≪池袋ポケセン刺殺≫「世界で一番大切な人…自分はストーカーです!」偶然を装い待ちぶせ、土下座、自殺示唆…新たにわかった元恋人への凶行
2026年3月26日の午後7時過ぎ、池袋のサンシャインシティ2階の「ポケモンセンターメガトウキョー」でアルバイトをしていた春川萌衣さん(21)が川崎市の無職・広川大起容疑者(26)に首などを刃物で刺され死亡した。広川容疑者は春川さんを殺害した後に自身の首もナイフで刺し、死亡した。過去にストーカー規制法違反で逮捕されていた元交際相手による犯行だった
〈画像多数〉女性の手を握りダンスを踊る学生時代の廣川容疑者、相模原で元交際相手の女子高生をストーカし、殺人容疑で逮捕された19歳の男の画像
事件からまもなく3か月、相模原市女子高生殺人事件をはじめ元交際相手による殺人事件も起きている。事件は本当に防げなかったのか。「池袋ポケセン刺殺事件」のきっかけとなったストーカー事件について新たな証言と共に、改めて詳細を振り返る。
「池袋のポケセンに強い恨みがあった」
2025年12月25日。世間がクリスマスで賑わう中、広川大起容疑者は八王子警察署にいた。前日のクリスマスイブに元恋人の春川萌衣さんに対しストーカー規制法違反を犯し、25日に逮捕されていたのだ。その際に広川容疑者はこう供述している。
『私としては春川さんとの関係が壊れていく原因でもある池袋のポケセンに強い恨みがあった。だから私は池袋のポケセンで首を切って死んでやろうと考えていた。それくらい私にとって春川さんは大切な人になっていた』
広川容疑者がポケモンセンターで刺殺事件を起こしたのは2026年3月26日。事件の約4か月も前から犯行を仄めかしていたことになる。当時の捜査関係者が語る。
「2人はバイト先で知り合った。交際期間はおよそ9か月で、2025年7月に被害者のほうから別れを告げている。その後、10月から11月にかけて広川容疑者がストーカー行為をするようになった。取り調べ当初、広川容疑者は『一目ぼれした』『世界で一番大切な人』『ずっと一緒にいたいと感じられる人』と被害者に強い執着を見せていた」
7月、春川さんは夢だったポケモンセンターで働き始めた。しかし、そのことから2人はたびたび口論になった。広川容疑者は仕事を優先する春川さんに対し不満を持ち、『その仕事は向いていない』『周りの人に迷惑をかけている』などと文句を言い、結果的に別れの引き金となったという。
春川さんからLINEで別れを告げられた広川容疑者は素直に応じ、その後も2人は友人関係を続けた。しかし、広川容疑者が交際時と同じ態度で春川さんに接し続けたことから、春川さんは広川容疑者のLINEをブロック、友人関係を絶とうとした。当時、春川さんはこう供述している。
「(LINEを)ブロックしたにもかかわらず電話がかかってきたので、もう関わってこないでと電話で強めに言いました。その後もSMS(ショート・メッセージ・サービス)で『病んじゃって死んじゃいそう』とメッセージが来たため、自分のせいで死なれるのは困るので、直接会って迷惑だから本当にやめてと伝えました」
「開き直った態度で『ストーカーです』と言い、結局自宅までついてきた」
未練を募らせた広川容疑者は春川さんの自宅周辺を歩いてみたり、偶然を装って春川さんの乗る電車に先回りして同じ電車に乗ったり、春川さんの新しいSNSアカウントを探し出しフォローしたりと行動をエスカレートさせていった。前出の捜査関係者が続ける。
「9月に広川容疑者は被害者の帰宅時間に合わせてスーパーで鉢合わせするように待ち伏せした。その際、被害者に家まで送ると申し入れたが断られ、『これ以上来たら縁を切る』と言われている。そのことに対し腹を立てた容疑者は、走って逃げる被害者を自宅まで追いかけ、被害者から『今度同じようなことをしたら警察に言う』とLINEで告げられている」
この出来事から春川さんは完全に広川容疑者を拒絶するようになる。一方で広川容疑者は「画面上だけでも春川さんとのつながりを感じたいので『ぎゅーしたいよ』『ちゅ』などと(10月から11月にかけて)SMSを送った」と身勝手な思いを供述している。
その後もストーカー行為は続く。
12月4日深夜、広川容疑者は再び仕事帰りの春川さんを待ち伏せした。春川さんは気づかないフリをして通りすぎ、友人に電話をかけて帰宅を急いだが、その後を広川容疑者が尾けてきた。広川容疑者は突如春川さんの右斜め前に出ると、土下座を始めた。
広川容疑者は小さな声で何か言っており、春川さんはそれを聞き取れなかったと供述している。『やめてほしい、ストーカーだよ。通報するよ』と春川さんは広川容疑者に告げたが、開き直った態度で『ストーカーです』と言い、結局自宅までついてきたという。
そして12月24日、広川容疑者はさらにストーカー行為をエスカレートさせることに。
「彼女には本当に怖い思いをさせてしまいました」と供述していたが…
12月24日の廣川容疑者の犯行時の様子について、前出の捜査関係者はこう話す。
「広川容疑者は『12月13日にポケモンカード、いわゆるポケカの購入当選通知メールが届いた。春川さんが大好きなポケモンがレアカードで入っている可能性が高い。それを春川さんに喜んでもらいたいなと思い、プレゼントしてストーカー行為を謝り、元の関係に戻りたいなと思った。
12月24日、午後10時10分くらいに春川さんの家に行き、玄関前にスターバックスコーヒーの袋に入れたポケカ、スタバのギフトカード、手紙を置いた』と調べで語っている。さらに被害者の帰宅を待ち、プレゼントを受けとるか確認しようとしたものの、被害者の帰宅時にその様子は見えなかったため、一度帰宅した後に自宅近くのタイムズレンタカーで車を借り、再度被害者宅に向かっている」
再訪した春川さんの家の玄関の明かりが点いていたことから、広川容疑者は春川さんが出かけて他の男性の元に行ってしまったのではないかという不安に駆られた。そのため春川さんの家の前で自殺をしようと自宅に果物ナイフを取りに行き、車のダッシュボードに入れ春川さんの家の前に戻ってきたところを刑事に確保されている。
この日、広川容疑者は手紙に『ごめんなさい 本当に今しにたくて どうか助けてください 本当にごめんなさい 本当におねがいします 今夜中に連絡ほしいです どうかおねがいします』(原文ママ)などと書いていたという。
1月中に行われた取り調べで広川容疑者は『通院を重ねて前向きに生きていこうという気持ちも芽生えています。彼女には本当に怖い思いをさせてしまいました。心から謝罪したいと思います』と語っていた。
その後、ストーカー行為などに関する法律違反や銃砲刀剣類所持等取締法違反などに問われた広川容疑者は罰金刑という判決を受けた。そしてその2か月後、池袋で刺殺事件を起こすことになる。
被害者の春川さんは12月25日に警視庁八王子署に相談していた。警察も同日逮捕するなど対応を行なってきたにもかかわらず、なぜ事件は防げなかったのか。現行の法制度に限界があるのではないか。ストーカー規制法に存在するさまざまな課題を見直すべき時が来ているのかもしれない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班