【米国市況】ハイテク快調、ナスダック100と「マグ7」指数が最高値

8日の米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は週間ベースでは6月以来の大幅高を記録した。この日はハイテク銘柄が買いを集め、ナスダック100指数は過去最高値を更新した。

株式 終値 前営業日比 変化率 S&P500種株価指数 6389.45 49.45 0.78% ダウ工業株30種平均 44175.61 206.97 0.47% ナスダック総合指数 21450.02 207.32 0.98%

  ハイテク大手7社で構成する 「マグニフィセント・セブン」の指数も最高値を更新。アップル1000億ドルの国内追加投資が関税回避につながるとの見方から、株価が上昇。週間ベースでは2020年以来の大幅高となった。

  住宅金融大手ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の株価も急伸。トランプ政権は両社の新規株式公開(IPO)を年内に実施し、保有株を放出する準備を進めていると、複数の政府高官が述べた。

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  eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏は、株式市場におけるモメンタムの強さに言及。S&P500種株価指数構成企業の8割超が市場予想を上回る決算を発表したとし、テクニカルとファンダメンタルズの両面で強気派に有利な地合いが続いているとみている。

  「2025年後半には予期せぬリスクが顕在化する可能性もあるが、企業業績は予想を上回っており、米金融当局も利下げに一歩ずつ近づいている」と同氏は指摘。「経済が底堅さを維持する限り、株式相場を押し上げる材料は引き続き存在している」と語った。

  ロンバー・オディエ・インベストメント・マネジャーズのフロリアン・イエルポ氏は「今週の市場は明確な『押し目買い』心理を背景に力強く反発した」と分析。「先週、好決算に対する反応が鈍く、市場心理が後退しているように見受けられたが、今週は明らかに異なる動きが見られた」と語った。

  米株式市場の堅調ぶりとは裏腹に、8月6日までの1週間では米国株式からは約280億ドルの資金が流出し、一方でマネーマーケットファンドには約1070億ドルが流入した。バンク・オブ・アメリカ(BofA)がEPFRグローバルのデータを基にまとめたリポートで明らかになった。

  モルガン・スタンレーのウェルス・マネジメント・マーケット調査・戦略チーム責任者、ダニエル・スケリー氏は「主要株価指数が最高値圏にあるなか、株価バリュエーションは高く、銘柄選定と分散投資の重要性がこれまで以上に増している」と述べた。

  BofAのストラテジスト、マイケル・ハートネット氏によると、同行顧客の多くが、景気が過熱も冷え込みもしない「ゴルディロックス(適温)」シナリオに賭けている。投資家は金利低下が株価上昇を促すシナリオを期待しているという。

国債

  米国債相場は下落。10年債利回りは約3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。

  セントルイス連銀のムサレム総裁は、先週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で金利据え置き決定を支持したとし、当局の責務においては物価安定の方がまだ目標達成に至っていないとの認識を示した。

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国債 直近値 前営業日比(bp) 変化率 米30年債利回り 4.85% 2.4 0.50% 米10年債利回り 4.28% 3.3 0.77% 米2年債利回り 3.76% 3.2 0.87%     米東部時間 16時39分

  先週の弱い雇用統計を受けて、短期金融市場では利下げ観測が一段と強まり、スワップ市場では9月の利下げ確率を95%と織り込み、年内にもう1回の追加利下げを見込んでいる。 

  こうした中で市場関係者の関心は、来週発表の7月消費者物価指数(CPI)に移りつつある。  

  TDセキュリティーズのストラテジストは「7月CPI統計ではコアインフレの加速が見込まれる」と指摘。「関税の価格転嫁が引き続き進んでおり、財の価格が一段と上昇基調を強めると予想される」とした。

為替

  外国為替市場ではドル指数がほぼ横ばいで推移した。市場では米金融政策の先行きを巡る手掛かりとして、来週発表される各経済指標に関心が移っている。

為替 直近値 前営業日比 変化率 ブルームバーグ・ドル指数 1204.76 1.10 0.09% ドル/円 ¥147.79 ¥0.65 0.44% ユーロ/ドル $1.1641 -$0.0025 -0.21%     米東部時間 16時39分

  ドル指数は前日、トランプ大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)理事候補にミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を指名したとのニュースを受けて下落。ただ、その後は比較的安定した動きとなっている。

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  ウェルズ・ファーゴの為替ストラテジスト、アループ・チャタジー氏は「上院が9月まで休会のため、ミラン氏がどれほど早期にFRB入りできるのか不透明だ」と指摘。  

  「仮に上院が手続きを急いだとしても、FOMCへの参加は9月や10月の会合よりも、12月会合からになる方が現実的だ。つまり、ミラン氏が来年1月の任期満了までに出席できるのは、基本的に2回の会合に限られることになる」とし、「市場は当初ドル安で反応したが、その動きが弱まったのは意外ではない」と述べた。

  円相場は対ドルで下落。1ドル=147円90銭まで売られる場面もあった。

原油

  ニューヨーク原油先物相場は変わらず。米ロ両国がウクライナ戦争の停戦で合意しても国際的な支持を得られるどうかに関心が集まる中、それがロシア産原油の輸出に実質的な影響を与えるかを巡って思惑が交錯し、荒い値動きとなる場面が目立った。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は約1.80ドルのレンジで変動した後、バレル当たり64ドルを下回る水準で取引を終えた。関係者によると、米ロの交渉はロシアが軍事侵攻によって占領した領土の支配を確定する形となる見通しだ。米国はウクライナおよび欧州の同盟国からの同意を取り付けるべく調整を進めているというが、見通しは極めて不透明だ。

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  ラピダン・エナジー・グループの創設者で元ホワイトハウス高官のボブ・マクナリー氏は「停戦で合意しても原油価格への下落圧力は限定的だろう。市場は現在、供給混乱リスクをほとんど織り込んでいないし、欧州連合(EU)と米国がロシアのエネルギー制裁を解除する見通しもないためだ」と述べた。さらに、提案された合意は一時的な戦闘停止に近く、本格的な和平合意ではないと付け加えた。 

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物9月限は、前日比変わらずの1バレル=63.88ドル。ロンドンICEの北海ブレント10月限は、16セント上げて66.59ドルで引けた。

  ニューヨーク金先物相場は続伸。トランプ米政権が金地金(インゴット)に関税を課す方針を打ち出したと伝わり、早朝に過去最高値を更新した。

  ただ、先物市場が引けた後にホワイトハウス高官が金地金の輸入には関税を課さないと明確にする新たな方針を示す意向を示唆した。先物は時間外で下げた後、再び値を戻した。金スポットとのスプレッドは拡大したが、値幅は午前中の約半分に縮小した。

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  金スポット価格はニューヨーク時間午後2時33分現在、前日比3.96ドル(0.1%)安の1オンス=3392.42ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、37.60ドル(1.1%)高の3491.30ドルで引けた。

原題:Nasdaq Hits Highs as Apple Has Best Week Since ‘20: Markets Wrap

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