米国債売り失速の賭け、オプション市場で拡大-トランプ氏に不確実性

Edward Bolingbroke

  • PIMCOなど主要債券投資家は今後の魅力的なリターンを見込む
  • 弱気派で知られるRBCブルーベイは利益確定の時期だと考えている

米国債の持続的な売りは近く勢いを失うと一部の債券トレーダーはみている。トランプ次期米大統領の政策がどうなるか不確実性が解消されないことも一因だ。

  10日に発表された米雇用統計が驚くほど強い数字となり、米国債利回りは1年2カ月ぶりの高水準を記録した。それでも利回りの今後の低下を期待する賭けが、オプション市場で拡大している。14日には約4.8%の10年債利回りが2月21日の満期までに4.6%前後に低下すると想定するポジションのプレミアムが、最大約4000万ドル(約63億円)に達した。

  15日には昨年12月の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定され、次の重要なデータポイントとなる。インフレの根強さを示すと見込まれる。米国債相場は12月序盤から下降が続き、10年債利回りは4.15%前後から上昇。景気の底堅さを示す兆候に加え、トランプ氏の政策が成長をさらに加速させるとの思惑が背景にある。同氏が適用をちらつかせる関税がインフレを再燃させる懸念もある。

  トランプ氏の経済チームが関税の段階的な引き上げ案を検討しているという13日の報道は、物価に与える影響が軽減される可能性を示唆し、米国債相場は一時上昇した。14日に発表された米生産者物価指数(PPI)の前月比の伸びが予想外に鈍化したことも相場の追い風となった。

  パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)など主要債券投資家は今後の魅力的なリターンを見込む。一方、弱気派で知られるRBCブルーベイ・アセット・マネジメントは利益確定の時期だと考えている。

関連記事:米国債の弱気ポジション解消、「利回りは十分に上昇した」-ブルーベイ

  JPモルガン・チェースの最新顧客調査によると、ロングポジションが過去1年余りで最も積み上がる一方、ショートポジションは減少した。

  担保付翌日物調達金利(SOFR)に連動するオプション市場では、一部のトレーダーが現在の市場コンセンサスよりハト派的見通しでポジションを設定し始めた。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、今の政策サイクルであと1回の0.25ポイント利下げしか織り込んでいないが、SOFRに連動する今週の取引は、年内少なくとも2回の追加利下げを見越していた。

Outright longs rise to biggest since December 2023

Source: JPMorgan, Bloomberg

 

 

Top 5 versus bottom 5 weekly net change on SOFR option strikes

Source: Bloomberg, CME

 

Top 20 most populated option strikes in Mar25, Jun25 and Sep25

Source: Bloomberg, CME

 

原題:Bond Traders Wager Slump Set to Ease With Key CPI Data Ahead(抜粋)

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