ホルムズ海峡の封鎖解除をトランプ氏が要求、イランは反発 再開の必要性を英米首脳が協議
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中東で続く紛争で、原油輸送の要衝ホルムズ海峡をめぐる緊張が一段と高まっている。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、イランが米東部時間23日夜(日本時間24日朝)までに同海峡の実質的な封鎖を解かなければ、イランの発電所などを攻撃すると表明。これに対しイランは、攻撃を受ければアメリカ関連のエネルギー施設を報復攻撃するとした。こうしたなか、イギリスのキア・スターマー首相とトランプ氏は22日、電話で協議し、ホルムズ海峡の再開が必要との点で意見が一致した。
トランプ氏は21日午後7時44分(日本時間22日午前8時44分)、「現時点から48時間以内に、イランが脅しを伴わずにホルムズ海峡を完全開放しなければ、アメリカはイランのさまざまな発電所を攻撃し、壊滅させる。最大の発電所を真っ先に標的にする!」と、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
これに対しイランは、アメリカが脅しを実行した場合、ペルシャ湾岸地域にあるアメリカ関連のエネルギー施設を攻撃すると表明した。イランの国営メディアが伝えた。
イランのアッバス・アラグチ外相は「ホルムズ海峡は閉鎖されていない」とソーシャルメディア「X」に投稿。「船舶が(航行を)ためらっているのは、保険会社が、あなたたち(アメリカとイスラエル)の始めた選択的な戦争を恐れているからであって、イラン(を恐れているから)ではない」と主張した。
外相はまた、「これ以上脅しても、保険会社もイラン人も動じない」と宣言。「『貿易の自由』なくして『航行の自由』はあり得ない。両方を尊重するか、どちらも期待しないかだ」と付け加えた。
ホルムズ海峡は、2月28日にアメリカとイスラエルがイランを攻撃し戦争が始まった直後、実質的にイランが封鎖。以来、世界の石油と液化天然ガスの約20%が通過する同海峡での船舶の往来は、戦争前と比べて約95%減っている。
影響で、世界の燃料価格は急騰。原油価格は戦争前から45%上昇し、1バレル100ドルを超えている。
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英首相官邸の報道官は22日、スターマー氏とトランプ氏が同日夜に電話で協議し、「世界的なエネルギー市場の安定を確保するためにはホルムズ海峡の再開が不可欠」との点で意見が一致したと明らかにした。
報道官によると、「両首脳は中東の現状について協議し、特に、世界の海上輸送を再開するためにホルムズ海峡の航行が再開する必要性について話し合った」。両首脳はまた、「近いうちに再び話し合うことで合意した」という。
英政府は23日、緊急事態対策委員会「COBRA会議」を開き、エネルギー安全保障や、今回の危機が各家庭に与える経済的影響、企業やサプライチェーンへの影響、国際的な対応などについて議論する。スターマー氏が議長を務め、各閣僚やイングランド銀行(中央銀行)総裁らが出席する。
こうしたなか、スティーヴ・リード英住宅相は22日、BBCの取材に応じ、政府はすでに光熱費対策に着手していると説明。暖房用灯油の価格急騰に苦しむ世帯を対象とした5300万ポンド(約110億円)の支援策などを講じていると述べた。
リード氏はまた、「イランがイギリスを標的にしているという、具体的な評価は下していない。仮に(イランが)そうしようとしても、それが可能だとも我々は判断していない」とした。
この発言は、イスラエル国防軍(IDF)が21日に、イランが最大射程距離4000キロのミサイル兵器を保有していると発表したのを受けたもの。発表に先立ち、イランが自国から約3800キロ離れたインド洋のチャゴス諸島にある米英共同軍事基地を攻撃目標にしていたことが明らかになっていた。
リード氏は、イギリスの海外領土にミサイルがどれだけ接近したかについては、「作戦上の詳細」を明かすことはできないとして、説明を避けた。
同氏によると、イランはチャゴス諸島のディエゴ・ガルシア島に向けて弾道ミサイル2発を発射したが、1発は目標に届かず、もう1発は迎撃されたという。
イギリスはそれまで、イランによるミサイル発射がイギリスの利益や人命を脅かす事態を防ぐ防衛作戦に限り、米軍が英軍基地を使うことを認めていた。