肥満診断の新ガイドライン、専門家委が提案-BMIに他の基準追加
- 臓器の健康状態や日常生活能力も考慮するガイドラインを提唱
医学の専門家で構成される委員会が肥満診断のガイドラインを抜本的に見直し、肥満度の判定でBMIだけに頼るのではなく心臓の健康状態などより幅広い基準を加えるよう提唱した。この案は76の学界や医療関連団体から支持されている。
ガイドライン案はこれまでの不完全な単一基準から、日常生活を送る能力や臓器の健康状態を考慮した、よりパーソナライズされた診断への転換を意味する。かなり前から望まれていたもので、超大型薬に成長した肥満症治療薬の処方にも影響を与える可能性がある。
肥満診断の新ガイドラインを提案したのはランセット糖尿病・内分泌学委員会。世界肥満連合(WOF)や米国心臓協会、英国王立内科医協会など76の団体が提案を支持した。
BMIは体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割って算出される。脂肪と筋肉の量を区別していないことなどから、単純過ぎると長く批判されてきた。現在、BMIが30以上の人は、体の組成や健康状態に関わらず肥満とされている。
製薬業界への影響
ノボ・ノルディスクの「ウゴービ」やイーライリリーの「ゼップバウンド」といった新世代の肥満症治療薬は、意志力の問題とされてきた肥満を医療介入が必要な多面的な病気だという認識へと変えつつあり、食品製造から医療保険までさまざまな分野に影響を及ぼす革命的変化をもたらしつつある。
ガイドライン案は患者に薬が必要か、それともモニタリングと一般的な健康アドバイスだけでよいのかを臨床医が判断するのに役立つ可能性がある。
次のステップは国レベルの肥満に関するガイドラインにこの提案を反映させることだが、実施されるかどうかや、その時期は不透明だ。
米国では現在、BMIが30以上であれば誰でもウゴービとゼップバウンドの処方を受けられる。高血圧や睡眠時無呼吸症候群といった体重に関連する症状がある人の基準値は27だ。ただ製薬会社も体組成を一段と重視するようになっており、脂肪を減らしつつ筋肉の維持を助ける治療法の開発に取り組んでいる。
原題:New Obesity Benchmark Adds Body Fat, Organ Health to BMI (2)(抜粋)