経済「生き残れない」、トランプ政権の不確実性を資産家ラスリー氏批判
米投資会社アベニュー・キャピタル・グループを共同創業した資産家のマーク・ラスリー氏は、トランプ米大統領の政策、特に関税政策に対する不確実性が原因で、投資家は市場でチャンスを生かせなくなっていると述べた。
ラスリー氏(65)は14日、ニューヨーク大学で開かれたシンポジウムで登壇。 「市場にとって問題なのは、どうすれば良いか分からなくなることだ」と述べ、「そのような状態で経済は生き残れない。あらゆることが停滞し、リセッション(景気後退)に追い込みかねない」と続けた。
アベニュー・キャピタルはディストレスト債とクレジット投資を専門にしている。ラスリー氏は米経済がリセッションに向かっているのかどうかは不明瞭だと指摘。経済は力強いものの、方向性が不透明なために株式のリターンがあまりにも不確実で、そのためにクレジット市場に向かう投資家が最終的に増えるとの見方を示した。
S&P500種株価指数は14日に上昇しているものの、週間ベースで4週連続安になる見通し。同時に投資適格級の米社債スプレッドは今週拡大している。
ラスリー氏は市場の混乱を逆手に取っていると述べ、不確実性を理由に売り込まれたものの堅調を維持しそうなセクターで、社債に買いを入れていると明らかにした。「フォードの債券を買う方がまだましだと当社は考える」とラスリー氏。「フォードが破産するという心配はしていないからだ」と話した。
トランプ米大統領については、2009年に破産法の適用を申請したトランプ・エンターテインメント・リゾーツに投資した経緯で、同氏と仕事をした経験があるとラスリー氏は説明。当時は月に一度のペースでトランプ氏とランチを共にしていたという。
「彼は混沌(こんとん)を愛している。状況が悪化すればその分喜びは大きい」とラスリー氏は述べた。
トランプ氏がポピュリストの有権者に支持されている事実を踏まえ、大統領は資産価格を気にしていないのだろうかとの質問に対し、ラスリー氏は「結局のところ、有権者は変化を望んでトランプ氏に投票したのだと思う」と発言。「その変化に心から満足しているのか、そうではないのかは2年後に分かるだろう」と述べた。同氏はこれまで、民主党の候補者に頻繁に寄付している。
原題:Marc Lasry Says Economy ‘Can’t Survive’ Under Trump Uncertainty(抜粋)