「コーポレート・アクション」の季節到来、穴株妙味満載の6銘柄選抜 <株探トップ特集>
こうした観点から穴株妙味満載の銘柄をピックアップしていく。まず、産業用ランプで世界首位のウシオ電機 <6925> [東証P]は、(1)のPBRは0.8倍台、(2)の過去5期平均ROEは4.0%、(3)はアクティビストとして活動したことがあるM&Gインベストメント・マネジメントが、保有目的は「純投資」ではあるものの、直近では24年8月30日を報告義務発生日として保有割合を増加させている。(4)の自社株買いは同年5月から今年4月末にかけて上限300億円の枠を設けて実施中。(5)の24年の株価は5.2%の上昇となっている。業績面では25年3月期第3四半期累計の連結経常利益が前年同期比17.1%減の104億6100万円と芳しくないものの、通期計画の95億円を超過している。自己資本比率も68.2%と低くはなく、利益剰余金は1407億円と多い。自社株買いは23年5月~24年3月にも約300億円実施している。
化粧品・日用品・一般医薬品卸で最大手のPALTAC <8283> [東証P]は、過去5期平均ROEが8.9%と(2)の条件からは外れるものの、(1)のPBRは0.8倍台、(3)はアクティビストとして活動したことがあるサード・アベニュー・マネージメントの保有がファンド側の報告書で明らかとなっている。(4)の自社株買い実績は24年7月から25年2月にかけて約50億円実施した。(5)の24年の株価は2.3%の下落となっている。業績面では25年3月期第3四半期累計の経常利益は前年同期比3.1%増の254億1700万円に伸び、通期計画の317億円に対する進捗率は80%とほぼ巡航速度であった。自己資本比率は54.5%で、利益剰余金は2358億円と多い。
●アキレスは増配に期待アクティビストとして知られるファンドの保有が明らかになっていない銘柄をみると、運動靴大手のアキレス <5142> [東証P]は、(1)のPBRが0.5倍前後、(2)の過去5期平均ROEはマイナス1.3%。前期と前々期が最終赤字だったことが響いている。(4)の自社株買い実績は24年3月から25年2月にかけて上限16億円の枠で実施中。(5)の24年の株価は6.2%の下落であった。業績面では25年3月期第3四半期累計の連結経常利益が前年同期比19倍の5億3200万円に急拡大し、通期計画をすでに上回っている。自己資本比率は48.5%、利益剰余金は158億円となっている。好業績からの増配も期待される。
独立系電子部品メーカーであるアオイ電子 <6832> [東証S]は(1)のPBRが0.5倍台。(2)の過去5期平均ROEは0.1%と、24年3月期の大幅な最終赤字が響いている。(4)の自社株買いは24年3月に約19億6000万円を実施したが、(5)の24年の株価は28.7%の下落であった。25年3月期第3四半期累計の連結経常損益は8億6500万円の黒字(前年同期は7億9700万円の赤字)に浮上し、通期計画に対する進捗率は82%に達した。自己資本比率は85.6%と高く、利益剰余金は340億円ある。
老舗百貨店天満屋グループで岡山地盤のスーパーである天満屋ストア <9846> [東証S]は、(1)のPBRが0.4倍台、(2)の過去5期平均ROEは4.9%とわずかながら5%に届いていない。(4)の自社株買いは23年10月に行ったが、取得総額は約3200万円にとどまった。(5)の24年の株価は10.4%の下落である。25年2月期第3四半期累計の連結経常利益は前年同期比8.0%増の17億7000万円、通期計画の25億円に対する進捗率は71%にとどまった。自己資本比率は60.0%で利益剰余金は168億円。主要株主としてイトーヨーカ堂が20%保有している。イトーヨーカ堂の親会社であるセブン&アイ・ホールディングス <3382> [東証P]が、スーパーなど非中核事業を束ねる中間持ち株会社の株式売却手続きを進めており、更なる事業ポートフォリオの見直しにおいて天満屋スも対象として含まれる可能性が考えられる。
九州地盤の電鉄大手である西日本鉄道 <9031> [東証P]は(1)のPBRが0.7倍台、(2)の過去5期平均ROEは4.8%。(4)の自社株買い実績は24年5月から同年10月までに約30億円を実施したが、(5)の24年の株価は5.1%の下落である。25年3月期第3四半期累計の連結経常利益は前年同期比20.3%増の224億1200万円と大幅増益。決算発表時に、通期の同利益を従来予想の258億円から283億円(前期比15.3%増)に上方修正した。同利益は2期ぶりに過去最高益を更新する見通しとなっている。鉄道という業態から自己資本比率は31.2%と低いが、利益剰余金は1779億円ある。好業績を背景に増配が期待されるほか、自社株買いの可能性もありそうだ。
株探ニュース