気候団体脱退の銀行は「恥ずべきだ」-英銀スタンチャートCEOが一喝

「恥ずべきだ」。英銀スタンダードチャータード(スタンチャート)のビル・ウィンターズ最高経営責任者(CEO)が、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」達成に向けた取り組みを後退させた銀行に対し、こんな厳しい言葉を投げかけた。

  ウィンターズCEOの発言は、銀行業界の主要気候変動対策グループ「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から大手行が相次ぎ脱退している中で出てきたものだ。先週、4-6月(第2四半期)決算発表後の記者団との電話会見でコメントした。

  米国ではトランプ氏の大統領返り咲きで気候変動対策に反対する動きが強まり、ウォール街の銀行がNZBA脱退に動いた。その後、カナダの銀行も追随。7月にはHSBCホールディングスが英国の銀行として初めてNZBAを離脱している。

  NZBAから脱退した銀行は、低炭素経済に向けた顧客の事業移行を引き続き支援すると表明している。同時に、化石燃料に関連する顧客に厳しく対応することによる潜在的な法的リスクを指摘。自行が事業を展開する経済圏がネットゼロ目標に向かっていない限り、達成は現実的ではないとの見方も示した。

  ウィンターズ氏は、世界の一部で気候変動対策に反対する動きがあるにもかかわらず、スタンダードチャータードの顧客はそうした対策に引き続きしっかり取り組んでいると強調。このような状況は「明らかにわれわれのビジネスにとっても好材料だ」と話した。

  NZBAを昨年末以降に離脱した銀行は、ゴールドマン・サックス・グループJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、モルガン・スタンレーシティグループウェルズ・ファーゴ、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)など。欧州の大手行で脱退したのは、HSBCのみ。

  NZBA加盟を継続するドイツ銀行は1-6月(上期)の決算資料で、NZBAの取り組みに関連するリスクの高まりを示唆。「英国の銀行が最近脱退したことを受け、NZBA加盟に関連する法的リスクが高まる可能性がある」とする一方、「脱退に伴うレピュテーション(評判)リスクも高まり得る」と指摘している。

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原題:StanChart CEO Says ‘Shame on’ Big Banks Quitting Net Zero Group(抜粋)

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