V6、歌い継がれる力強いメッセージ 「TAKE ME HIGHER」「愛なんだ」……サブスク解禁で聴きたい“王道曲”

 2021年に惜しまれつつ解散したV6。そんな彼らが、デビュー30周年の節目となる今年2025年11月1日、全400曲をサブスクリプションで一挙配信する。

 それを記念して、V6の楽曲の中でも“王道ソング”と呼ばれる5曲をピックアップして紹介する。サブスク解禁を機に改めて楽しみたい、名曲揃いのラインナップとともに、それぞれの楽曲の魅力を解説したい。

「TAKE ME HIGHER」

V6 / TAKE ME HIGHER(YouTube Ver.)

 1995年、『バレーボールワールドカップ』のイメージキャラクターとして結成されたV6は、同年11月1日にシングル『MUSIC FOR THE PEOPLE』でCDデビューを果たした。デビュー初期にはユーロビートを取り入れたダンサブルな楽曲を数多く発表し、その中でも「TAKE ME HIGHER」は代表的な楽曲として長く愛されている。

 同曲は、1996年9月16日に4thシングルとしてリリースされ、メンバーの長野博が主演を務めた特撮ドラマ『ウルトラマンティガ』(TBS系)のオープニングテーマに起用。疾走感あふれるサウンドと、『ウルトラマンティガ』の世界観を重ね合わせた力強い歌詞が印象的で、発売当時から高い人気を集めた。

 歌とダンスの両面で魅せるV6ならではのパフォーマンスは、この楽曲のエネルギーをさらに際立たせている。特に間奏部分での連続バク転は話題を呼び、グループのアクロバティックなイメージを象徴する楽曲として強烈な印象を残すことに成功した。初期のV6を象徴するような一曲だ。

「愛なんだ」

 V6の作品の中で歴代1位の売上(オリコン調べ/※1)を誇るのが、1997年1月20日にリリースされた5thシングル『愛なんだ』だ。

 表題曲「愛なんだ」は、リリース当初、作曲を玉置浩二が手掛けたことでも大きな話題を呼んだ。1996年に放送されたドラマ『コーチ』(フジテレビ系)でメンバーの井ノ原快彦が玉置と共演したことがきっかけで、この楽曲は生まれたのだという。

 「愛なんだ」によって、V6はそれまでのユーロビート中心の楽曲スタイルから、王道のJ-POPへと大きく舵を切ったと言える。グループにとって転換点となり、幅広い層から支持を集める入り口にもなった。

 歌い出しの坂本昌行の伸びやかなボーカルが印象的で、彼の確かな歌唱力が楽曲の魅力を一層際立たせている。青春の甘酸っぱさと前向きなエネルギーを同時に感じさせるこの曲は、まさにV6を象徴する一曲として愛され続けている。

「Can do! Can go!」

 「Can do! Can go!」は、1998年2月11日にリリースされた2ndミニアルバム『SUPER HEROES』の1曲目に収録された楽曲だ。

 STARTO ENTERTAINMENTに所属するアーティストであれば、誰もが踊れると言われるほどに浸透しているこの楽曲は、もともと『プロジェクトV6』という育成ゲームのテーマソングとして書き下ろされた。しかし、その一方で、ジュニアがメインの出演者となる番組のOPテーマに選ばれ、さらには番組の中で歌唱されたりなどで、“ジュニアがカバーする曲”というイメージが強まったのかもしれない。その認知度の高さからファンの間では“社歌”とも呼ばれるほどである。

 だが、V6が歌い踊るからこそ、この曲はとてつもない説得力と熱量を持つ。歌詞には、現実に直面する少年の焦燥感と、それでも前を向こうとする情熱的な姿勢が描かれている。アイドルとして歩み始めたばかりのジュニアにとって、自身の成長や夢への不安と重なる部分も多く、その共感をもって時代を超えて歌い継がれてきたのだろう。さらに、サビの〈We Can do! We Can go!〉というフレーズは、主語が〈We〉であることで、聴く者に“仲間と一緒に進んでいく力”を感じさせ、自然と団結のエネルギーを生んでいるように感じる。

 痛みや弱さを抱えながらも、それでも前に進もうとする強さ。そして「僕たちならできる」と互いを励まし合う温かさ。「Can do! Can go!」が長きにわたって愛され続けている理由は、まさにV6自身が表現する力強さと、そのメッセージの普遍性にあるのではないだろうか。

「over」

 『over』は、1998年11月11日にリリースされたV6の11thシングル『over/EASY SHOW TIME』に収録された楽曲だ。

 V6の年下3人である森田剛、三宅健、岡田准一によるグループ・Coming Century(以下、カミセン)主演のドラマ『PU-PU-PU-』(TBS系)の主題歌となったこの楽曲は、迷いながらも自分を信じて歩んでいこうとする姿を丁寧に描く。V6の年上組である坂本、長野、井ノ原の20th Century(以下、トニセン)が作詞を担当しているのも注目ポイント。当時まだ10代後半だったカミセンへのメッセージソングとしての役割も担っているのだ。サビ部分では、トニセンがリードボーカル、カミセンが合いの手を担当し、6人の信頼関係の深さが垣間見える。

 また、2021年10月15日に放送された『ミュージックステーション 35周年記念4時間スペシャル』(テレビ朝日系)で行われた「V6ラストステージ視聴者投票メドレー」では、「over」が堂々の第1位を獲得。解散間際のこの選出は、ファンにとってもメンバーにとっても、V6の“原点”と“絆”を象徴する曲の証左と言えるだろう。

「Darling」

V6 / Darling(YouTube Ver.)

 2003年5月28日にリリースされた23rdシングル表題曲「Darling」は、V6の代表的なポップナンバーのひとつだ。長野が出演したドラマ『きみはペット』(TBS系)の主題歌で、さらにV6主演映画『ハードラックヒーロー』でも使用された「Darling」。明るく軽快なメロディに乗せて恋する気持ちをまっすぐに描いた歌詞が印象的で、聴くだけで前向きな気持ちにさせてくれるポップチューンとなっている。

 振り付けはKABA.ちゃんが手がけ、キャッチーで真似しやすいこのダンスも人気の理由のひとつ。サビ部分は日本語と英語の口語を織り交ぜた軽快なフレーズで構成され、語感のリズムを重視した歌詞が心地よいグルーヴを生み出している。

 ライブでは観客と一体になって盛り上がる定番曲として親しまれ、メンバーそれぞれの個性がバランスよく引き立つ構成も魅力的。等身大の優しさと少しのユーモア、そしてどんな時でもポジティブでいようとするメッセージが詰まった「Darling」は、V6の爽やかで明るい魅力を象徴する一曲と言えるだろう。

 サブスクリプションで手軽に全曲を楽しめるようになるからこそ、改めてV6の音楽世界に浸り、その魅力を存分に体感してほしい。

※1:https://www.oricon.co.jp/prof/25517/rank/single/

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