カナダのフリーランド財務相が辞任、トランプ関税への対応で対立

カナダのフリーランド財務相は16日、内閣ポストを辞任した。トランプ次期米政権への対応を巡ってトルドー首相と意見が対立し、首相がフリーランド氏を別のポストに異動させようとしたことが理由としている。

  フリーランド氏は長年、トルドー内閣で最も影響力のある人物と見られており、突然の辞任はトルドー政権を揺るがす事態だ。同氏はまた、トランプ次期米大統領が発動を予告しているカナダ製品に対する25%の関税に関して、政府として対抗するための戦略策定を中心となって進めていた。

  トルドー首相は後任の財務相にルブラン公安相を起用する方針。

  フリーランド氏は同日朝に議会で予定していた財政・経済に関する報告を行う数時間前に、ソーシャルメディア、X(旧ツイッター)への投稿で辞任を発表した。 辞任のニュースを受けてカナダ・ドルは対米ドルで下落し、日中としては2020年4月以来の安値を付けた。カナダ国債利回りも大幅上昇した。

  フリーランド氏はトルドー首相宛ての辞表で「あなたは13日、もはや私が財務相を務めることを望んでおらず、別のポストに起用する意向を示した」と指摘。「熟考の結果、内閣ポストから辞任することが唯一の誠実かつ実行可能な道であるとの結論に至った」と述べた。

  その上で「わが国は現在、深刻な課題に直面している。その脅威を極めて真剣に受け止める必要がある。具体的には、想定される関税戦争に備えて、財政的な余地を今確保しておくことであり、高額な政争の具は避けるということだ。わが国に到底そのような余裕はなく、われわれが事態の深刻さを認識していないのではないかとカナダ国民に疑問を抱かせるものだ」とフリーランド氏は続けた。

  トルドー政権で財務相が辞任するのはここ約4年で2人目。フリーランド氏は、首相が新型コロナウイルス関連の所得支援プログラムへの支出などを巡って当時のモルノー財務相と対立したことを受けて、2020年に財務相に就任していた。

  「高額な政争の具」とは、玩具やクリスマスツリーなど一部品目に対する2カ月間の消費税免除措置や、数百万人のカナダ市民に250カナダ・ドル(約2万7000円)を支給するとの政府発表を念頭に置いた発言とみられる。 免税措置は12月14日に施行されたが、現時点で現金支給については可決に必要な票を確保できていないもようだ。

  トルドー首相はかねてブルックフィールド・アセット・マネジメントのマーク・カーニー会長を政権に迎え入れたいとの意向を示しており、フリーランド氏の辞任は、トルドー氏がカーニー氏招へいの取り組みを強める中で起こった。だが、政府関係者は先頃、この件が今後どのような展開を見せるかは依然として不明だ、と匿名を条件に語っている。

関連記事:カナダ首相、カーニー前英中銀総裁に政権入りを要請-グローブ&メール

  カーニー氏は最近、自由党の経済顧問になることに同意した。カナダ銀行(中央銀行)、イングランド銀行(英中央銀行)の元総裁である同氏は、ブルームバーグの取締役会議長のほか、慈善活動やビジネス分野でも数多くの役職を務めている。

  マニュライフ・インベストメント・マネジメントのドミニク・ラポイント氏は電子メールで「米国の新政権誕生に伴い変動の時代を迎える可能性が高く、これで不確実性がさらに高まるのは確実だ」と述べた。

原題:Trudeau to Name LeBlanc Canada Finance Minister in Day of ChaosCanada Finance Minister Freeland Resigns Amid Rift Over Trump(抜粋)

関連記事: