アングル:中間選争点は経済か「反トランプ」か、民主党内で意見分かれる
[ワシントン 26日 ロイター] - 民主党は今月に入るまで、経済に関するメッセージを維持する点で軍隊のような規律正しさを示していた。そこにトランプ米大統領によるイラン攻撃、交流サイト(SNS)上で自身を「キリストのような姿」として描く投稿、そして教皇に向けた攻撃が起きた。
下院民主党議員の約40%に相当する84人が先週時点で、合衆国憲法修正第25条を強化するために大統領の職務遂行能力を評価する特別委員会の設置を提案する、ジェイミー・ラスキン下院議員の法案に署名した。憲法修正第25条は、弾劾とは別の手続きで大統領の権限を剥奪するための骨子となる手順を定めている。
ウィスコンシン州選出のマーク・ポカン下院議員はインタビューで、「ラスキン氏の取り組みは、人々(有権者)が考えている状況と一致していると思う」と述べた。
しかし、他の民主党候補者は、トランプ氏の罷免や弾劾に焦点を当てれば、民主党の訴える「米国をより手頃な価格にする」という選挙向けのメッセージがあいまいになり、悪くすれば有権者が離れるだろうと警告している。有権者は、民主党がトランプ氏を1期目に2度弾劾しながら、結局は共和党が支配する上院で無罪となり、2024年に2期目の当選を果たすのを見たからだ。
ロイター/イプソスの登録有権者を対象とした今月の世論調査で、米国とイスラエルがイランに対する戦争を開始して以降のガソリン価格上昇について、77%がトランプ氏に少なくともかなりの責任があると回答した。民主党は生活費問題に対処できる政党として、共和党よりも一貫して支持を集めている。
バージニア大学のカイル・コンディク氏は、アラスカ州とオハイオ州という共和党支持が強い「赤い州」でそれぞれ立候補している民主党の候補者2人に言及し、「例えば、彼らがトランプ氏の弾劾について多くを語るとは思わない」と語った。
ルビオ国務長官が上院議員だった際に補佐官を務めた共和党の戦略家アレックス・コナント氏は、民主党がトランプ氏の罷免を有権者へのアピールの一部とすれば、「共和党が、トランプは経済に集中しているが民主党はトランプ氏に執着していると言うだろう」と述べた。
<重要なのは経済>
コネチカット州選出のリベラル派、ローザ・デラウロ下院議員は19期目の当選を目指しており、「この国に何が必要とされているのかに目を向けよう。経済、医療、食料品価格、それが私の集中している分野だ」と語った。
下院民主党の中で最も中道派の一人であるテキサス州選出のヘンリー・クエヤール下院議員は、ロイターに対して「われわれは自らの選挙区にとって重要なこと、つまり手頃な価格や移民・税関捜査局(ICE)の強制捜査に集中する必要があると思う」と語った。
トランプ政権は移民送還の取り組みを強化するためにICEの要員数千人を全米に派遣しており、共和党がこれまでに食い込んできたヒスパニック系有権者の支持を脅かしている。クエヤール氏の選挙区はメキシコとの国境に接している。
進歩派のリーダー的存在であるマサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員でさえも、ラスキン氏の取り組みから距離を置き、「実行に移すには共和党議員が立ち上がる必要がある。民主党議員だけでは成し遂げられない」と述べた。
副大統領は憲法修正第25条の下で、大統領の閣僚と協力して大統領の権限を一時的に取り上げる手続きを開始しなければならない。
<左派からの弾劾圧力>
しかしながら、今年再選を目指して出馬する他の民主党議員たちは、党内のより左派寄りの若手有権者にアピールするために、トランプ氏の弾劾という考えを受け入れる必要があるかもしれない。
コネチカット州選出のジョン・ラーソン下院議員(77)は体制派の民主党員だが、自身より30歳以上若い少なくとも2人の候補者から挑戦を受けており、4月上旬にトランプ氏に対する13項目からなる弾劾を提案した。
13項目には、議会の宣戦布告権限を奪ったことや戦争犯罪、大統領がその地位を利用して私腹を肥やすことを禁じる憲法の「報酬条項」に違反したとする内容が含まれる。
民主党は今のところ、トランプ氏と対決する主題について慎重に進めている。失敗すれば、トランプに対する不合理な憎悪を抱いているという非難の嵐を共和党から招くだろう。
<赤い州の勝利>
民主党のシェロッド・ブラウン元上院議員は、ブルーカラー労働者から長年支持を得ていたが24年に落選し、オハイオ州の上院議席を取り戻そうと立候補している。
ブラウン氏の選挙陣営は生活費の問題に集中し、ブルーカラー労働者から農家に至るまであらゆる人々が「仕組まれたシステム」にだまされていると主張する。彼の公約はトランプ氏の追放でなく、公共料金の値上げ幅の制限などが盛り込まれている。
世論調査によると、経済と消費者物価が有権者の懸念事項の筆頭に上がっている。
トランプ氏は24年の大統領選挙戦で物価を引き下げると公約していた。実際には、米国の前年比インフレ率は2月が2.4%、3月が3.3%それぞれ上昇した。
3月下旬のロイター/イプソスの世論調査で、トランプ氏の生活費問題への対応を支持しているのはわずか25%にとどまることが分かった。
こうした世論調査は、民主党の中間選挙に対する期待を後押ししている。政権を握っていない野党は歴史的に見て、大統領選挙のない年に好成績を収める傾向があるからだ。
中間選挙で「弾劾」や「憲法修正第25条」という言葉を使うかどうかにかかわらず、民主党候補者はイラン戦争と手頃な価格を関連づけることが勝利を引き寄せるという見方で一致している。
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