閑散としたモスクワのショッピングモールが物語る、ロシア経済の苦境(CNN.co.jp)

モスクワ(CNN) 中流階級が暮らすモスクワ郊外の住宅街。きらびやかなショッピングモールのアトリウムには、エネルギッシュなポップミュージックが鳴り響いている。しかし買い物客の賑わいを彩るはずだった音楽が鳴り響くモール内は今やほとんどが空き室で、各店舗のガラスの仕切りは板で覆われている。このような光景から、ロシア経済の低迷が痛いほど伝わってくる。 【画像】「世界の終わり」?、人影のないモスクワのショッピングモール この広大な「グッドゾーン・モール」は、2014年に鳴り物入りでオープンした。8スクリーンを備えたシネマコンプレックスも今では閑散としており、ロビーの照明も消えている。週7日営業はしているものの、モスクワ南部に位置するこのモールはゆっくりと死を迎えつつあるように見える。営業する店舗はほとんどなく、客の数はさらに少ない。 ウクライナへの全面侵攻と西側企業の撤退、そして前例のない西側諸国からの制裁の後、ロシア経済は予想を覆し、巨額の軍事費支出と中国・インドへの石油輸出増加に舵(かじ)を切った。 しかしながら、経済には徐々にひずみの兆候が現れ始めている。2026年の最初の2カ月間で国内総生産(GDP)は1.8%縮小した。ロシアのプーチン大統領は4月中旬に開催された経済問題に関する政府会議でこの問題を認めた。 ロシア共産党のゲンナジー・ジュガーノフ党首は先週、国家院(連邦議会下院)で演説し、政府が経済の低迷に対処しなければ、ボリシェビキ革命のような事態に陥る可能性があると警告した。

今のところロシアでは大規模な社会不安の兆候は見られず、モスクワ北西部の巨大ショッピングモール「アビアパーク」をはじめとする他のモールは好調なようだ。だがグッドゾーンの複数の従業員はCNNに対し、客足が一段と減っているとの懸念を示した。 従業員の一人、イワンさんはロシア最大手の小売企業の支店でレジ係として働く。CNNの取材を受けるに当たり、姓と本来の勤務先を伏せるよう求めた。レジ係の仕事は副業だが、今の状況で失うわけにはいかないという。 「経済の観点で言えば、ここを見ればこの国の現状がよく分かる」。イワンさんはレジの画面を指差しながらそう話す。 画面には、その日の取引件数13件、合計3417ルーブル(約7000円)と表示されている。 取材当日は4月下旬の木曜日の午後だった。イワンさんは、好況時なら取引件数は300件近くになるだろうと語る。 「(グッドゾーンは)半ば世界の終わりといった感じだ」とイワンさん。「モールがあまりにも広すぎて、歩き回っていると迷子になって疲れてしまう。大勢の人が行き交うことを想定して建てられたようだが、実際にそんな光景を見たことはない」 CNNはモールの管理事務所にコメントを求めた。モールのウェブサイトには一部が改装工事中であること、そして新しいテナントが入居予定であることが記載されているが、現地ではどちらの情報も確認できなかった。ウェブサイトに掲載された賃貸広告によると、小売スペースの価格は1平方メートルあたりわずか1ルーブル(約0.01ドル)と、驚くほど低く設定されている。以前は空き店舗の多くに欧米のブランドが入居していたが、それらは既に撤退した。 ギフトショップで働く2人の女性(いずれも匿名希望)はCNNに対し、最近は客足がほとんどないと語った。店舗は「基本的に倉庫として使っている」という。 女性のうちの一人は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の後、多くの企業がオンラインに移行したが、ビジネス全般は回復傾向にあったと振り返る。しかし2022年2月、ロシアによるウクライナへの本格的な侵攻で状況は変わった。 「22年以降、購買力は低下した」「もう状況が好転するとは思っていない。とにかくこれ以上悪化しないことを願うばかりだ」 もう一人の女性もうなずいて同意した。「それだけが唯一の望みだ。あらゆるものの値段が日々上がっているのに、給料は上がらないのだから」 女性らによると、店舗の経営者は増税への対応に苦慮。資金集めに奔走しているという。

CNN.co.jp
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