G7財務相が共同声明、過度の不均衡に対応へ 対ロシア制裁強化の可能性も表明
[バンフ(加アルバータ州) 22日 ロイター] - 主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は22日、カナダ・バンフでの会合で、世界経済の「過度の不均衡」に対応すると確約する共同声明を採択した。対ロシア制裁を強化する可能性も表明した。
会合前は、米国の関税を巡る対立や、米国がロシアのウクライナ戦争を違法と認めることに消極的だったことなどから、最終共同声明が採択されるかどうか疑問視されていた。しかし、3日間に及ぶ協議を経て、参加国は長大な文書に署名。議長国カナダのシャンパーニュ財務相は閉会の記者会見で「われわれが直面している最も差し迫った世界的課題について共通の立場を見出した。G7が目的と行動において団結しているという非常に明確なメッセージを世界に送ったと思う」と評価した。
共同声明は「非市場的な政策や慣行」がいかに国際経済の安全保障を損なうか共通の理解が必要と指摘した。中国に直接言及していないものの、同国を念頭に置いているとみられる。
声明はトランプ米大統領が課した関税についても言及しなかった。シャンパーニュ氏によると、米関税を巡る議論は行われた。同氏は「G7は関税が問題であるという事実を避けて通ろうとはしていない。われわれは成長と安定の強化に努めており、その中で関税についての議論を避けて通れないのは明らかだ」と述べた。
さらに声明は「市場集中と国際サプライチェーンの耐性」の分析を求めたほか、「公平な競争の場が重要で、同じルールを順守せず透明性を欠く動きによって引き起こされる損害に対処するために、幅広く協調したアプローチを取ることで合意した」とした。
<ウクライナ戦争巡る文言和らぐ>
このほか、ロシアによるウクライナに対する「残虐な戦争の継続」を非難し、停戦合意に向けた取り組みが失敗に終われば、「さらなる制裁の強化」を含むあらゆる選択肢を検討すると表明。G7の管轄区域におけるロシアの国家資産については、ロシアが紛争を終結させウクライナに対する損害を賠償するまで凍結させるとした。
ウクライナ戦争に関する文言は、トランプ大統領再選前の昨年10月に発表された「ウクライナに対する違法で、不当で、いわれのない侵略戦争」とする従来のG7声明から和らげられた。
しかし、G7財務相はロシアの戦争に資金を提供した国々がウクライナ復興から利益を得ることがないよう協力することを約束。シャンパーニュ氏は「これは非常に大きい」と語り、共同声明の基本的な柱だと指摘した。
声明ではロシア産原油価格の上限については言及されていない。
6月15─17日にはカナダ・カナナスキスでG7首脳会議が開催される。ホワイトハウスは22日、トランプ氏が出席することを確認した。
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