アメリカにおけるがん手術の待ち時間はますます長くなっている
アメリカにおけるがん患者の手術までの待機時間が、2012年から2023年にかけて段階的に長くなってきていることが明らかになりました。
National Trends and Predictors of Waiting Times for Cancer Surgery in the US | Oncology | JAMA Surgery | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jamasurgery/article-abstract/2852679US wait times for cancer surgeries are getting longer and longer - Ars Technica https://arstechnica.com/health/2026/08/us-wait-times-for-cancer-surgeries-are-getting-longer-and-longer/ がん治療が進歩し、治療の成功率が向上する一方で、アメリカにおけるがん治療の待ち時間はますます長くなっていることが明らかになりました。
アメリカ医師会が発行する世界最高峰の外科系国際ピアレビュー医学誌であるJAMA Surgeryに掲載された研究によると 、乳がん・大腸がん・肺がん・膵臓がん・胃がん・食道がんの6種類のがん患者は、2012年よりも手術までの待ち時間が長くなっていることが明らかになりました。手術の迅速性は医療の質の重要な指標と考えられており、がん手術の遅延は生存率の低下や患者の不安、苦痛の増加など、予後不良につながる可能性が指摘されています。 JAMA Surgeryに掲載された最新の研究結果は、2012年から2023年の間に手術を必要とする非転移性のステージIからステージIIIのがんと診断された270万人以上の患者のデータに基づいたものです。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のがん専門医であるティモシー・ドナヒュー氏率いる研究チームは、この期間を2012~2015年、2016~2019年、2020~2021年、2022~2023年の4つのグループに分け、治療までの待機時間がどのように変化したかを調べました。
今回調査対象となった乳がん・大腸がん・肺がん・膵臓がん・胃がん・食道がんという6種類のがんすべてにおいて、待機時間は全期間を通じて増加しており、各期間グループで段階的に増加していたことが明らかになりました。
乳がん:2012~2015年の34日から2022~2023年には45日に増加
大腸がん:2012~2015年の20日から2022~2023年には31日に増加 肺がん:2012~2015年の41日から2022~2023年には53日に増加 膵臓がん:2012~2015年の23日から2022~2023年には32日に増加 胃がん:2012~2015年の35日から2022~2023年には49日に増加 食道がん:2012~2015年の38日から2022~2023年には48日に増加 さらに、研究では待機時間が長い患者の割合がすべてのがんで増加していることも明らかになりました。30日以上の長期の待機時間を経験した患者の割合はすべてのがんで増加しており、60日以上の「極めて長い」待機時間を経験する患者の割合も同様に増加しています。 がん治療の待機時間の増加は、アメリカの医療制度が統合・拡大し、より多くの患者が集中型の大規模治療センター、特に大学病院に集まるようになったことに起因するとArs Technicaは指摘。こうした専門センターは、より良い治療結果につながる質の高い医療を提供することが可能ですが、今回の研究は治療の遅延がそうした利点を相殺してしまうのではないかという疑問を提起しています。ドナヒュー氏ら研究チームは、待機時間の増加が社会経済的に脆弱(ぜいじゃく)な患者に不均衡な影響を与えていると指摘。待機時間が長くなるリスクが特に高いのは、無保険者またはメディケイド受給者、黒人(白人と比較して)、低所得者、治療センターまでの移動距離が長い患者などです。 研究チームは集中治療センターは患者の収容能力を高め、予約システムや紹介システムを最適化することで、治療を効率化し、待機時間を短縮できる可能性があると示唆しています。また、医療システムはがん患者を集中センターに紹介する際に、より選択的になるべきだと提言しました。複雑な症例や特殊な治療を受ける患者は、より規模の大きなセンターへの紹介に適していますが、「乳房温存手術や単純な結腸切除術など、合併症のない症例を大規模センターに紹介すると、それに見合う臨床的利益が得られないまま、不必要な遅延が生じる可能性がある」と指摘しています。
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