【速報中】石破首相「慎重であるべき」 裏金めぐる参考人招致に
石破政権下で初の通常国会で、衆院予算委員会の質疑が31日始まりました。石破茂首相と全閣僚が出席。衆院選後の少数与党下で、予算委員長のポストは野党・立憲民主党が握っています。新年度予算案や「政治とカネ」の問題などをめぐり、野党の追及に対し、石破首相らはどう答弁したのか。論戦をタイムラインで詳報します。
16:30
石破首相「奥様が納得されることが大事」森友文書の判決めぐり
立憲民主党の今井雅人氏は、学校法人森友学園の国有地売却に関する財務省の公文書改ざんをめぐり、国が存否も明かさず関連文書を不開示としたことを違法とした大阪高裁の判決について、石破茂首相らに尋ねた。今井氏は「上告をやめ、あるものを開示する。それだけだから手間がかからない。ぜひ(改ざんを強いられて自死した近畿財務局職員・赤木俊夫さんの妻)雅子さんの気持ちになり決断してほしい」と要望。石破首相は「今回の判決は文書の開示が命じられたものではなく、存在も不存在も明らかにしない不開示決定が取り消されたものだ。面倒くさいことを言うつもりはないが、よく判決を読ませてほしい」と述べるにとどめた。
また石破首相は、赤木さんが自死した後、雅子さんと話をしたことがあることを明らかにした。その上で「奥様が納得されることが大事だということは承知している」と述べた。石破首相は2020年の自民党総裁選に立候補した際、公文書改ざん問題などについて「何が問題なのか解明をまず第一にする」「必要であれば調査をする」と訴えていた。
今井氏は判決を読んだ結果を予算委で報告するよう要求。石破首相は「今の職責から、思いつきみたいなことはできないので、適切に答えられるよう努める」と答弁した。
一方、加藤勝信財務相は、赤木さんについて「まじめに仕事に取り組んでいただいた」と指摘。「改めて哀悼の誠と、ご遺族に対しては本当に申し訳なく、謹んでお悔やみを申しあげたい」と答弁した。
立憲民主党の酒井菜摘氏は選択的夫婦別姓の導入について質問。「経団連も選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めている。旧姓の通称使用拡大では、長期的なキャリア形成やグローバルな活躍に際し、多くの不都合が解消しないのではないか」と尋ねた。
石破茂首相は「いつまでも引きずっていい話だとは思っていない」とし、「いろんなお話を聞いて、自分の考えが変わったものもあるので、党の中で議論の頻度を上げ、解を見いだすことは、責任政党である以上、当然のことだ」と述べた。
衆院予算委で、立憲民主党の酒井菜摘氏の質問に答弁するため挙手する石破茂首相=2025年1月31日午後3時45分、岩下毅撮影立憲民主党の奥野総一郎氏は、元タレントの中居正広さんが起こした女性とのトラブルをめぐり、政府のフジテレビへの対応について質問した。奥野氏は「これは女性の人権問題でもある。政府として調査するつもりはないか」と迫った。
石破茂首相は、1月23日に総務省からフジテレビに対し、第三者委員会で早期に調査を進め適切な対応をとるよう要請しているとし、「第三者委への調査委嘱事項に、人権への取り組みも含まれている。この結果がどうなるか、それを受けフジがどのように対応するかまず見たい」と述べるにとどめた。
また、奥野氏は「コンプライアンス室が問題を共有しなかったなど過程にも問題がある。放送法に基づいて調査することは可能ではないか」と村上誠一郎総務相にたずねた。村上氏は「(放送法の)要請事項を順守しているかどうかは、まずは放送事業者が説明するべきものだ。総務省が調査することは慎重であるべきだ」と述べ、フジテレビが早急に事実関係を明らかにし、視聴者やスポンサーの信頼を回復することが重要だと指摘。「コマーシャルの差し止めが相次いでいる事態は、広告で成り立つ民間放送事業者の存立基盤に影響を与えかねないばかりか、放送に対する国民の信頼を損ないかねない事態だ」と強調した。
一方、一連の質疑の中では、村上氏の「勇み足」もあった。元総務省職員のフジテレビへの再就職について、手元の答弁書を見ながら「ご指摘の元総務省職員の再就職については、会社が自らの判断で採用したものだと理解している。天下りという事実はない」と発言すると、安住淳委員長から「そこ、まだ質問してないんですよ」と指摘を受けた。村上氏は「あ、そうですか」と述べ、自席に戻った。
衆院予算委で、立憲民主党の奥野総一郎氏の質問に答弁する村上誠一郎総務相=2025年1月31日午後3時22分、岩下毅撮影自民党の裏金問題で、有罪判決を受けた安倍派の会計責任者(当時)の参考人招致が議決されたことについて、論戦がかわされた。
参考人の出席は任意で、招致は実現しない公算が大きい。立憲民主党の奥野総一郎氏は「国会議決は重い。自民党は反対されたかもしれないが、議決は通った。自民党総裁として議決に従って参考人招致を促すべきだ」と迫った。
石破茂首相は「民間人を参考人として招致をすることは慎重であるべきだ。だからこそずっと全会一致(での議決)ということが行われてきた。自由民主党としては、慎重であるべきという立場には変わりはない」と答弁した。
奥野氏は重ねて「自民党の政治改革本部として聞き取りをすればいいじゃないですか」と求めたが、石破首相は「ご本人がどう判断するか。検察による厳正な捜査が行われ、結論が出ており、今は民間人だ。それは法治国家である以上、尊重していかねばならない」と述べ、応じなかった。
衆院予算委で、立憲民主党の奥野総一郎氏の質問に答弁するため挙手する石破茂首相=2025年1月31日午後3時13分、岩下毅撮影