パウエル議長の後任選定「急ぐ必要はない」-ベッセント財務長官

ベッセント米財務長官は23日、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任特定を「急ぐ必要はない」と述べた。また、候補者は現在の理事や地区連銀総裁から選ばれる可能性があるとの認識を示した。

  ベッセント長官はブルームバーグテレビジョンの番組「サーベイランス」に出演し、「理事会メンバーの数人や、恐らく地区連銀総裁らを含み、有力候補が数多くいる」と述べたが、具体的な名前は挙げなかった。

  報道によると、これまでに名前が挙がっている候補はベッセント長官のほか、ハセット国家経済会議(NEC)委員長やケビン・ウォーシュ元理事、ウォラー理事ら。ベッセント長官は「候補は非常に多い」と話した。

  ベッセント氏は「選定プロセスについては話さないが、既に着手している」とし、「明らかにトランプ大統領が決定することであり、われわれとしては急いでいない」と述べた。

  パウエル氏のFRB議長としての任期は来年5月に切れるが、理事としての任期は2028年1月まで。ベッセント氏は、28年より前に理事も退任する意向かどうかをパウエル氏から聞いていないが、「私の考えでは退任するだろう」と発言。

  パウエル氏が理事職も退くことが「FRBにとっても彼個人にとっても非常に良いことだろう」と語った。

「やや驚いた」

  パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の最高経営責任者(CEO)を務めたモハメド・エラリアン氏は22日、パウエル議長は辞任すべきだとX(旧ツイッター)に投稿した。

  英ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ学長を現在務める同氏は、パウエル議長の「目的がFRBの業務運営上の自治を守ること」にあるなら辞任すべきだと主張した。

  ベッセント長官はこの発言に「やや驚いた」と語った。

  パウエル議長が金融政策以外のFRBの活動について「内部調査を実施すれば、議長自身にもFRBにとっても有益だろう」と長官は指摘。「FRBのミッションクリープ(任務の逸脱・拡張)が金融政策の独立性を危うくしている」と述べた。

  「内部調査は良い出発点となるだろう。内部調査が真剣なものに見えなかった場合は、外部調査が必要になるかもしれない」と付け加えた。

  ベッセント長官自身とパウエル議長との定例会合はこれまで通り行われており、「われわれは継続的にコミュニケーションを取っている」という。

FRBの分析を批判

  ベッセント長官はMSNBCでの別のインタビューでは、トランプ政権が関税を引き上げたことに伴うインフレ懸念について、FRBの分析が「やや的外れ」だったとし、あらためて批判した。

  関税について「これまでのところ製造業者がかなり負担している状況が見受けられる」と指摘。「多くの小売業者も負担している。彼らのマージンは新型コロナ禍の時期に非常に厚くなった」と述べた。

  このほか、先週会ったアマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が「これまでのところ価格上昇は見られないと話していた」と明らかにした。CNBCによれば、トランプ大統領は先週、大統領執務室でベゾス氏に会った。

原題:Bessent Says ‘No Rush’ to Choose Successor to Fed’s Powell (1)(抜粋)

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