米国債利回り急上昇でベーシス取引解消の危機──ビットコインのロングで清算の可能性

  • 米国債ベーシス取引が解消されつつあり、債券利回りの上昇と金融市場の流動性の逼迫につながっている。
  • 米国株の先物は下落し、ビットコインの損失が拡大するリスクが高まっている。
  • BTCが7万3800ドルから7万4400ドルまで下落すれば、レバレッジをかけたロングポジションが崩壊する可能性がある。

暗号資産(通貨)を含むリスク資産に対する最悪の懸念が現実のものとなり、ビットコイン(BTC)が7万4000ドルを下回るリスクが高まり、レバレッジをかけたロングポジションが崩壊する可能性がある。

CoinDeskは4月6日、2020年の暴落を誘発した要因である、米国債市場のベーシス取引の解消により、リスク資産の大幅な下落の可能性について論じている

観測筋によると、ヘッジファンドが米国債先物と現物の間のわずかな価格差を利用する、いわゆるキャリー取引の解消が始まっている。これは、米国債10年物の利回りが4.5%まで70ベーシスポイント近く上昇したことから明らかだ。30年物の利回りも同様に上昇している。利回りは価格とは反対の方向に動き、通常、投資家が国債に避難するリスク回避局面では低下する。

「今、すべてが垂直方向に動いている。30年物米国債利回りは5%に達しようとしている。アメリカの10年物利回りは4月7日には、3.88%の最低値を記録していた。これは米国債のさらなる流動化を示唆しており、通常は話題にすべきではない市場の一部、すなわち資金調達、信用、レポ取引に苦悩が見られる兆候だ」と ForexLiveのアナリスト、ジャスティン・ロウ(Justin Low)氏はベーシス取引について論じたマーケットアップデートの中で述べた。

ロウ氏は、利回りの急上昇自体が市場、住宅、経済に広範囲にわたる影響を及ぼす可能性があるため、「現在はすべてが横ばい状態にある」と付け加えた。

株価下落、BTCも下落

米国債市場のボラティリティが上昇する中、ウォール街のベンチマーク株価指数であるS&P 500に連動する先物は2%下落した。ビットコインは9日早朝、一時的に7万5000ドルを割り込み、その後、回復して7万7000ドル付近で取引されていることが、CoinDeskのデータから明らかになっている。

TradingViewによると、米国債市場のオプションから推測される30日間の価格変動を表すMOVE指数は、2023年10月以来の高値となる140まで急騰した。

リスク選好の悪化により、BTCが7万3800ドルから7万4400ドルのレンジに下落するリスクが高まっている。分析会社ハイブロックキャピタル(Hyblock Capital)が追跡しているデータによると、主要取引所に上場されている永久先物の強気なロングポジションの保有者は、清算リスクに直面している。

清算とは、トレーダーの初期証拠金の一部または全部の損失により、取引所がトレーダーのレバレッジポジションを強制的にクローズすることを指す。これは、トレーダーがレバレッジをかけたポジションの証拠金要件を満たすことができない(取引を継続するための十分な資金がない)場合に発生する。大規模なロングポジションの清算は、価格の下落ボラティリティを高めることが多い。

「我々は、ロングポジションの清算が引き起こされると推定される価格帯を7万3800~7万4400ドル、6万9800~7万ドル、6万6100~6万7700と見ている。特に7万ドルに達した場合、少なくともさらに200ドルは下落し、7万ドルのすぐ下の小売業者のストップロスと清算レベルの流動性によって、そこからさらに下落する可能性が高い」とハイブロックはCoinDeskに語った。

一方、ハイブロックは、8万900ドルから8万1000ドル、8万5500ドルから8万6700ドル、8万9500ドルから9万2600ドルを、ショートポジションの清算の可能性が高いゾーンとしている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock

|原文:Bitcoin Longs Could See Wave of Liquidation Between $73.8K-$74.4K as ‘Treasury Basis Trade’ Unwinds

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