FRBにはインフレの方が課題、雇用よりも-セントルイス連銀総裁

Jonnelle Marte

  • 「インフレ目標は達成できていない」、労働市場は完全雇用に近い
  • 関税による物価への影響、長期化するという「合理的可能性」ある

米セントルイス連銀のムサレム総裁は8日、先週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で金利据え置き決定を支持したとし、当局の責務においては物価安定の方がまだ目標達成に至っていないとの認識を示した。

  ムサレム氏はミシシッピ州イッタベナで開かれたイベントで「現在の経済情勢では、インフレ目標を達成できていない」と発言。「雇用に関する目標は達成できている」とし、労働市場は完全雇用に近いと述べた。

  FOMCは先週、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25-4.5%のレンジで据え置いた。これは昨年12月から続いている水準で、多くの政策当局者は関税がインフレや経済成長に及ぼす影響を見極めるため、さらなる時間が必要だとの考えを示している。しかし、FRB理事2人は労働市場の減速を懸念し、この決定に反対票を投じた。1日に発表された7月の雇用統計が市場予想を下回り、こうした懸念を裏付ける格好となった。

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  「労働市場は需給の観点ではバランスが取れている」とムサレム氏。「ただし、需要と供給がともに同時に減少しつつある、もしくは同時に冷え込んでいる」と話した。

  一方、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)コア価格指数は6月に、前年同月比2.8%上昇と、当局目標の2%を上回った。

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  ムサレム氏は、関税による物価への影響は一時的なものとなる可能性が高いとしつつ、より長期化するという「合理的な可能性」もあると付け加えた。

  「足元の経済情勢を踏まえれば、政策金利を当面据え置くことが適切のようだ」と同氏は説明。「先行きを見通すと、われわれは責務の双方で目標を達成できなくなるリスクがある」とし、経済活動の減速と関税による物価上昇圧力を指摘した。

原題:Fed’s Musalem Says Officials Missing More on Inflation Than Jobs(抜粋)

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