インドの格安スマホを買ったら辛かった話

Photo: 山田ちとら

2024年2月21日の記事を編集して再掲載しています。

起動するのに1分半かかるスマホって……。

世の中いろんなスマートフォンがあるんですね。海外で暮らしてみて、スマホの多様性をイヤっていうほど実感しました。

なぜって、日本から持っていったスマホが壊れてしまったんです。じゃあ現地で調達すればいいじゃな〜いと軽い気持ちで購入したインド製の廉価版スマホは、まったく新しいユーザーエクスペリエンスを提供してくれました。

海外でPixel 7 Proが壊れた

これはPixel 7 Proで撮ったやつ

インドと中国という超大国ふたつに挟まれたヒマラヤ山麓の小国、ブータン。昨年はその首都であるティンプーで楽しく暮らしていました。

ところが、ある日Pixel 7 Proを勢いよく落としてしまい、それっきりスマホが使えなくなってしまうというトラブルに……。タッチには反応したし、着信音やアラートも通常通りだったんですが、なにせディスプレイがブラックアウトしていたため操作できず。 ネットで調べてあれこれ応急処置を試してみましたが、いずれも蘇生には至りませんでした。

困り果てて首都ティンプーにある一番立派な修理専門店に持ち込んだところ、ディスプレイを全取っ替えするしか解決策はないし、そもそもPixelシリーズのスマホを取り扱っていないのでパーツがなくて無理、と言われてしまいました。

とりあえず一番安いスマホを買うことに

意外に思われるかもしれませんが、ブータンでは電子決済が主流です。モバイルアプリであらゆる支払いをささっと済ませられるので、スマホはもはやお財布と同義。生活に不可欠です。

このような事情もあり、仕方なしに新しいスマホを買いに行きました。個人経営のスマホショップに並んでいたのはRedmi、Realme、Samsung、OPPO、Vivoなどのブランド

「Redmi」シリーズはXiaomiの廉価版シリーズで、「Realme」はOPPOのサブブランド。いずれも中国のブランドですが、インド製です。ブータンと中国の間には国交がないので、必然的に物資のほとんどがインドから流入してくる構造となっており、スマートフォン市場も例外ではありません。

ちなみに、スマホ買い替えの際ブータン人の友人に勧められたのはRealmeでした。なんでも写真が一番キレイで、コスパが良いとのこと。

でもわたしが選んだのはAndroid 12搭載のインド製Samsung Galaxy A04eでした。Samsungというブランドに信頼感を抱いていましたし、一番安かったからです。お値段は8,000ニュルタム、およそ1万3,000円でした。

きれいなブルー。ディスプレイサイズは6.5インチ(720×1600)。本体サイズはほぼPixel 7 Proと一緒です。nanoSIMが2枚入るのもいいなと思ったんですよ。

ところが……。

容量がぜんぜん足りない

ストレージが32GB、メモリが3GBしかない。これ、致命的でした……。

CPUにはオクタコアのMediaTek Helio P35を搭載していて、最高速度は2.3 GHz出るらしい。ということは、処理速度の問題ではなく単純にメモリ不足が疑われました。とにかく動作が遅い、遅すぎる。電源を入れて起動するまでに1分半かかりました…。

銀行の電子決済アプリ。異次元の遅さだった

銀行の電子決済アプリを起動して、QRコードを読み込んで、決済するまでにかかる時間も異様に長かったんです。あまりにも遅いので、レジの店員さんも、わたしも、わたしの後に並んでいるお客さんもみんなイライラ。買い物が苦痛でした。

ストレージが足りなくて必要最小限のアプリしか入れられなかったのも辛かったです。GoProカメラと連携させて動画を読み込んだり、編集するなんてことは夢のまた夢。そもそも動画を撮っても保存できないくらいメモリが足りなかったんですから。

ただでさえフォトギャラリーから画像をしょっちゅう断捨離せざるを得ない状況だったのに、追い討ちをかけるように意図せぬスクリーンショットが毎日大量に発生する現象まで発生。Samsung Galaxy A04eの特別仕様で、手のひらで画面を右から左にスワイプするとスクショが撮れてしまうようでした。それもあってか、ポケットにしまうたびにスクショが増えていきました。

ビデオ通話はもちろんできません

ゲーム?『原神』ひとつで32.9GBぐらいですから、OSもろともアプリを全消ししたとしても入りきらないです。

カメラがレトロすぎ

もっとも絶望感を味わったのは、カメラでした。まずはこちらをご覧になってください。

こんなにぼんやりと映るスマホカメラは初めてでした。メインカメラの有効画素数は1300万画素/200万画素、フロントカメラは500万画素なので、そもそもスペックが違いすぎるPixel 7 ProやiPhone 14あたりと比べること自体が無謀なのですが。

それにしても、こうして並べてみるとGalaxy A04eで撮った写真はなんだか古いアルバム写真のようにも見えてきませんか。レトロ感というか、ノスタルジーというか……。そういう空気感を求めているのであれば、むしろGalaxy A04eはオススメかもしれません。

まあ、メモリが限られているから、あんまり撮り溜めることはできないんですけどね。

教訓:安物買いの銭失い

結局、Galaxy A04eを使っていたのはたったの2ヶ月半。日本へ帰ってきて速攻で新しいスマホに買い替えました。

ブータンでもうちょっと奮発してスペックの高い機種を購入していれば、日本でも問題なくインド製スマホを使い続けられていたかもしれません。もしかしたら、RedmiやRealmeの魅力にハマっていたかもしれません。今となってはもう知り得ないし、手に入りませんけど、そう考えるとちょっと残念なことをしてしまったと後悔しています。

それにしても辛いスマホ生活でした。Galaxy A04eがちっとも頼りにならなかったので、だんだんスマホから離れてパソコンやデジタルカメラを使う頻度が高くなり、脱スマホ生活を実現できていたぐらい。

動画を楽しんだり、SNSを自由気ままに閲覧したり、ゲームに熱狂したり、ほかのデジタルデバイスと連携したり……。こういうあたりまえになっている「スマホでできること」は、スマホのスペックによって大きく制限されることを改めて思い知りました。

やっぱり、日常生活に欠かせない大事なツールだからこそ、スマホはそこそこスペックの高いものを買わないとね。

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