「日比谷のバフェット」こと米山氏が退任、富国生命15年ぶり社長交代

佐野七緒

富国生命保険は25日、4月1日付で米山好映社長(74)が会長となり、資産運用を担当している渡部毅彦専務執行役員(62)が新社長に就任すると発表した。社長交代は約15年ぶりとなる。

  同社ウェブサイトによると、米山氏は独自の資産運用哲学とその風貌から、「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏になぞって「日比谷のバフェット」と呼ばれた。同社は東京・日比谷公園(千代田区)に面した場所に本社を構える。

  多角化戦略を取らず、生命保険事業に注力するとともに資産運用で収益を拡大するという方針の下、米金利高でヘッジ外債をゼロにしオープン外債を積み増すなど大胆な戦略を取ってきた。

  リーマン・ショック後の2010年7月に社長に就任し、金融危機の経験を踏まえて「自己資本の強化にひたすら取り組んできた」と記者会見で振り返った。足元では自己資本1兆円(自己資本比率14%)を超え、配当還元を加速できる態勢となったことから、4月からの新たな中期経営計画を前に社長を退くことを決めたと述べた。

  富国生命の戦略は、少子高齢化で国内生保の事業環境が厳しくなる中、収益機会の拡大を図ろうと大手生保各社が保険以外の事業への進出や海外生保の買収に相次いで乗り出しているのとは対照的だ。

  米山社長は「横並びを嫌う会社」と説明し、独自の戦略を進める上では「決断力が大事だ」と指摘。後任に選んだ渡部氏はエコノミスト出身であることから「分析力が非常に確か」であり、決断力にも優れていると評した。

  渡部氏は1990年代から2000年代前半までエコノミストとして経済動向の分析などを行っており、エコノミスト経験者としては同社初の社長となる。「今までよりも資産運用である程度リスクを取っていく」とし、プライベートクレジットやヘッジファンド運用などを含めて、優れた投資家を選別し、資産を拡大していくとの考えを示した。

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