コラム:複雑化した中国の中南米戦略、米国のベネズエラ攻撃で環境一変

写真は2023年9月、北京で会談する中国の習近平国家主席とベネズエラのマドゥロ大統領。提供写真。Miraflores Palace/Handout via REUTERS

[香港 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国がベネズエラの大統領を拘束したことにより、中南米の指導者らにとって中国との関係強化は魅力を増すと同時に、より複雑なものになるだろう。

ベネズエラのマドゥロ大統領は中国の特使と会談したわずか数時間後、そして米中両国が相反する中南米構想を公表して数週間後というタイミングで、米軍によって「拉致された」(マドゥロ氏)。トランプ米大統領は「敵対的な外国が侵入したり、重要資産を所有したりしない」西半球を望んでいる。一方、中国の習近平国家主席は中国を中南米およびカリブ地域の開発パートナーとして位置付けようとしている。

The bar chart shows overall trade between China and Latin America.
中国は中南米に非常に大きな利害関係を持っている。中国の経済誌「財新」今週、通関データを引用して報道したところでは、中国がベネズエラから輸入している原油は全体の1%未満に過ぎないが、中南米地域とのつながりは重要であり、さらに拡大している。2024年、同地域の国々は中国の海外貿易の少なくとも8%を占め、これには比亜迪(BYD)(002594.SZ), opens new tabや奇瑞汽車(チェリー)(9973.HK), opens new tabの電気自動車(EV)など主要製品が含まれていた。

また同地域は原油、鉱物、大豆など、重要資源や食料の調達先を多様化する中国の取り組みの柱でもある。

中国は中南米で、投資が不足している鉱業プロジェクトやインフラ事業に開発資金を流し込み、その過程で同地域における最大債権国の1つとなった。国営の中国開発銀行は24年末までに、中南米21カ国に対し1600億ドルの資金提供を行ったと報告している。

中国は、ペルーのチャンカイに建設された35億ドル規模の深海メガポートなどのプロジェクトに融資を行ってきた。同港の主要投資家の1つは中国遠洋海運集団(コスコ)だ。

18年以降、中南米の約22カ国が「一帯一路」構想に参加している。そして昨年、トランプ氏が関税戦争を始めると、習氏はさらなる投資と開発支援を約束することでこれに応じた。

こうした支援の多くは最終的に対中貿易を支えるだろうが、中国には、こうした大盤振る舞いが台湾を一層孤立化させることにつながるとの期待もあったかもしれない。実際、台湾と外交関係を維持している世界12カ国のうち、7カ国は中南米の国々だ。

ベネズエラは本来、パキスタンやベラルーシと並んで中国の「全天候型戦略的パートナー」の1つになるはずだった。しかし、マドゥロ氏の現在の状況は、中国の影響力の限界を浮き彫りにしている。

米軍による中南米指導者らの拘束という事態が現実的なリスクとなった今、中国は中南米に市場を開放し、中国からの投資拡大を受け入れ続けてもらうため、これまで以上の誘因を提供する必要があるかもしれない。

●背景となるニュース

* 中国の王毅外相は4日、米国がベネズエラのマドゥロ大統領を拘束したことを受け、いかなる国も「世界の裁判官」として振る舞うことは受け入れられないとの認識を示した。 もっと見る

*ベネズエラのマドゥロ大統領は米国によって連行される前の2日、中国外交官団と会談していた。

*昨年12月4日に米政権は国家安全保障戦略を発表。中国外務省は12月10日にラ中南米・カリブ海地域に関する政策文書を発表した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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Chan Ka Sing is China Columnist for Reuters Breakingviews. Prior to joining Reuters, he worked at Week in China, Hong Kong Economic Journal and Dow Jones Newswires.

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