世界で国債入札に陰り 財政圧力強まり投資家の選別色濃く

各国政府による長期国債の入札が相次いで低調な結果に終わる中、投資家が国債発行による資金調達にどこまで応じるかが問われ始めている。

  日本では5日実施された30年債入札がここ3週間で3回目の不調となり、応札倍率は2023年以来の低水準を記録した。入札後の債券価格上昇は投資家がさらに悪い結果を想定していたことを示唆する。

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  3日のオーストラリア12年債入札は約6年ぶりの弱い需要、4日の韓国30年債入札も22年以来の低調な結果となった。

  これらの動きは、来週に予定されている米10年債・30年債の入札にも波及する可能性があり、市場の注目が集まっている。

  米国の財政赤字の拡大に対する懸念は強まりつつあり、投資家は長期の米国債を保有するためのリスクプレミアム拡大を求めている。

  ウエストパック銀行の金融市場戦略責任者マーティン・ウェットン氏(シドニー在勤)は「日本国債も他国の国債も、長期債が総じて投資家に敬遠される傾向を示している」と指摘した。

  各国政府は今後も多額の支出を計画している。米国のいわゆる「大型歳出法案」は今後10年で数兆ドル規模の赤字を生むと見込まれており、欧州ではウクライナ戦争を背景に国防支出が増加。日本も海外関税の影響緩和策などで支出拡大が見込まれる。

  しかし、長期にわたり借り入れを増やそうとすれば資金調達コストの上昇が避けられない。ブルームバーグの長期国債利回りの指標は08年以来の高水準に達している。

  もっとも、日本の30年債入札後の市場反応は落ち着いていた。長期の日本国債は上昇したし米国債も小動き。4日の米雇用指標が予想より弱かったことを受けて米国債利回りは低下し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待が持続していた。

  とはいえ、需要の不安定さを受けて各国政府が調達戦略の見直しを迫られる場面も出てきた。日本の財務省は先月、市場参加者に対して発行に関する意見を求めるアンケートを実施したとされ、英国も4月に長期国債の発行予定を過去最低水準に引き下げている。

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  フランシス・ダイアモンド氏らJPモルガン・チェースのストラテジストは最近のリポートで「今後も世界的な長期債需要動向をめぐり、不確実性が高まる可能性がある」と指摘した。

原題:Global Bond Auctions Show Weaker Trend as Fiscal Pressures Grow(抜粋)

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