権限曖昧な富豪マスク氏にロビイスト群がる、米政権への影響力期待
- マスク氏が率いるDOGEには正式な権限がまだ付与されていない
- DOGEは利益相反に関する法に従うべきだ-左派系団体CREW
米ワシントンのロビイストは長い間、自らの政策を優先的に進めてもらうため連邦議会や政府機関に働き掛けてきた。だが、今彼らが重視しているのは、世界一の富豪イーロン・マスク氏が率いる影の連邦政府機関だ。
マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」は、歳出削減や規制面での改革をトランプ次期米大統領に助言することになる。しかしDOGEにはまだ正式な責任や権限が付与されていないし、今後も決して与えられることがないかもしれない。
それにもかかわらず、企業や業界団体は自分たちの要望を推進し利益を守るために、従来のような議会の委員会や連邦政府機関よりDOGEに目を向け始めている。
ロビイストがDOGEに食い込もうとしている状況は、彼らがトランプ氏に要望を聞いてもらうための近道としてマスク氏を捉えていることを示す。
DOGEは政府効率化省という名称が付いてはいるが、省庁となるわけではなく、連邦政府の一部でもないかもしれない。このことはロビイストがDOGEへの接触の有無を開示する必要がないことを意味する。にもかかわらず、いくつかの企業はDOGEに直接接触した、あるいはDOGEが取り組む可能性のある課題などについて議員らと話し合ったことを連邦当局に報告している。
マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXや電気自動車メーカーのテスラなどの企業は、政府契約や融資、税控除などのプログラムから恩恵を受けている。マスク氏自身の政治的見解に加え、連邦歳出プログラムのどの部分を削り、どれを維持するかを推奨するのが同氏であることは倫理的問題を生じさせる。
左派系団体「ワシントンの責任と倫理のための市民(CREW)」のノア・ブックバインダー氏は、DOGEは連邦政府の諮問委員会のような役割を担うとし、利益相反に関する法に従うべきだと指摘した。
原題:Washington Lobbyists Turn to Elon Musk’s DOGE to Influence Trump(抜粋)