「首都高を電動キックボードが走ってます!」 首都高に通報も!? なぜ"誤進入"後を絶たない? 「ルール無視」な"悪質利用者"に「対策不十分の運営サイド」にも問題か… 多発する「特定原付」のトラブル、対策は?
2025年1月18日の未明、首都高羽田線で「電動キックボード」が不法侵入し、通行止めになりました。一体どのような状況だったのでしょうか。また、なぜ不法侵入が起きたのでしょうか。
首都高に電動キックボード「不法侵入」 あわや大事故に
2025年1月18日午前2時35分。首都高羽田線をクルマで走行していたAさんが、ありえない乗り物に遭遇しました。 それは、本来絶対そこにいるはずのない電動キックボード「LUUP」。この影響で首都高羽田線や湾岸線の一部が一時通行止めになりました。
一体どのような状況だったのでしょうか。現場を目撃したAさんに取材しました。
一部始終を目撃したAさんは、筆者(加藤久美子)の取材に対し、以下のように話してくれました。
「未明に首都高を走っている時でした。すぐには何なのか分かりませんでしたが、バイクではないなと思いながら近づくにつれ、電動キックボードのLUUPと分かった感じです。
本線上をありえないスピードでゆっくり走っていましたから危なかったですね」(Aさん)
その時の様子は、Aさんのクルマに備わっていた4方向録画のドライブレコーダーに記録されていました。
Aさんはこの一連の不法侵入を自身のXで公開。映像を見ると、羽田線の左側車線にLUUPが現れます。
これだけでも衝撃ですが、さらにAさんから提供された横方向からの映像を見ると、LUUPが走っている位置もよくわかりました。
羽田線は片側3車線の広い湾岸線などと違い、十分な路肩があるわけではないので、電動キックボードはやや左寄りではありますが、明らかに本線上を走っていたのです。
近年手軽になったLUUPなどの電動キックボードは「特定小型原付」に区分され、速度抑制装置によって最高速度は20km/hに制限されています。
そのため、速度を目いっぱい出したとしても、当然上限は20km/hまでしか出ません。
いっぽう、横羽線の最高速度は一部を除いて60km/hです。
周りのクルマが60km/h前後で走っている中、20km/hのLUUPが突然目の前に現れたら、急ブレーキをかけても避けられない危険もあります。
実際、動画の中ではLUUPが現れてから、わずか3秒程度で画面から姿を消しました。
なおこの件について首都高にも聞いてみると「当社でもLUUPであることは確認しており、一般の方からの通報は1件ございました」という回答がありました
そもそも、免許不要で乗れる特定小型原付や原付1・2種に相当する電動キックボードは、いずれも定格出力600W以下(50cc以下の原付)となるため、首都高には立入禁止。
ですが、実は首都高に電動キックボードが誤進入する例は年々増加傾向にあるとのこと。
首都高広報課に確認したところ、電動キックボードの誤進入は確認されただけで2023年度は1年間で6件、そして2024年度は今回のLUUP含め、1月18日までで9件に達しているそうです。
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なお首都高によると、1kwを超える電動キックボードが軽二輪規格で登録されている場合については、「法令上の取り扱いは『自動車』にあたるため、法令上は通行可能という整理になります」という見方を示しています。
しかしその一方で、道路交通法第62条の「道路運送車両法第三章に基づく規定(保安基準)等に適合しないため交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等を運転してはならない」という原則があります。
そうしたことから、首都高は「車両を道路において通行させる場合には前提として、道路運送車両の保安基準に適合している必要がある他、道路交通法その他の法令を遵守する必要があります」と話しています。