 MLB時代からチャンスがあれば日本でプレーしたいと思っていた。そのきっかけを与えてくれたのは、カブスのマイナー時代に同僚だった田澤純一(現・ENEOS)だという。 「田澤選手から日本について興味深い話をいろいろと聞いていましたし、また彼のプレイヤーとしての姿勢に非常に敬意を持っていました。だからエージェントにオファーがあったときは、自分のキャリアを鑑みてもいいタイミングだと思い日本に来ることに決めました」  意気揚々と新天地へと渡ってきたウィックだったが、昨年の春先は目指すピッチングと求められるものが乖離し、アジャストに苦しんでいた——。 〈全2回の1回目/つづく〉

(「ハマ街ダイアリー」石塚隆 = 文)

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