【日本市況】円下落、米利下げ観測の反動-半導体株高く日経平均上昇

27日の日本市場では円が下落。米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性を巡る懸念や米利下げ観測からドルが売られた前日の反動もあり、ドル買いが先行した。株式は半導体関連株が買われて日経平均株価が上昇。債券は10年国債の利回りが2008年以来の高水準を更新した。

  トランプ米大統領は26日、クックFRB理事の解任を巡り法廷闘争も辞さない姿勢を示した。大統領の相次ぐ介入でFRBの独立性に対する懸念が高まった上、金融政策の不透明感が意識され、26日はドルが主要通貨に対してほぼ全面安となった。きょうはドルが反発している。

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  三菱UFJ信託銀行ニューヨーク支店資金証券室の横田裕矢シニアバイスプレジデントは、FRB理事の解任や独立性を巡る問題に目新しさはないとし、「円は対ドルで147-148円のレンジを抜け出せず、米雇用統計などの重要指標を見極めたいというムードが強い」と話していた。

国内為替・株式・債券相場の動き-午後3時30分現在
  • 円は対ドルでニューヨーク終値比0.2%安の147円73銭
  • 日経平均株価の終値は前日比0.3%高の4万2520円27銭
  • 東証株価指数(TOPIX)は0.1%安の3069.74
  • 長期国債先物9月物の終値は前日比1銭安の137円35銭
  • 新発10年債利回りは一時0.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い1.625%
  • 新発30年債利回りは一時3.5bp高い3.235%

為替

  円は主要通貨に対してほぼ全面安。対ドルでは147円台後半で推移し、一時は148円が目前に迫った。

  SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、市場では米国の利下げが完全に織り込まれた半面、年内の利下げ回数は不透明なためドル売りにも踏み切れないと指摘。日本銀行の利上げ見通しも定まったとは言えず、円も買いにくいことがドルの安定につながっていると述べた。

株式

  株式は日経平均が上昇。米半導体大手エヌビディアの四半期決算発表を控える中、半導体関連株が買われたほか、欧州眼鏡メーカーが出資比率引き上げを提案したことが明らかになったニコンが急伸した。銀行や保険など金融株は安い。

  アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、ソフトバンクグループやアドバンテストなどが日経平均を押し上げていることを挙げ、エヌビディアの決算を前に生成人工知能(AI)などへの期待から動いていると語った。「多少ポジションを落としていたり、ヘッジをかけていたりする投資家が、株価が少し調整したため買い戻している」と話した。

  エヌビディアは27日の通常取引終了後に決算を発表する。スチュワード・パートナーズ・グローバル・アドバイザリーのマネジングディレクター、エリック・ベイリー氏は「さらなる成長の兆しが見られれば株式相場再加速の原動力になる。一方、AI投資が期待通りの成果を出せず、見通しが慎重なものになれば、AI投資のピークが近いとの懸念が強まり市場に動揺を与えるリスクがある」とみる。 

債券

  債券は下落、長期金利(新発10年債利回り)が1.625%と08年以来の高水準を更新したほか、新発30年債利回りは一時3.235%と1999年の発行開始以来の最高水準を更新した。日銀利上げ観測や財政拡張懸念に加え、日銀がこの日行った残存期間25年超の国債買い入れオペの結果が弱かったことを受けて売られた。

  東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは日銀のオペについて「残存期間5年超10年以下と10年超25年以下はそれなり良かったが、25年超は弱かった」と指摘。超長期債は流動性が乏しく、市場は弱気に傾いていると話す。

  りそなアセットマネジメントの藤原貴志チーフファンドマネジャーは、財政拡張懸念を受けた超長期金利の上昇が長期金利にも波及し始めており、新発10年債利回りは9月中にも1.7%まで上昇する可能性が出てきたと語った。

新発国債利回り(午後3時時点)

  2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債   0.865% 1.160% 1.625% 2.650% 3.220% 3.435% 前日比 -0.5bp +0.5bp +0.5bp +1.5bp +2.0bp +2.0bp

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