長期的には「1ドル=170円」も視野入ってくるか。米ドル/円は為替介入の余波でいったん小休止だが再び円安の流れに戻ることを想定して円売りトレードで臨む(ザイFX!)

5/8 21:01 配信

⚫️今回の介入による円安阻止は付け焼き刃

 4月30日(木)に財務省が米ドル売り・円買い介入を実施したとき、三村財務官は「大型連休はまだまだ序盤だ」とゴールデンウィーク中も介入を実施する可能性があることを示唆しました。 実際、連休中に、突然急激に円高になる局面が3回ありました。短期ファンドが介入のように見せかけて仕掛けをするときもあるので、すべて介入であったかどうかは判断が難しいですが、少なくとも5月6日(水)は間違いなく介入であったと思います。 最近のパターンとしては、1回で2兆円から3兆円介入することが多いので、4月30日(木)の介入も合わせると、合計で5兆円以上の介入を実施したと思います。

 しかし、これで円安の流れが止まるかといえば、まったくそうではなく、今回の米ドル売り・円買い介入による円安阻止は付け焼刃と言わざるを得ません。

⚫️円相場はいったん小休止だが再び円安の流れになる

 高市政権は発足以来、積極財政を全面的に打ち出しています。また、日銀に対しても政策金利を上げないように圧力をかけています。 実際、4月の会合で日銀は利上げを見送りました。こうした円安を誘発する環境を作り上げている中で、介入だけで円安を止めようと考えても無理があります。 とはいえ、一時的にマーケットに5兆円規模の米ドル売り(円買い)が持ち込まれたわけですから、短期的には米ドルの需給に多少の影響を与えます。 加えて、さらなる介入への警戒感も当然広がっているので、円相場はいったん小休止ということになると考えています。

 しかし、一定時間が経過してマーケットがこの売りを消化した後には、再び円安の流れとなると予想しています。トレードは依然として円売り中心でやっています。

⚫️来日するベッセント米財務長官の発言に注目

 次に、今後の注目点について考えてみます。5月11日(月)にベッセント米財務長官が来日する予定です。主なテーマは当然イラン情勢についてとその影響だとは思います。 ただ、財務省が為替介入をした後ですので、円相場についても議論になるでしょう。ベッセント財務長官の発言には注意をしておきたいと思います。 また、5月14日(木)、15日(金)には、トランプ大統領が中国を訪問する予定になっています。

 中国はイランとの経済的関係が非常に濃く、米国との武力紛争の仲裁役として期待されています。この訪中の前後でイランとの戦争終結交渉が進展する可能性があります。まあ、半分は願望でもありますが、期待してみておきます。

⚫️長期的に米ドル/円は170円も視野に入ってくるか

 最後に、長期的な目線での話です。ここ最近、日本において家計の外貨建て資産が急増しています。ここ5年で50兆円以上増えました。 また対外直接投資もここ3-4年急増しています。日本人の投資行動は明らかに変わってきています。この流れは簡単には変わりません。日銀が利上げに躊躇すればするほど、資金が海外に向かいます。 さらに、日本の企業が海外の企業を買収する際にも、円金利が安いため、円で資金を調達し、それを外貨に換えて買収資金とするやり方が主流になっています。

 日銀の植田総裁が指摘するどおり、日本の実質金利は依然として大きくマイナスになっています。この環境では円安の流れは必然です。いずれ、「1ドル=170円」も視野に入ってくるのではないでしょうか。

今井雅人の「どうする? どうなる? 日本経済、世界経済」

最終更新:5/8(金) 21:01

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