「傷口から白い膿が出た、治る証拠だ」手を洗わない医者が“院内感染”を大量生産…死者62万人を出したアメリカ史上最悪の戦場医療の“ヤバさ”(文春オンライン)

リンカーン大統領像 ©︎AFLO(文春オンライン)

〈「何十年も前の古傷が、ある日突然パカッと開く」歯が抜け落ち、骨が再び折れ…200万人を“溶かして”殺した地獄の病とは〉 から続く

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  リンカーンの奴隷解放宣言につながった南北戦争は現場の兵士にとって、アメリカ史上最も痛く、汚く、惨めな地獄だった。死者62万人のうち、銃弾で命を落としたのは約20万人。残りの40万人以上は、キャンプでの下痢や高熱による病死だったという。ここでは、扶桑社の新刊 『R18世界史』 の一部を抜粋し、兵士から恐れられた現地医療の実態を紹介する。

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 当時の野戦病院は納屋の扉をテーブルにしただけの血と泥とホコリにまみれた場所で、返り血で真っ赤に染まった軍医たちは、兵士から恐怖を込めて「ブッチャー(肉屋)」と呼ばれました。止血帯で縛り、ナイフで肉を切り開き、大工道具のようなノコギリで骨を切断し縫い合わせる。次々と患者が来るため、この作業をわずか十分で行いました。病院の外には切り落とされた手足が山のように積み上げられていました。

 当時すでにクロロホルムなどの麻酔薬は存在していましたが、南軍は海上封鎖で医薬品が不足していたため、兵士にウイスキーを飲ませて木の棒を嚙ませ、麻酔なしで切断することも少なくありませんでした。さらに「麻酔を使うと心臓が止まる」「痛みが生きる力を引き出す」と言って、わざと使わずに切断する軍医もおり、野戦病院は24時間悲鳴とノコギリを挽く音が響くまさに地獄でした。

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