トランプはなぜ打倒したマドゥロ政権のナンバー2を“後任に据えた”のか─筋書きは以前から決まっていた(クーリエ・ジャポン)

軍事作戦でベネズエラのニコラス・マドゥロを権力の座から追放した米国。トランプ政権がその後任として認めたのが、マドゥロ政権で副大統領を務めていたデルシー・ロドリゲスだ。 【画像】ベネズエラの野党指導者で2025年ノーベル平和賞受賞者のマリア・コリナ・マチャド 体制の転覆を図りながら、旧体制の中枢にいた人物にその後の舵取りを任せたのは意外にも思えるが、トランプ政権は以前から「マドゥロ後」を見据え、ロドリゲスと接触していたと報じられている。 英紙「フィナンシャル・タイムズ」によると、ロドリゲスは兄で政治家のホルヘとともに、2025年から米国と秘密協議をおこなっていたという。 そこではマドゥロを安全に亡命させる代わりに、ロドリゲスを暫定政権の首脳に就任させる計画が話し合われていた。結局、マドゥロの亡命は叶わなかったが、ロドリゲスの暫定大統領就任という約束は守られたようだ。 ロドリゲスはバイデン政権時代から米国に一目置かれていたという。 彼女は米シェブロン社などの国際石油会社との交渉を主導し、ベネズエラでの限定的な操業を可能にした。その実用主義と細部にわたる理解力を米政府幹部やトランプは高く評価し、「成果を出せるのは彼女のチームだけだという結論に達した」ようだと、ベネズエラのビジネス関係者はフィナンシャル・タイムズに明かしている。

フィナンシャル・タイムズによると、ロドリゲスはベネズエラ国内でも、マドゥロの腰巾着ではない、実直な問題解決者という評判を得ていたようだ。 とはいえ、彼女が根本の部分においてマドゥロと大きく異なるのかどうかは疑わしいと考える人もいる。ロドリゲスを知る人々は、たとえ穏健派であっても彼女が熱心なチャベス主義者(ベネズエラ流の社会主義者)であることに変わりはないと述べる。 米国を非難しマドゥロの帰還を要求する強硬姿勢を示した後に、態度を軟化させて米国と協力する意向を示した一連の流れの本意も読み取り難い。ルビオ米国務長官などは、当初の強硬姿勢は国内の旧体制の支持者や軍に向けたポーズにすぎないと考えているようだ。だが、あるいは態度の軟化のほうが、「米国に従わなければさらなる軍事作戦をおこなう」と脅したトランプ向けのポーズの可能性もある。 いずれにしても、トップがロドリゲスにすげ替えられただけで、マドゥロ体制下での経済的困窮や弾圧で大いに苦しめられたベネズエラ国民の生活が、良い方向に変わるかどうかには疑問符がつく。 国民の弾圧を主導した軍のトップと内務大臣はそのまま留任し、依然として大きな影響力を持っている。そしてロドリゲスは、米国や欧州だけでなく南米諸国からも不正選挙だと断じられた2024年の大統領選挙に、政権内部から加担した張本人だ。 2024年の大統領選挙は、実際には野党統一候補のエドムンド・ゴンザレスが大差をつけて勝利したといわれ、米国もゴンザレスを正当な勝者と認めていた。ゴンザレスの後ろ盾には、マドゥロによって不当に立候補資格を剥奪された野党指導者で2025年のノーベル平和賞受賞者、マリア・コリナ・マチャドがいる。 マチャドはトランプに向けて、たびたび支持や感謝を表明しており、その関係は悪くないと見られていた。しかし、トランプは、マチャドについて「国民に支持されていない」と一蹴し、暫定政権や体制移行の協議から締め出している。

COURRiER Japon

クーリエ・ジャポン
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