【今日のマクロ経済】UAE国営石油会社関連タンカー2隻攻撃で原油高止まり。インフレ懸念も浮上

8月15日現在、米7月小売売上高が前月比-0.6%と市場予想を大きく下回り、消費者センチメントも悪化しました。前日発表の7月卸売物価指数(PPI)も予想を下回る弱さとなり、インフレ冷却と消費の弱さが同時に確認された格好です。9月FOMCでの利上げ確率は約28〜33%まで低下し、指標発表前の50%前後から大きく後退しました。

一方、中東情勢は緊迫の度を増しています。UAE国営石油会社(ADNOC)関連のタンカー2隻が攻撃を受け、ブレント原油は88〜90ドル近辺で高止まりしています。日経平均は68,713.80円と続伸してAI・半導体主導の上昇が続く一方、ビットコインは63,000ドルを割り込む場面もあり、株式との温度差が鮮明になりました。

📈 主要指標(8月15日)

銘柄 直近価格 トレンド 一言コメント S&P 500 7,785〜7,786 下落 史上最高値から-0.2%と小幅反落。小売売上高の弱さと原油高が重しも週間ではプラス 日経平均 68,713.80円 上昇 AI・半導体関連の買いが続き+0.59%と続伸。7月末の介入安値から6,000円近い回復 金(Gold) $4,370〜4,420/oz 保合い インフレ指標の軟化を背景に4,400ドル近辺で高値圏を維持。方向感は乏しい推移 原油(WTI) $81.8〜82.4/bbl 保合い 82ドル前後でのレンジ推移。タンカー攻撃を受けブレントは88〜90ドル近辺で高止まり BTC $62,700〜63,000 下落 63,000ドルを割り込む場面もあり軟調。利上げ観測の後退にも反応が鈍い展開 ETH $1,870〜1,880 下落 BTCに連動し1,870ドル台へ小幅安。1,900ドル回復の勢いを欠いたまま週末入り SOL $75〜76 保合い 75〜76ドルで比較的安定。仮想通貨全体が調整するなかでは相対的な堅調さを維持 XRP $1.00〜1.01 保合い 1ドル台をかろうじて維持し膠着。8月を通じて下値切り下げの流れが続いている

📊 マクロ経済:本日の注目トピックス

① 小売売上高-0.6%、9月利上げ確率は28〜33%へ低下

7月の米小売売上高は前月比-0.6%と、市場予想を大きく下回りました。消費者センチメントも悪化しており、米国経済の柱である個人消費に陰りが見え始めています。前日発表の7月卸売物価指数(PPI)も予想を下回る弱さとなり、物価と消費の両面から減速シグナルが出た形です。

これを受けて9月FOMCでの利上げ確率は約28〜33%まで低下しました。指標発表前は50%前後だったため、1週間で見方が大きく変わったことになります。7月末のFOMCで3人の当局者が利上げを主張していた局面からは、状況が一変しました。

もっとも、これは「利上げがなくなった」ことを意味しません。政策金利は3.50〜3.75%で据え置きが継続しており、ケビン・ウォルシュ議長のインフレ抑制姿勢自体は維持されています。労働市場の軟化がFRBに時間的猶予を与えているというのが実態に近く、原油次第では判断が再び振れる余地は残っています。実際、長期国債利回りは高止まりしており、30年債は約25年ぶりの高水準で入札が実施されました。財政赤字への懸念が金利の下値を支えている構図です。

② ADNOC関連タンカー2隻が攻撃

ホルムズ海峡を巡る情勢は改善どころか悪化しています。UAE国営石油会社(ADNOC)関連のタンカー2隻が攻撃を受け、UAEはイランを非難しました。船舶通行量は月平均を下回る低水準で推移しており、8月上旬に「オマーンとの航路合意が最終段階」と報じられた楽観論は、完全に打ち消された格好です。

米国は海上封鎖を再強化し「無期限で封鎖を維持可能」と警告して経済圧力を強めています。一方のイランは海峡の管理権を主張し、賠償や制裁解除などの要求は満たされないままです。交渉は膠着状態にあり、短期での解決を見込む材料は乏しくなっています。

価格面では、ブレント原油が88〜90ドル近辺と週間で上昇しました。WTIは81.8〜82.4ドルで、8月上旬の75ドル台からは7ドル前後の水準回復です。この原油高は住宅ローン金利の上昇にもつながり始めており、インフレ経路を通じて実体経済への波及が始まっています。

③ 日経68,713円で介入安値から6,000円回復、BTCは置き去りに

日経平均は68,713.80円(+0.59%)と続伸しました。AI・半導体関連への買いが続き、企業業績の堅調さが相場を支えています。7月末の日米協調介入直後に62,864円まで下落した水準からは、およそ2週間で6,000円近い回復です。米国株もS&P500の第2四半期利益成長が強く、グローバル株式ファンドへの資金流入は続いています。

一方で国内金利には上昇圧力がかかったままです。日銀が9月にも利上げに踏み切り、その後ペースを加速させる可能性が報じられており、円は介入後も円安圧力が残るという難しい状況が続いています。金利上昇と円安が同時に進む局面は、輸出関連には追い風でも、内需や国債需給には逆風です。

注目すべきは、この株高のなかでビットコインが62,700〜63,000ドルまで水準を切り下げている点です。米利上げ確率が50%前後から28〜33%へ低下したにもかかわらず、BTCはこれをほとんど買い材料にできていません。加えて日銀の9月利上げ観測が円建て価格の重しとして残る構図です。来週以降は中東交渉の進展と追加の経済指標が鍵となりますが、株式との連動が切れつつある現状では、BTC独自の需給材料が出てこない限り上値の重い展開が続きそうです。

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